顔認証による徘徊防止対策への現場の声は?…導入事例紹介 | RBB TODAY

顔認証による徘徊防止対策への現場の声は?…導入事例紹介

IT・デジタル セキュリティ

ユニマット リタイアメント・コミュニティが運営する若葉ケアコミュニティそよ風(千葉県千葉市若葉区)。現在、40名ほどご入居されている方がいて、単独外出リスクがある方は4名いるという(撮影:防犯システム取材班)
  • ユニマット リタイアメント・コミュニティが運営する若葉ケアコミュニティそよ風(千葉県千葉市若葉区)。現在、40名ほどご入居されている方がいて、単独外出リスクがある方は4名いるという(撮影:防犯システム取材班)
  • 施設のフロア図。階段は電子キーで施錠されており、スタッフのみが利用し、ご入居されている方や来館者はエレベーターを使用している。非常口をのぞいては、出入り口は1Fの2か所のみ(撮影:防犯システム取材班)
  • 「徘徊防止システムLYKAON」を使いこなしながら、感想を語ってくれた若葉ケアコミュニティそよ風の新井彰施設長(撮影:防犯システム取材班)
  • 「徘徊防止システムLYKAON」を導入前は、番号入力式の電子キーを使った単独外出対策を行っていた。安全性は高まったものの、スタッフの手間が増えたのが運用面での課題となっていた(撮影:防犯システム取材班)
  • ネットワークカメラが設置されたメインエントランス。前傾姿勢であることが多い高齢者の顔を撮ることを目的にしているため設置位置には工夫が見られる(撮影:防犯システム取材班)
  • もう1つの出入り口に設置されたネットワークカメラ。ご入居されている方はエレベーターを使うため、その出入りも確認できる位置にカメラは設置されている(撮影:防犯システム取材班)
  • スマートフォンやナースコールとの連携も可能だが、今回は連携はさせず、代わりに音と光で検知を報せる警告灯を合計3台設置。写真は2階の事務所前に設置したもの(撮影:防犯システム取材班)
  • 「徘徊防止システムLYKAON」の基本画面は、システムと連動するネットワークカメラのリアルタイム映像となり、そこから過去の検知ログを見たり、顔登録を行うなどの各種操作・設定を行う(撮影:防犯システム取材班)
 介護・高齢者施設において、徘徊リスクがあるご入居されている方の安全管理は、重要課題である反面、人員に限りがある中では、なかなか悩ましい問題だといえる。

 そうした課題への解決策の1つとして、注目されているのがネットワークカメラと顔認証を組み合わせた“徘徊対策ソリューション”の数々だ。

 今回、LYKAONが提供する顔認証システム「徘徊防止システムLYKAON」を単独外出対策として導入し、約2か月が経過したユニマット リタイアメント・コミュニティが運営する若葉ケアコミュニティそよ風(千葉県千葉市若葉区)に赴き、施設長の新井彰さんに実際に使ってみてわかった感想など、介護現場の声をうかがってきた。



●過去の単独外出事案が導入のきっかけ

 導入に踏み切った若葉ケアコミュニティそよ風は、デイサービス、ショートステイ、訪問介護なども提供するサービス付き高齢者住宅。現在ご入居されている方は40名弱で、そのうち単独外出リスクがある居住者は4名ほどいるという。



 同施設では、過去に大事には至らなかったが、ご入居されている方の単独外出が起きており、そうした事態の再発防止をはかるために、ユニマット リタイアメント・コミュニティが運営する施設の中から選定された。

 ちなみに同システムが導入される前は、暗証番号入力式の電子キーを使った施錠管理による単独外出対策を行っていたが、業者の搬入が行われる時間帯や、デイサービスの送迎の時間帯など、人の出入りが多い時間帯は、来客者のたびにスタッフがドアを開けに行く必要があり、業務の負担になっていたという。



●徘徊の水際阻止と業務負担を軽減!

