韓ドラ『エージェントなお仕事』は本家フランス版『エージェント物語』との違いも面白い! | RBB TODAY
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韓ドラ『エージェントなお仕事』は本家フランス版『エージェント物語』との違いも面白い!

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『エージェントなお仕事』の原作は、フランスの大ヒットドラマ『エージェント物語』
  • 『エージェントなお仕事』の原作は、フランスの大ヒットドラマ『エージェント物語』
  • テオが“いち抜け”ようと画策して失敗し、苦難が続くのもちょっと面白い
  • ヒョンジュは控えめな性格だが、フランス版のカミーユはもっと大胆な性格
  • ジェインを思いやる場面が目立つジュンドン
 韓国ドラマの中には芸能界を題材にした素敵な作品が多いが、現在Netflixで配信中の『エージェントなお仕事』も、例に漏れず。同作は、代表の急逝や税務調査の介入などでピンチに陥る芸能事務所「メソッド・エンターテインメント」の社員たちが、仕事に関する様々なトラブルを乗り越え、同時に各プライベートの問題にも向き合っていくヒューマンドラマだ。

 所属俳優たちを輝かせるために全力で努め、二人三脚で寄り添ってあらゆる面からケアをし、トラブル収拾に奔走する社員たち(を演じる俳優たち)の姿を見ていると、実際の舞台の裏側を観察しているようで面白い。さらに、大物俳優たちが本人役で登場し、実在の固有名詞を挙げながら話をするものだから、どこからどこまでが真実なのやら……と、アレコレ想像するのも楽しいところ。

 同作は全12話ですでに8話まで配信されており、残り2週で完結予定。まだ観ていない方のために、本作の魅力を改めてお伝えしたい。
(以下ネタバレあり)

魅力その1.エピソード毎に登場する豪華なゲストたち




テオが“いち抜け”ようと画策して以来苦難が続くのは、気の毒だがちょっと面白い


 事務所には、打算的な総括理事マ・テオ(イ・ソジン)、常に勝気なチーム長チョン・ジェイン(クァク・ソニョン)、義理人情に厚いチーム長キム・ジュンドン(ソ・ヒョヌ)、テオの隠し子で新入社員のソ・ヒョンジュ(チュ・ヒョニョン)をメインに、伝説的存在の名誉理事、テオに想いを寄せる事務総括、ムードメーカーな広報担当、俳優を目指す受付スタッフなど、個性豊かなキャラクターが揃う。彼らが織り成す物語は、不仲な俳優同士の仲介や監督や制作会社との交渉など、業界人の悲喜こもごもが満載。お仕事ドラマは自身の経験と重ねてしまい辛くなる作品もあるが、その点は心配ご無用。コミカルな演出もふんだんに散りばめられているので、楽しい気持ちで観ることができる。そして、何と言っても大きな見どころは、豪華ゲストたちの出演だ。

 そのスタートを切ったのは、『パラサイト 半地下の家族』で富豪の奥さま役を演じたチョ・ヨジョン。タランティーノ監督(!)から主演オファーをもらうも、年齢がネックとなり、その件で嘘を付いた担当マネージャーのジュンドンとの間でひと悶着が起こる、という話だ。第2話は、『ヴィンチェンツォ』でも揃ってカメオ出演していたことが記憶に新しい、イ・ヒジュンとチン・ソンギュ。過去のしがらみもあり、互いにライバル心を燃やす2人が、「メソッド」代表の葬式で張り合う。第3話は、本物の嫁姑であるキム・スミとソ・ヒョリム。仲良しではあるが実際の関係性そのままの作品への出演打診にお互いNOと言う。第4話は映画『アベンジャーズ』や『ファンタスティック・ビースト』シリーズへの出演で知られるスヒョンが、産休明けで育児と仕事のバランスに悩むというもの。

 第5話は、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で共演していたオ・ナラとパク・ホサン。恋愛映画の主演に抜擢されるも険悪な2人に、現場も事務所スタッフも振り回されてしまう。トロット歌手のヨンタクが大根役者を演じるサブストーリーも必見だ。第6話は、舞台でも活躍するベテラン俳優キム・スロとミュージカル俳優のキム・ホヨン。トラウマを隠したい俳優と作家性を優先させたい演出家が火花を散らす。第7話は、ミュージカル俳優夫婦であるキム・ソヒョンとソン・ジュノ。おしどり夫婦が浮気騒動を巻き起こす。そして第8話は、『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』のキム・ジフン。事務所との契約満期を控えたジフンに対し、ジェインがあの手この手で勧誘する。

 次回は『イカゲーム』でホ・ソンテと共演していたキム・ジュリョン、次々回には映画『コンフィデンシャル/共助2:インターナショル』やドラマ『ホイール・オブ・タイム』など国内外で活躍するダニエル・ヘニーが出演予定。ラストに向けて、より盛り上がっていきそうだ。

