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これが究極の電子ペーパー? 〜 リコーとABIと北大、バイオ素材の新表示デバイスを共同研究

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バクテリアセルロースから作製された紙と表示デバイス
  • バクテリアセルロースから作製された紙と表示デバイス
  • 消色状態と発色状態
 リコー、アグリバイオインダストリ(ABI)、北海道大学大学院工学研究科の田島健次准教授の三者は2日、バクテリアセルロースから作製した紙に直接電極を形成し、その紙に含ませた色素を電気的に発色させる表示デバイスの発色試験に成功した。

 セルロースは自然界にもっとも豊富に存在する高分子であり、バクテリアによって合成されるバクテリアセルロースは、植物由来の繊維に比べて千分の1というきわめて細い繊維の微細なネットワーク構造を有しており、高い保水性・機械的強度(破れにくい)・生分解性(自然に返りやすい)などさまざまなユニークな特徴を有している。バクテリアセルロースを用いることで、従来のディスプレイのように、ガラスやプラスチックのような支持基板を必要とせず、紙そのものを発消色させることができる。このため、デバイスの部材や製造工程が少なく、低コストにできる。森林資源を使用することなく、バクテリアによる低エネルギーな製造プロセスを用いるため、環境にやさしい将来技術として注目されているという。

 三者は、簡単に入手できる非食用の原料を用いることによって、これまでより安価にバクテリアセルロースを合成することに成功。さらに、微細な構造を保ったまま表示デバイスとして機能させるために最適な空隙(くうげき)率と均一な厚さを有するバクテリアセルロースの紙の作製手法を突き止めた。その上で、電圧をかけることにより消色状態から発色状態へと可逆的に変化するエレクトロクロミック色素を溶かした電解液をバクテリアセルロースの紙に浸透させ、その両面に電極を形成して、紙の表示デバイスを実現した。

 この表示デバイスの実用化にはまだ年月を要するが、実験室レベルでは発色試験に成功し、「紙の」電子ペーパーへの実現可能性が実証できたという。三者は本研究成果を7月3日に北海道大学で開催されるセルロース学会第16回年次大会で発表する予定。
《冨岡晶》
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