 ここで顔認証システム「徘徊防止システムLYKAON」についてまとめると、ネットワークカメラが、事前に登録した人物の顔を検知すると、「どこ」のカメラが「誰」を検知したかを報せ、徘徊リスクのある人の単独外出を水際で防ぐことができるというシステムとなる。システム自体は、スマートフォンやナースコールとの連携も可能で、医療・介護現場での業務負担軽減を実現しながら、効果的な徘徊対策が行えることが特徴だ。

 システムを導入した若葉ケアコミュニティそよ風は、3階建ての施設で、通常使用している出入り口は1Fに2か所あり、認証用のネットワークカメラは、この2か所に1台ずつ設置した。





 「徘徊防止システムLYKAON」の管理用パソコンは、2階にスタッフが常駐する事務室に設置。他にも施設側のシステムの都合上、今回はスマートフォンやナースコールとの連携は行わず、代わりに1Fのデイサービス用のスペースとショートステイ用のスペース、2Fの事務室前に音と光で検知を報せる警告灯を合計3つ設置することで、スタッフ間の検知情報の共有をはかっているそうだ。



 前述の新井施設長による同システムを使った感想としては、直感的な操作ができるため、ストレスなく運用できる点がスタッフ間で好評とのこと。また、顔認証の「顔」登録に関しては、ネットワークカメラが撮影した映像から、単独外出リスクのある人物を登録していくことができるため、わざわざ登録用に顔画像を用意する必要がなく、スムーズな運用開始ができる点を評価していた。



●見回りの手間が大幅に削減

 実際にシステムを導入してみて、まず最初に挙がったメリットが、出入り口にカメラを設置したことによる状態の見える化ができるようになった点。これまで若葉ケアコミュニティそよ風では、施設内にネットワークカメラを設置しておらず、出入り口付近の見回りを定期的に行う必要があったそうだ。



 しかし、同システムの導入に伴い、ネットワークカメラを設置したことで、2階の事務室にある管理用パソコンから、2か所のカメラ映像から出入り口付近を常に確認できるようになり、頻繁に1Fに見回りに行く必要がなくなり、大幅な業務負担の軽減ができるようになったそうだ。

 また、顔認証システムに絡んだ部分では、単独外出リスクのあるご入居されている方の中には、夜間に気分転換のために1Fの出入り口付近にあるベンチに座って過ごす人もいるそうで、その場合、顔検知の応用的な使い方として、長居し過ぎて風邪を引かないかなど、スタッフが気を配ることもできるようになったという。





●徘徊対策にはどのような効果があるのか?

 続いては肝心の単独外出対策に関して。導入して2か月が経つが、単独外出事案は発生しておらず、期待通りの効果が上がっているそうだ。

 過去に単独外出事案を経験しているスタッフからは、顔認証による検知ログを映像付きで確認できる点が「いざという時の安心感に繋がる」という高い評価を得ているという。

 それというのも過去の事案では、ご入居されている方が外出した際の服装が分からず、捜索に苦労したというケースがあったそうで、同システムならば、最終検知時の映像データから、服装情報を得て、効率的な捜索ができるわけだ。

 「単独外出」をゼロにするための取り組みをしつつも、仮に起きてしまった場合の対応も考えるのが、現場ならではの視点と言える。

 こうした現場の声を受け、ユニマット リタイアメント・コミュニティの本部では、ネットワークカメラと顔認証を用いた単独外出防止対策の有用性に手応えを感じているという。当初、懸念されていたご入居されている方のご家族からの理解に関しても、反対意見などはなく、「安心につながる」と好評とのこと。また、設置に際して、顔認証システムの導入をお知らせする張り紙を貼ったところ、他のご入居されている方からの拒否反応などもなかったそうだ。

●さらなる利便性向上も期待できるポテンシャル

 今回は初めての導入ということで、一部制約がある中での運用となったが、「徘徊防止システムLYKAON」自体は、ナースコールとの連携や各施設の顔検知の様子を遠隔地からでも確認できる本部管理機能などもあり、現場スタッフの負担軽減やより盤石な安全管理体制の構築も可能だ。

 日本社会の喫緊の課題として、超高齢化社会と労働者不足への対応がしばしば指摘されており、とりわけ介護業界はその最前線の現場といえる。ネットワークカメラと顔認証システムというと、今はまだ防犯用途のイメージが強いが、介護現場での徘徊対策を軸とした安全管理の強化や、業務負担軽減に貢献できる実績が積み上がっていくことで、近未来の日本が抱える課題の解決につながる注目すべき技術だといえるだろう。
《防犯システム取材班/小菅篤》

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