アウトドア体験に日本文化の魅力をプラス!…群馬県・みなかみ町 | RBB TODAY
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アウトドア体験に日本文化の魅力をプラス!…群馬県・みなかみ町

ビジネス 経営
滝や川の流れに乗って身体一つで渓谷を下るキャニオニング
  • 滝や川の流れに乗って身体一つで渓谷を下るキャニオニング
  • ゴムボートで激流を下るラフティングも人気
  • ツアーの利用客だけでなく、スタッフも多国籍なキャニオンズ
  • 株式会社キャニオンズの代表取締役、マイク・ハリス氏
【記事のポイント】
▼インバウンド集客の魅力の一つは“雪”
▼地域や自然にまつわるオリジナルな歴史を語る
▼海外へのセールスはOTAで


■ニュージーランド人の目から見た日本の山里

 群馬県北部に位置するみなかみ町。この地を流れる利根川がキャニオニング、ラフティングといったアウトドアスポーツの世界的スポットとして注目を集めている。これらアドベンチャーツアーを運営しているのが、株式会社キャニオンズの代表取締役 マイク・ハリス氏だ。

 ニュージーランド出身のマイク氏は、大学で日本語を専攻し、卒業後は日本のラフティング会社に就職。海外でキャニオニング――身一つで渓谷をすべるアクティビティに魅せられ、同社に専門の部門を立ち上げる。やがて独立すると、アドベンチャーツアー、アウトドア事業、スキースクールなどを手がける株式会社キャニオンズを設立した。

 そんなマイク氏の目からみて、みなかみ町はキャニオニングに絶好の環境だった。岩盤の質が良く、原生林が多く、自然がそのままの形で残っている。都心からのアクセスに優れるほか、温泉もあり、ワールドクラスのアドベンチャースポットだと惚れ込んだという。

 実際、マイク氏の思惑は的中し、キャニオンズは多くの外国人観光客を集めている。アメリカ、イギリス、オーストラリア、香港、シンガポールなど……。特に、冬場に訪れる観光客の約8割は外国人。それも英語圏の利用者が特に多いという。東日本大震災の後、日本に来る外国人は激減したが、今は円安の影響で観光客自体が相当に増えているとか。最近ではインドからの問い合わせも多いという。

 ただ、外国人と一口にいっても国民性があり、ニーズが違うので、それぞれの要望に合わせてツアー内容をカスタマイズしているそうだ。また、母国に雪が降らないため、スキーの経験がないという外国人は多い。そこでキャニオンズでは、英語のスキー・スノーボードスクールなども開催し、好評を得ている。

 とはいえ、マイク氏は元々みなかみを、外国人向けの観光地にしようと考えていたわけではない。今でも、夏場は利用者の7割くらいが日本人だという。キャニオンズは外国人スタッフや外国人観光客が多いことから、国内でちょっとした海外旅行の気分が味わえると評判だ。食べ物も地元の新鮮な食材を使いながら、オリジナルバーガーなど海外の雰囲気に浸れるものを用意している。


■大自然に日本文化の魅力をプラス

 外国人観光客が訪日する目的としては、“日本の文化を経験したい”というリクエストが根強い。リピーターはひとまず置いておいて、初の訪日となれば、日本のアウトドアスポーツが目当てという観光客はまずいないだろう。しかし、日本文化は自然と密接に繋がっており、自然と触れ合うことで、固有の文化を経験できるとマイク氏は話す。

「私が川下りのときによく話すのが、利根川の異名である坂東太郎の話です。歴史や文化を学びながらアウトドアスポーツを体験するというのは、外国人にもウケがいい。お寺や神社ばかり見ていたら飽きちゃうでしょ。旅行のバリエーションとして、自然と触れ合うオプションを入れたくなるものです」

 そして自然は、ただ観るだけでなく“体験する”のが一番だという。スリルを伴うキャニオニングやラフティングは、観光客にとって強烈な体験だ。30メートルの滝をダイブすることの達成感は大きく、まるで自分が成長したような感覚を覚えるという。それがリピーターを集める上での、大きな力になっているようだ。「日本に来て一番楽しかった」と言われることもあり、毎年仕事で訪日した際には、仕事終わりに必ず立ち寄る人もいるという。

■世界を駆けるクチコミの威力

 キャニオンズが訪日観光客を集める上で、PR活動に役立てているのがインターネットの活用だ。中でも、プロモーションとセールスに最も貢献しているのが、SNSとOTA(オンライン・トラベル・エージェント)だという。

 OTAとはインターネット上だけで取引を行う旅行会社のこと。店舗に出向く必要がない上に、膨大な数の旅行商品を検索できると人気を集め、ここ数年で急速に規模を伸ばしている。海外のOTAは伝統的な日本文化が味わえる旅館などに注目しているが、みなかみのアドベンチャーと文化もその例に漏れないようだ。

 一方、SNSではフェイスブックを中心に、具体的なツアーの様子を動画でPRしている。キャニオニングは見た目のインパクトが強い分、やはり効果が大きい。しかし、マイク氏がどんなプロモーションよりも効果があると話すのが口コミだ。SNSで「日本に行ったら絶対ここに行く方がいいよ」と、母国でプロモーションしてくれること。それをきっかけに、海外のテレビや雑誌などのメディアが取材を申し込んでくる。

 アウトドアスポーツ拠点としてのみなかみの魅力、そこに歴史と文化を組み合わせたツアーの造成、そしてOTAの活用。これらは、外国人のマイク氏だからこそ生み出せたプランと言えるが、方法論としてはほかの地方にも応用できる。観光資源の発掘に苦心している地域創生の担当者には、大いに参考になることだろう。

~着地型観光:4~アウトドア体験に日本文化の魅力をプラス!

《板谷智/HANJO HANJO編集部》
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