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【インタビュー】「昭和40年男」編集長・小笠原暁氏が語る『宇宙戦艦ヤマト』の衝撃

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「昭和40年男」編集長・小笠原暁氏が語る、『宇宙戦艦ヤマト』の衝撃とは?【インタビュー】
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昭和40年生まれの男性をターゲットにした異色の雑誌「昭和40年男」(クレタパブリッシング刊)。1月11日発売の最新号Vol.41では、『宇宙戦艦ヤマト』とコラボレーションを実施した。表紙には1978年公開の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のオリジナルポスターが描かれ、特集「俺たちのSF」ではSF的観点から『ヤマト』の魅力を紐解いている。
今回『ヤマト』とのコラボレーションを記念し、「昭和40年男」の編集長を務める小笠原暁氏のインタビューが到着した。

「昭和40年男」
http://www.crete.co.jp/s40otoko/

■小笠原 暁(おがさわらあきら)
北海道出身。メーカー勤務を経て出版業界へ。化学業界誌、バイク誌などを経て、雑誌「昭和40年男」(発行:株式会社クレタパブリッシング)の二代目編集長となる。

──まずは「昭和40年男」という雑誌についてお聞かせください。

小笠原
本誌は昭和40年生まれの男性だけをターゲットにした雑誌です。約7年前の創刊当時(昭和40年生まれの人たちは)、彼らは思春期の子供を育てていて、仕事では第一戦で働いている時期。そういう人たちが一息つけるような媒体を作れないかというのがきっかけでした。
その一つとして『宇宙戦艦ヤマト』に代表されるような懐かしいものを取り上げていきました。昭和40~50年代は、新しいものが次から次に出てくる時代だったんだなと改めて思います。それが好きか好きじゃないとか関係なく、みんなそこを通ってくるんです。現在のように嗜好が多様化していないので、多くの人が同じものを同じように体験してきた恐らく最後の世代で、想い出を共有できるアイテムやブームがとても多いんです。スーパーカーブームが直撃しているので、車やバイクといった乗り物に対して渇望感がある世代で、特集でも反響が大きいです。

──雑誌業界が厳しいと言われる中、2009年に「昭和40年」というテーマで雑誌を創刊した理由と、今なお多くの読者から支持されている、その勝算はどこにあると思いますか。

小笠原
初代編集長には絶対にウケるはずだという確信があったようですが、社内ではターゲットを絞り込みすぎだという意見が多くて、取次業者にも売れる訳がないと大反対されました(笑)。そういう意味では勝算はほとんどなくて、初代編集長の想いだけでしたが、ただ、この人たちは書店に足を運ぶ世代だということはわかっていました。
2005年に、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が大きなブームになっていましたが、その対象であった団塊世代はすでに書店から足が遠のいていましたから、それならば、この世代向けの“三丁目の夕日”になる要素があるんじゃないかということはヒントになりました。


──これからの「昭和40年男」の目標はどこにありますか。

小笠原
購読者の絶対数は決まってますので、悩み深いところですね。おそらく、知ってもらえる人にはある程度知ってもらえたのではないかと認識していますが、サブカル的な要素だけでなく、ファッションなどの情報誌的な要素の幅も広げていかなければいけないと思っています。同年代の様々な立場の人に取材をしていく特集なども今後挑戦してみたいですね。
それとは別に、私自身は、もう一つ下の世代をターゲットにした「昭和50年男」をやってみたいという目標もあります。ただ、やっぱり昭和40年とは時代が全然違って暮らしが豊かになっていますし、嗜好がものすごく多様化しているので、今と同じようなやり方が通用するとは思えないので、工夫が必要でしょうね。あと、「昭和40年女」をやって欲しいという要望は結構あるんですよ(笑)。ただ、女性は過去を引きずらない傾向があるので、成立しないんじゃないですか。

