ただの”スカッと系“ではなかった!話題の韓ドラ『私の夫と結婚して』が完結 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

ただの”スカッと系“ではなかった!話題の韓ドラ『私の夫と結婚して』が完結

エンタメ 映画・ドラマ
Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
  • Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM
 2月21日、Amazon Primeで独占配信中の『私の夫と結婚して』が完結した。同作は、日本リメイク決定が報じられたことでも話題を集めている韓国ドラマ。夫と親友に裏切られて死亡した主人公が目覚めると10年前に戻っており、復讐と延命のため二度目の人生を歩み出すという物語だ。

第16話

(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

 これまで多くの作品で主役を張ってきたパク・ミニョンの求心力ある演技は流石で、相手役ナ・イヌとも素晴らしいケミストリーを生み出していた。役作りのためにかなり体重を落として挑んだという役者魂にも、拍手を送りたい。さて、今回は後半のあらすじを振り返った上で、コミック版との違いや本作の題材について述べていきたいと思う。
(以下、コミック版含むネタバレあり)

■筆者プロフィール
山根由佳
編集者・校正士・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo


“私の夫と結婚して”もらった後も、まさかの波乱続き



Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


 主人公カン・ジウォン(パク・ミニョン)が過去に失敗や後悔した場面を2回目の人生で乗り越えようとする時、さりげなく力を貸すのが彼女の上司ユ・ジヒョク(ナ・イヌ)だ。意味深長にジウォンを見つめ、“未来を知っているかのように”根回しに励む姿から、彼がただ者ではないのは明らかだった。

 その謎が明かされるのが、5話。ジヒョクは大学時代にジウォンと出会って好意を抱くも、特に関係を発展させられず仕舞いに。社会人となって職場で再会し、喜んだのも束の間、今度はジウォンがパク・ミンファン(イ・イギョン)と恋仲だったので身を引くことにする。その後ジウォンが亡くなり失意の中で事故死するが、目覚めると10年前にタイムスリップ。2回目の人生ではジウォンにアプローチし、彼女を生かそうと心血を注いでいたのだ。2人が互いの秘密を知ったところで復讐計画は加速し、それに比例して2人の距離も近づいていく。

Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


 元親友チョン・スミン(ソン・ハユン)のクレクレ気質と元夫ミンファンの浮気心を利用し、あえてミンファンと婚約したジウォン。嫉妬心に駆られたスミンは予想通りミンファンを寝取り、さらには妊娠を偽ってそのままゴールイン。ゴミとゴミをくっつけることに成功し、ジウォンとジヒョクは堂々と交際を始め、めでたしめでたし……と思いきや、そうは問屋が卸さなかった。

 気の弱かったジウォンは夫の精神的・肉体的なDVや姑のいびりなどで胃がんに罹っていたが、自分の不利益を許さぬスミンは新婚生活をしたたかに切り抜け、またゴミ(=ミンファン)を押し付けたジウォンへの仕返しに燃え始める。そして胃がんになる運命は、ジウォンと仲の良い職場の先輩ヤン・ジュラン(コン・ミンジョン)に移ってしまう。さらに、ジヒョクの元婚約者オ・ユラ(BoA)が現れ、ミンファン、スミンと共にジウォンを陥れようと画策し始める。

オリジナルキャラのユラは必要だったのか?



Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


 先が気になるドラマは次回予告編まで視聴して気持ちを高めるのだが、10話終わりの予告編時にミンファンとスミンの結婚式が執り行われることが分かり、やや不安にさいなまれた。結婚式シーンが目玉となるであろう11話はさておき、その後の5話、一体どうするのかと。すると、11話ラストに初めて、ジヒョクの元婚約者ユラが登場する。「“VALENTI”や“メリクリ”の、あのBoAが!?」という演じ手の意外性に、このタイミングで完璧男ジファンの周辺人物からゴミが出てきたという設定への驚き。残り5話がどう転じていくのか再び楽しみになった。

 財閥一家の跡取りを巡り、財閥出自の許嫁と平凡な主人公が火花を散らすというのは韓国ドラマでよく見受けられるパターンだが、本作が特殊なのは、そこに主人公の元親友と元夫が加わるという点だ。ジファンが単なる部長ではなかったことを知り、「ジウォンは玉の輿に乗るために自分たちをくっつけた」という考えに至ったミンファンとスミンは、ジウォンへの恨み辛みを高めるばかり。一方ユラは、より強大な富を築くためジファンを逃すのが惜しくなり、ジウォンが邪魔に。人をモノ扱いしているユラにとって人殺しは何ともないようで、ミンファンとスミンにジウォン殺害の考えを吹き込んでいく。それにより、最低ながらまだ人道的であった2人は、完全なる人殺しへと堕ちていく。

Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


 SNSを流し読みする限り、ユラの登場は賛否両論。確かに、スミンによる嫌がらせの歴史やミンファンとの不幸な結婚生活がこれまでみっちりと描かれていた分、ユラのぽっと出感は否めない。しかし、ドラマ鑑賞後に原作漫画を読んでみると、彼女の登場は良い改変だったと感じる。漫画版では、ミンファンとスミンは自ら本性を露にしていく。会社内での事故の後始末や妊娠偽装などが重なり、2人の結婚は早々に破綻。ミンファンは、スミンが「義母に早く死んでほしい」とメル友(※実は他人に成りすましていたジウォン)とやり取りしていたことを知って激昂し、彼女に旅行者保険をかけて事故死させようと試みる。一方スミンは脳出血で倒れた義母を病院で殺害。母の死を知って急いで病院に向かったミンファンは、スミンのために仕掛けた罠に自らハマって事故死。義母殺害容疑で指名手配犯となってスミンはジウォンを車で轢き殺そうとして逮捕され、有罪判決が下される。

 漫画版のミンファンとスミンからは、ジウォンへの愛情を一ミリも感じられなかったのだが、ドラマ版の2人からは、ジウォンへの純粋な愛が伝わる瞬間がある。また、演じているイ・イギョンとソン・ハユンの力もあり、人間みがあって親しみを覚える時もあった。そんな彼らが急に人殺しに変貌したらショックを受けていたと思うし、2人があれやこれやと殺害を企てるには財力等に限界がある。これまで創り上げたキャラクターたちを大切に、そして物語のスケールをより広げるために、ユラというキャラクターが生まれたのだと思う。

パク・ミニョンによって強く胸に響いた“セカンドチャンス”



Amazon Original『私の夫と結婚して』(Prime Videoで独占配信中) (c) Studio Dragon by CJ ENM


 周りの人にイラッとしたけどグッと堪えた、という経験は、きっと誰しもあるだろう。「本当はこういった言動でギャフンと言わせたい」と思っても、人間関係を平和に維持するため、実行に移すのはなかなか難しい。だからこそ、体験談を元にした“スカッと漫画”は人気がある。他人の物を何でも欲しがる図々しい友人、外面は良いのに家では何もしないモラハラ夫、威張り散らすだけの無能な上司……。ここまで酷くはなくとも、周囲の重なる人物を思い浮かべながら、主人公が相手をやり込める姿を見て疑似体験をすれば、かなりの爽快感を感じられる。そのため、「このあと最低な人たちが成敗されますよ」というのが明らかだった『私の夫と結婚して』は、最初から成功が約束されていたと言えるだろう。だが、本作が単なる”スカッと“で終わらなかったのは、そのメッセージ性にある。

 物語最後、ジウォンが設立したのは「再チャレンジ財団」。「すべてが終わったと思える瞬間にも別の道があるものです。より良い道かもしれない。2度目の機会は必ずある。いえ、なければなりません。一度選択を誤って苦しむ人のためこの財団が力になりたいと思います」という彼女のスピーチに、同作が伝えたいすべてが詰まっている。ジウォンとジファンは2回目の人生をより良くするため、1回目の反省点を活かしながら、幸せを掴み取った。また、高校時代にジウォンをいじめていた同級生たちは償える機会に行動を起こしており、ハラスメントの集合体のようだったキム代理(元課長)も自身の非を認めてジウォンに謝罪をしている。

 ジウォンを演じたのがパク・ミニョンだったということも意義深い。ミニョンは2022年、実業家と熱愛・破局。後日、その人物が詐欺や横領などの疑いで起訴されたことを受け、ミニョンも不正関与疑惑で取り調べを受けていた。所属事務所は「パク・ミニョンが違法行為に加担したり、違法に利益を得たりした事実はない」と発表するも、芸能活動は休止に。そして約2年ぶりの復帰作となった『私の夫と結婚して』のテーマは、奇しくも彼女に合っていた。主人公カン・ジウォンと俳優パク・ミニョンはある意味同じ境遇であり、ジウォンが様々な逆境を乗り越えて顔つきが活き活きと変わっていく様はかなり真に迫っていた。最後、ジウォンが幸せを噛み締めて流した涙には、本作出演でセカンドチャンスを歩み出すことができたミニョン自身の想いが滲み出ている。だからこそ感動的で、「人は失敗するものであり、セカンドチャンスを得る権利がある」というメッセージが胸に響いたのだった。
《山根由佳》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top