【現場レポート】認知症徘徊者を位置情報サービスで捜索……台東区で実証実験 | RBB TODAY

【現場レポート】認知症徘徊者を位置情報サービスで捜索……台東区で実証実験

エンタープライズ その他

「SANタグ」から発信される位置情報を「SANアンテナ」が受信しクラウドサーバーへ送信。スマホ等でおおよその位置を確認し、「SANレーダー」で位置を特定していく(撮影:防犯システム取材班)
  • 「SANタグ」から発信される位置情報を「SANアンテナ」が受信しクラウドサーバーへ送信。スマホ等でおおよその位置を確認し、「SANレーダー」で位置を特定していく(撮影:防犯システム取材班)
  • 事前説明を行う加藤電機の加藤学社長。「SANフラワー見守りサービス」は「MCPC award 2015」において「ユーザー部門モバイル中小企業賞」を受賞したとのこと(撮影:防犯システム取材班)
  • 徘徊役は「SANタグ」をお守り袋やベルトに装着するなど5種類の方法で所持。参加者の一人はベルトと靴に装着する形が邪魔にならず良かったと語っていた(撮影:防犯システム取材班)
  • 「SANアンテナ」の設置エリアを通った「SANタグ」の移動履歴はスマホ等で確認できる。地図を表示しておおよその居場所を確認することも可能だ(撮影:防犯システム取材班)
  • 今回の実験は徘徊役と捜索役をそれぞれA班~E班の5組に分け、1対1で捜索するという形で行われたが、実際に徘徊者の捜索を行うなら1つのタグを複数のレーダーで探すことになる(撮影:防犯システム取材班)
  • 「SANレーダー」には「SANタグ」までの距離と方向、電波の強さが表示される。920MHz帯特定小電力無線を使用しており、障害物がなければ最大1kmまで電波が届くという(撮影:防犯システム取材班)
  • タグの電波を捕捉した場合、レーダーには「発見しました」と表示される。場所がビルなど建物の中の場合、同一フロアにくると電波が強くなるという(撮影:防犯システム取材班)
  • 台東区役所分庁舎を拠点に、付近に12本のアンテナを設置して約1.5km四方の見守りエリアを設定。台東区介護サービス事業者連絡会の協力のもとに実験を行った(撮影:防犯システム取材班)
 加藤電機は20日、公益社団法人テクノエイド協会の介護ロボットモニター事業の支援を得て、台東区内で「SANフラワー見守りサービス」を応用した「広域ロボット捜索システム」による認知症徘徊捜索の模擬訓練及び都市型の捜索実証実験を行った。

 そもそも「SANフラワー見守りサービス」はプラチナバンドと呼ばれる920MHz帯特定小電力無線を使用した位置検索&見守りサービス。「SANタグ」から15秒に1回発信される電波を「SANアンテナ」や「SANレーダー」で受信して居場所を特定するシステムで、GPSが苦手とする屋内や地下でも捜索が可能という点が特徴だ。

 今回の実証実験は台東区役所分庁舎を拠点として使い、周辺の12ヶ所にSANアンテナを設置し、およそ1.5km四方を見守りエリアと設定。SANタグを所持する徘徊役とSANレーダーを所持して居場所を探す捜索役をそれぞれA班~E班の5組に分け、1対1(同社スタッフが1名ずつサポートに付き実質的には2対2)で捜索するという形で行われた。

 ちなみにこれまでの実証実験では、北海道釧路市や、同社の本社がある愛知県半田市など、見通しのいい街で行われており、いずれのケースでも20分以内に捜索役が徘徊役を見つけられたという。

●建物密集地でどれだけの成果が得られるか?

 そうした過去の結果を踏まえ、今回は発見することがメインではなく、アンテナ特性の検証が主目的。そのため、電波の妨げとなるビルなどが密集する都市部で、徘徊役の行動範囲を広げるなど、あえて捜索の難易度を上げた状態での実証実験となった。

 実験の流れは、最初に徘徊役の5人に1.5km四方のエリア内の任意の場所に移動してもらい、15分ほど時間をおいて、捜索役が、SANアンテナが取得したSANタグの位置情報や、SANレーダーを使って捜索を開始するというもの。

 結果は、1組は20分ほどで徘徊役を発見できたが、3組はSANタグが発する電波をSANレーダーで捕捉したものの、発見までには至らず。残りの1組に関してはSANタグが発する電波さえも捕捉できなかった。

 ちなみに実証実験に参加したのは、台東区内で在職・在住のケアマネージャーや介護サービス事業者で、実際に高齢者の捜索を行った経験がある方々。一方で「SANフラワー見守りサービス」のSANレーダーを扱うのは初めてで、操作方法はシンプルながらも、1時間という限られた捜索時間では、“使いこなす”段階には至らなかったことも、5組中1組しか発見できなかった要因の1つと言えるだろう。

 また、今回の実験ではさまざまな状況を検証する意図があったため、あえて1対1かつ徒歩で捜索し、時間切れになるケースが3組あったが、実際に捜索する場合は、複数の人員で車や自転車なども利用して捜索するため、今回の実験結果よりも、見つける出せる可能性は高くなるだろう。

●捜索のカギになるのはアンテナ

 今回、取材をしていて感じたのは、「SANフラワー見守りサービス」を使った捜索は、SANレーダーによる捜索の前段階となるSANアンテナでのおよその位置把握が重要になるということ。SANレーダーだけでも探せるが、時間や手間を考えるとSANアンテナによる位置把握があった方がはるかに効率的だからだ。

 ちなみに12か所のSANアンテナの受信可能エリアは、1.5km四方のエリアほぼ全域をカバーする想定で設置されていたが、実験結果を踏まえると、ビルなどで電波が遮られ、SANアンテナによる位置情報の取得が難しいエリアも多数あったことが分かる。実際、SANアンテナを使ったおよその位置の絞り込みができたのは、5組中3組にとどまった。

●将来的にはタグとアンテナとアプリで捜索

 同社の加藤学社長による実験後の総括では「貴重なデータを十分に得ることができ、今後はSANアンテナをどういった場所に設置するのが効果的なのかを検証しつつ、SANアンテナをより増やしていく取り組みに注力していきます」と語られた。

 また、来年からは任意のエリア設定により、SANタグを持った人がエリアから出入りした際にプッシュ通知する機能を導入を予定だという。そして、イエローハットなどの協力のもともSANアンテナを全国各地に設置している最中だが、今後はその数をさらに増やし、将来的にはレーダーをなくし、専用機材をSANアンテナとSANタグだけにして、アプリを使ってスマートフォンなどで捜索できる形を目指して行くそうだ。
《防犯システム取材班/小菅篤》

関連ニュース

特集

page top