──この度『宇宙戦艦ヤマト』を特集することになった経緯と、その意義についてお聞かせください。

小笠原
この世代にとって『宇宙戦艦ヤマト』は一つのビッグバンだったと思っています。これは福井晴敏さん(※シリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』ではシリーズ構成・脚本を担当)も仰っていたんですが、それまでアニメはどこか子供が観るものという認識があったと思うんです。それが『宇宙戦艦ヤマト』の登場によって、大人の鑑賞に堪え得るものだということに(当時の人たちは)気付かされたような気がします。1978年当時、ここまで騒ぎになるアニメ作品はなかったですから、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットの衝撃は大きかったと思います。
下地として『ウルトラマン』や『サンダーバード』によって、脈々と自分たちの中にそういうものが好きだという気持ちが培われていたけれども、周囲からはいつまでそんな子供っぽいもの観てるの?といったプレッシャーを感じながら、多感な時期を過ごしていました。ちょうどそんな時に『宇宙戦艦ヤマト』と『スター・ウォーズ』というSF作品の双璧が出てきたのです。
だからこそ、『宇宙戦艦ヤマト』を俺たちのものだとして取り上げるとしたら、それは「昭和40年男」しかないと(笑)。これが『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』になると、俺たちのものだと言いにくくなる感じがほんの少しだけあるんです。もう少し下の世代の方が俺たちと言いやすいのかなって。
よく例えで言うのですが、野球選手なら王(貞治)さんや長嶋(茂雄)さん、アイドルなら山口百恵さんや松田聖子さんはあまりに有名すぎて、みんなのスターという印象がしませんか? どうしても「俺たちのスター」とは言いにくいんです。なので、「昭和40年男」では王さんや長嶋さんを「俺たちの」という取り上げ方はしにくいのですが、『宇宙戦艦ヤマト』は自信を持って「俺たちのものだ」と言えるんです。

──表紙が1978年公開の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のオリジナルポスター、裏表紙が2017年2月25日より劇場上映される最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』用に描き下ろされたオマージュポスターという、ヤマト史上初のダブル表紙展開が実現されましたが、そのお気持ちをお聞かせください。

小笠原
『宇宙戦艦ヤマト』を表紙にできるという機会を頂けたことがありがたいです。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のオリジナルポスターはものすごく目に焼き付いていて、それを使えることが嬉しかったですね。


──『宇宙戦艦ヤマト2199』をご覧になって、どう感じましたか。

小笠原
きちんとキャラクターも踏襲されていて旧作へのリスペクトを非常に感じました。その想いに対してリスペクトしたいと思いましたね。

──『宇宙戦艦ヤマト』のように、昭和に楽しまれていた作品たちが、今新たな形で実写化やアニメ化されていますが、そうした状況をどう思いますか。

小笠原
個人的にはとても良いことだと思っています。あの監督だったらどうやってこの作品を描くのかなっていう興味もありますし、新しい楽しみ方を提供してくれているのかなと思っています。なかにはビジネスとして、ただ名前を使ったり、そのテーマを扱ったりするものもなくはないですが、多くはその作品へのリスペクトが感じられますので、旧作を好きな人も楽しめて、尚かつ今初めて観る人も楽しめる。その作品が持っている世界観が新しい人にも伝わるんだなということが嬉しいですね。

──小笠原さん自身の中で、アニメに対するイメージが変わられたことはありますか。

小笠原
アニメは子供のものだというイメージが最初はあって、それが大人の鑑賞に堪え得る一つの表現手段であるということが『宇宙戦艦ヤマト』をきっかけにどんどん加速していった時代背景がありました。そんな中で、一つの象徴的な作品となったのが『機動戦士ガンダム』だったように個人的には思っています。その後、少しそういう流れが退行したのか、自分が観たいと思える作品があまりない状況が続いていたので、旧作へのオマージュに溢れた作品の登場は、その一つの答えなのかなと思いますね。
ただ、「昭和40年男」の読者層は世代的に私よりも少し上なので、アニメは自分の子供時代の思い出(にすぎない)という捉え方をしている人が割合としては恐らく多いんですよ。(アニメは)大人が真剣に作って大人が観ても楽しめる表現手段であるということが読者のみなさんにもっと伝われば良いなと思っています。


──最後に『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』へ期待することをお聞かせください。

小笠原
ヤマトシリーズの中でも一番のピークだった『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のリメイクなので、当然期待感は高いです。なんといっても注目は、そのストーリーがどういったものになるのか、福井さんがどんな風に描くのかという期待がすごく大きいですね。僕自身、とても楽しみにしています。

「昭和40年男」編集長・小笠原暁氏が語る、『宇宙戦艦ヤマト』の衝撃とは?【インタビュー】

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