【SDNカンファレンス 事前取材】企業LANにも広がるSDN……NECのOpenFlow | RBB TODAY

【SDNカンファレンス 事前取材】企業LANにも広がるSDN……NECのOpenFlow

エンタープライズ ハードウェア

NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 シニアエキスパート 宮永直樹氏
  • NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 シニアエキスパート 宮永直樹氏
  • NECのSDNソリューションウェブサイト
 SDNやOpenFlowのソリューションが注目され始めたのは、2年前のInteropあたりからだろうか。当時は、クラウド時代の仮想サーバーやマルチテナントサーバーとの親和性が注目され、主にデータセンター向けの製品や通信事業者向けのソリューションが多かった。

 しかし、ここにきてSDNの応用範囲がエンタープライズ領域にまで広がってきている。具体的には企業や病院・自治体のLAN環境にOpenFlow対応機器を活用して、管理コストの低減やセキュリティの向上などを実現するソリューションに注目が集まっている。

 そんな中、2月18日から開催される「SDNカンファレンス」の講演者のひとり、NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 シニアエキスパート 宮永直樹氏に、SDNの最新技術動向や事例などについて話を聞いた。

 宮永氏によれば、NECは3年ほど前からSDN関連の製品を手掛けており、すでに100社100システム以上に対してSDNソリューションの導入実績があるという。その中で、最近ではエンタープライズ向けのソリューションに注目しているそうだ。

 なぜ、企業内LANをSDNで構築する事例が増えているのだろうか。「企業内LANを仮想化するメリットは、機器類の初期コスト削減に加え、メンテナンスや設定変更時の効率化によるランニングコストの低減にあります(宮永氏)」とのこと。ネットワークを仮想化することで機器統合ができれば、導入する機器を最適化でき、導入コストを下げられる。また、機器統合がうまく進めばスイッチやサーバーの物理的な台数を減らすことが可能になり、消費電力や冷却コストも下げることができる。これらは、データセンターなど大規模なネットワークを運用する場合でも大きなメリットになるが、SDN関連の製品が増えることで、このメリットをエンタープライズLANへも適用しようという動きが広がっている。

 ネットワーク仮想化ならば、セグメントの分割・統合といった作業もソフトウェア的に可能なため、実際の設定変更作業の負担を減らすことができる。また、仮想化されたネットワークなら、追加の機器購入なども最小限またはゼロに抑える効果も期待できる。NECの手掛けた事例では、「LAN設定変更に9日かかっていたものが2日で済むようになった(宮永氏)」という報告もある。

 では、エンタープライズ分野への応用の事例としては、どのような業務、業種への対応が可能なのだろうか。NECの事例では、一般企業のLANの他、病院や自治体のネットワークなどにもOpenFlow製品でSDNによるLANを構築しているという。事例で見てみよう。

 金沢大学附属病院では、部門ごとに担当者がばらばらにLANを構築していたため、たとえば同じ部屋でも接続する医療機器の部門が違うと異なるLANの口(情報コンセント)に接続しなければならないなど、管理上の弊害が発生していた。医療機器の多くは移動式でネットワークに接続して使うものになっており、移動先で接続口を探さなければならないという運用上の問題もあった。宮永氏によれば、MACアドレスベースの機器認証とグループ化によって、院内ネットワークと情報コンセントの一本化を実現し、設定変更などの手間とコストを大幅に下げることができるという。

 他にもテレビ朝日の社内ネットワーク構築事例や自治体のネットワークもあるそうだが、詳細はSDNカンファレンスのセッションや基調講演で紹介されるだろう。

 最後に製品の技術的な特徴についても述べておこう。NECではOpenFlow対応の製品群としてUNIVERGE PFシリーズを提供している。PFとはProgrammable Flowのことで、OpenFlowをベースとしたNEC独自の技術を意味する。

 UNIVERGE PFシリーズには、ProgrammableFlow Controller(PFC)であるUNIVERGE PF6800、ProgrammableFlow Switch(PFS)であるPF5000シリーズなどがある。これらに加えて、2013年12月には、PF6800 Unified Network Coordinator(UNC)、PF6800ベーシック、PF5220F-20S2XWの3製品を新たに発表した。

 UNCは、複数のPFCで管理している仮想ネットワークを一元管理したり、PFCを跨ったVTNを設定できるソフトウェアである。より大規模なデータセンターや通信キャリアのネットワーク向けの製品だと言える。

 一方PF6800ベーシックは、OpenFlowコントローラの必要最低限の機能以外をオプションとし、300万円台というスモールスタートや最適構成を可能にするモデルだ。先ほど、SDNが企業LANにも波及していると述べたが、このように安くて高機能な製品がでてきたこともその背景にある。

 PF5220F-20S2XWは、ギガビット対応の光インターフェイスを22ポート搭載したPFSである。PF5220Fは、メディアコンバーターなしで、フロア間などをつなぐエッジスイッチなどとして利用できるため、コスト削減に貢献できる。

 UNIVERGE PFシリーズでは仮想ネットワーク(Virtual Tenant Network :VTN)の管理をGUI化しており、物理ネットワークと論理ネットワークの図を表示しながら設定、管理できるなど、操作性が高いのも特徴だそうだ。接続される機器は、RADIUSサーバーやActive Directoryとの連携によるアカウント情報の管理が可能で、複雑になりがちな企業内LANの管理に威力を発揮する。

 また、VTNは1000個まで作ることができ、UNCは10台まで接続することができ、合計でスイッチが2000台、VTNが1万個までのネットワークを構築できるそうだ(宮永氏)。もともとはデータセンターや通信事業者向けソリューションでもあるので、この規模は企業内LANとしては十分だろう。

 NECのSDNソリューションは、前述の金沢大学附属病院やテレビ朝日のように事例・導入実績が豊富なことが特長だ。製品ラインナップの充実化や価格戦略とも相まって、通信事業者、データセンターから企業まで幅広く適用してきており、ユースケースも多い。興味のある人はカンファレンスに参加して、自社の業務や要件に適用可能かチェックしてみてはどうだろうか。

 なお、テレビ朝日の事例については、基調講演でテレビ朝日の担当者によるプレゼンも予定されているとのことだ。会場は東京ミッドタウンとなる。
《中尾真二》

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