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【地域WiMAX】機器選定の基準は——オープンな市場には25社ものメーカーが参入

ブロードバンド その他
地域WiMAXのネットワーク構成
  • 地域WiMAXのネットワーク構成
◆いよいよ動き出す地域WiMAX

 3月3日に免許申請が開始された地域WiMAX(2.5GHz帯 広帯域移動無線アクセス 固定系地域バンド)。帯域はわずかに10MHz(全国バンドは30MHz)に限られるとはいえ、Wi-Fiと違い干渉の恐れがなく、HSDPAと同等以上の高品質な(つまりは収益性の高い)モバイルインターネットサービスを提供できるとあって期待は高い。

 WiMAXを内蔵したノートPCの国内登場も噂されており、何より、わが町で世界共通の2.5GHz帯のWiMAXサービスを提供できるとあれば、昨今の逼迫する電波事情に詳しい経営者ならば誰でもその利用に興味がわくことだろう。もちろん、地域免許は目的が決まっており、誰にでも割り当てられるわけではないので、慎重な検討と事業化にむけた準備が必要だ。

 地域WiMAXはその名が示すとおり、市区町村単位を基本に免許が交付される。その担い手として期待されているのは同じく地方公共団体単位でサービスを提供している地域のケーブルテレビ(CATV)事業者だ。巷の噂ではCATV事業者だけでも40社ほどが申請を行うらしい。国内の市区町村は大小合わせて約1,800あるので、割合としては微々たるものだが、それでも各県でひとつの事業者が申請する計算になる。

 地域WiMAXは2008年4月7日に最初の申請期間が締め切られ、早ければ5〜6月には免許が交付される(4月8日以降も順次申請は受け付けられる)。免許の交付を受けた事業者はその後、6か月以内には基地局を設置して地域WiMAXサービスを開始することとなる。

◆地域WiMAXの機材はどう選ぶ?

 というわけで、今年は地域WiMAXネットワークがあちこちの市区町村で作られることになるわけだが、今の話題は地域に合ったシステムの選定だ。全国レベルの携帯電話事業者であれば、IEEEやWiMAX Forumの文書を元に調達仕様を作成し、大手通信機器メーカーに提案を要請すればよい。しかし現業を抱える地域の小規模な事業者にそのような余裕はないだろう。

 地域WiMAXの主要なプレイヤーと言われるCATV事業者では、これまで業界団体であるJCTA日本ケーブルラボなどが策定した基準に従って調達を行ってきた。これは新技術導入のコストやリスクを低減するうえで重要な手法であり、メーカーが積極的に基準作りに加わることで、安定した機材の供給が実現してきた。

 一方、WiMAXの最大の特徴はシステムのオープン性にある。つまり、WiMAXネットワークを構成するシステムの相互接続性を業界団体であるWiMAX Forumが確認してくれるのだ。相互接続性を第三者が担保すれば、中小メーカーでも一部の機器(端末のみ、あるいは基地局のみ)だけでビジネスをすることができるので、多数のメーカーの参入によって健全な価格競争が起こり価格の低減が期待できる。これはWi-Fiの成功例を見れば明らかだ。

 通信事業者は特定のメーカーに縛られることなく、提供するサービスや地理的な条件によっていろいろなメーカーの基地局や端末を組み合わせて利用できるのがメリットとなる。WiMAX Forumでは基地局を制御するASN-GW(Access Service Network Gateway)やCSN(Connectivity Service Network)などのコアネットワークの標準化も行われているので、こちらも同じく選定は自由となるはずだ。

◆求められる難しい製品選択

 このようにWiMAXではあたかも企業のIPネットワークのように、ネットワークを設置する事業者が目的に合わせてシステムを組み合わせて利用することが想定されており、このオープンな市場への参入を狙うメーカーは非常に多い。筆者が数えたところ、日本国内でなんらかのWiMAX機器の販売(代理店を除く)を表明しているメーカーは25社も存在する。

 しかし、導入側にとって、激しい競争と価格低減はよいことばかりではない。メーカーの淘汰が進む過程では、導入した機器が突然販売中止となったり、新製品の登場により時代遅れになる可能性もあるだろう。企業ネットワークであれば、リスクや不便さを抱えながら使い続ける選択肢もあるが、地域WiMAXは通信事業なので開発や技術支援の停止はサービスの競争力や品質の低下につながってしまうために避けなければならない。

 機器選定の基本は「機能・性能」「品質」「価格」のバランスだ。基地局では機能ではFFR(Fractional Frequency Reuse)やMIMO(Multiple Input Multiple Output)のサポートや設置工事が簡単な小型化と高出力の両立は重要なポイントとなる。コアネットワークでは基地局が数局〜数十となる地域WiMAXに適した小規模なシステムが適しているだろう。

 しかし現段階では、上記と同じくらいに安定供給を重視すべきである。特に2008年は米国、台湾、インドなどでWiMAXの展開が始まり、世界的にもメーカーの淘汰が進むと考えられる。無線ブロードバンドの世界動向、特に今後、Pre-4Gとして展開が確実なLTE(Long Term Evolution)とWiMAXの競争が本格化したときでも生き残るメーカーの見極めは難しい判断となりそうだ。

(干場久仁雄@ユビテック)
《RBB TODAY》
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