魅力その2.お国柄が滲み出る、フランス版との細やかな違い




ヒョンジュは控えめな性格だが、フランス版のカミーユはもっと大胆な性格


 『エージェントなお仕事』の原作は、フランスの大ヒットドラマ『エージェント物語』(こちらもNetflixで配信中)。主要キャラクターたちの立ち位置や性格、各エピソードのあらすじなど、大まかには同じなのだが、細かいところでローカライズなどがなされており、その違いを見比べるのも楽しいポイントだ。

 例えば第2話、出演オファーを頑なに断るイ・ヒジュンを説得しようとジェインが向かったのは、お寺。フランス版では、アンドレア(韓国版:ジェイン)が公園で散歩する途中のフランソワーズ(韓国版:イ・ヒジュン)に偶然遭遇した風を装い、コミュケーションを試みていた。また、第5話、オ・ナラとパク・ホサンの出演作品の舞台は日本統治時代の朝鮮もしくは日本のようだったが、対するフランス版では貴族の格好をした俳優たちが宮殿で撮影をしていた。第9話では、テオの体調を心配した事務総括ユ・ウンス(キム・グクヒ)が霊媒師によるお札を渡して去っていくが、フランス版ではノエミ(韓国版:ウンス)が「素晴らしいシャーマンがいる」とオススメし、自身の守護神がビーバーであることを話していた。

 このように、国の歴史や文化が異なることを活かしてアレンジを効かせ、大元のストーリーに違和感なく組み込ませている点がお見事。ただ一つ気になったのが、ジェインが特別税務調査官イ・サンウク(ノ・サンヒョン)と出会うマッチングサイトのデザインが、フランス版とほぼ同じだったこと。2015年放送当時に採用されたデザインなのでやや古臭く、全盛期のmyspaceやちょっと昔のFacebookを思い出してしまった…。

魅力その3.独自の展開を遂げる恋愛模様




ジェインを思いやる場面が目立つジュンドン


 実は本家『エージェント物語』にて、ジェインにあたるキャラクター=アンドレアは同性愛者という設定だ。第2話、ジェインはジュンドンに対し、「一緒に子どもを作らないか」と持ちかけている。フランス版でも全く同じ筋書きだったのだが、発言相手が同性愛者か異性愛者かで、その受け手の感情が異なってくるのは想像に難くない。大学時代からの親友で切磋琢磨してきた同僚であり、恋愛関係へと発展したことはないとは言え、ジュンドンがジェインに向ける視線には、何か意味深なものが含まれている。

 しかも、ジュンドンは受付担当で所属俳優となったカン・ヒソン(ファン・セオン)からの熱烈アタックもスルー。フランス版では、ガブリエル(韓国版:ジュンドン)とソフィア(韓国版:ヒソン)は晴れて恋人となるも、ガブリエルが下心見え見えの監督に嫉妬心を募らせソフィアのキャリアを妨害する、という流れになっていく。韓国版でジュンドンとヒソンを恋人へと発展させなかったのは、最終的にジュンドンとジェインを結ばせるためなのではないだろうか。

 しかし、ジェインは元恋人サンウクへの未練を断ち切れていない上、2人は8話にて再会。フランス版でもその辺りは同じで、むしろアンドレア(韓国版:ジェイン)とコレット(韓国版:サンウク)の“交流”はその後もまだまだ続いていく。今後ジェインの恋愛関係がどう発展していくのかも、注目して観てみてほしい。



 第8話では、へジュンの運転手だったサニー・リムが戦略企画チームのチーム長に就任し、チャン・ミョンエ理事(シム・ソヨン)が“給料泥棒だ”と追い出されてしまう。どちらもフランス版にはないストーリーで、サニーにあたるキャラクター自体も存在しない。本家のように24話構成を想定して進んでいくのか、シーズン1で完結させるのか、今後の展開も見逃せない!

※Netflixシリーズ『エージェントなお仕事』独占配信中

■筆者プロフィール 山根由佳
執筆・編集・校正・写真家のマネージャーなど何足もの草鞋を履くさすらいのフリーライター。映画・海外ドラマおたくだが、コロナ禍に人生二度目のカン・ドンウォンのブームが到来し、出演ドラマも鑑賞したことで韓ドラの世界に興味を抱くように。さらに『ヴィンチェンツォ』を観て完成度の高さに度肝を抜かれ、韓ドラにのめり込む。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。映画・海外ドラマ・韓ドラを網羅したいため、観たい作品に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。2022年現時点でのベスト韓ドラは『私の解放日誌』。
《山根由佳》
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