【立入勝義の米国レポート】もはや「人間 VS 人工知能」 という構図は成り立たない | RBB TODAY
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【立入勝義の米国レポート】もはや「人間 VS 人工知能」 という構図は成り立たない

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【立入勝義の米国レポート】もはや「人間 VS 人工知能」 という構図は成り立たない
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 あと30年はかかるとも言われていた囲碁の世界でグーグル傘下のディープマインド社開発のα碁が韓国人トッププロの李セドルを負かしたのはまだ記憶に新しく、米国でも大々的に報じられた。チェスや囲碁は世界的に人気があるのはご承知の通り。筆者はチェスや囲碁はプレイの仕方を知っているくらいで、あまり詳しくないがこのニュースにはもちろん注目していた。

  5月15日に放映されたNHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」でいかにこの現象が衝撃的だったかを改めて認識することができた。進化のカギを握るのは技術はディープ・ラーニングと呼ばれる際限無き自動学習だ。

 羽生といえばもちろん史上最強とも言われる天才棋士。ちなみに筆者は将棋は大好きである(決して強くはないが)。そして、実は将棋連盟のロサンゼルス支部というものがあり、会合にちょくちょく参加している。今月は「西海岸大会」なるものも開催される。アメリカに住んでいると日本の物が恋しくなるのだろうか、駒やら箱にも最近こだわり始めた。日本の木材に特に愛着が湧いてきているのは不思議だ。

 幼少の頃、祖父に教わって以来、下手の横好きの状態が長らく続いていたが、この2~3年将棋ウォーズという棋界に革命をもたらしたアプリのおかげで、将棋熱が再燃。空いた時間を見つけてはせっせと日々棋書を読んだりネット対局したりしている(高い駒には手が出ないが駒箱や駒袋にも凝りはじめた)。

 先週、山形県の天童市で開催された第74期名人戦第5局において28歳の若き挑戦者の佐藤天彦九段が、羽生善治名人を見事倒し悲願の初タイトルである名人位を史上四番目の若さで獲得した。棋界最強棋士を相手に堂々の4勝1敗。世代交代の波は着実にやってきているようだ。

 ところで先のNHKの特番は羽生前名人をホストに据えたAIについての特番であったが、放映後に羽生が近日発表することを示唆していたAIとの対戦。それは昨年見送られた叡王戦への参戦だったことが判明した。同じボードゲーム(マインド・スポーツとも呼ばれる)のチェスにおいてはIBMのスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」が、当時の王者ガルリ・カスパロフを倒したのが1997年と人類が敗れて久しいのだが、チェスより複雑な将棋ではまさにこの数年でAIが人類を上回る現象が起きている。

 先月行われた電王戦(主催:ドワンゴ)はAI同士の優勝機とプロ間のトーナメントでの優勝者(叡王)である山崎八段が対決し、二戦ともAIが勝利した。すでに予選が始まった今年度の叡王戦には先の名人戦を闘った二名以外にも渡辺明竜王を除くほぼすべてのトップ棋士が参加することになり俄然盛り上がりをみせている。前回でも十分多くのトッププロが参加したのだが、やはり棋界ダントツ一位の生涯獲得タイトル数94回という記録を誇る羽生前名人の満を持しての参加は衝撃的で、多くのファンが心待ちにしている。

 このようにAIの力は間違いなく人間を凌駕していくのだが、これから人間はAIといかにコラボしてその技量を高めるか、そしてAIはいかに総合的に人間の脳に近づいていくかという異なった目標に向かって前進していくことになるだろう。
《立入勝義》
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