【SXSW2015】日本も負けてない……トレードショーで見たイノベーション | RBB TODAY
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【SXSW2015】日本も負けてない……トレードショーで見たイノベーション

エンタープライズ その他
Exiiiの筋電義手handiii
  • Exiiiの筋電義手handiii
  • インタラクティブな絵本のPLAYFUL BOOKS
  • 漢方のデジタル化を目指すKAMPO ME!
  • 漢方のデジタル化を目指すKAMPO ME!
  • 農家と消費者をつなぐ架け橋になるkakaxi
  • 農業用土壌センシングデバイスのSenSprout
  • アメリカ人にもウケた家賃と希望条件を天秤にかけるすごい天秤
  • 東京電機大学の360度水中ビデオカメラ eye sea
 SXSW2015のトレードショーには日本の企業や団体が多数出展していた。来場者から注目を集め、中には「ジーニアス!」と称賛を受けていた出展者もおり、日本人としても誇らしい気分になれた。そんな優れた製品をいくつか紹介したい。

■筋電義手を3D プリンタにより格安で提供するイノベーターexiii

 筋電義手(きんでんぎしゅ)というものをご存じだろうか?腕の筋肉の動きで指先を操作できる義手で、手を失った人にとってとてもありがたいものなのだが、この義手はドイツのオットーボックという会社が世界の95%ものシェアを握っており、イノベーションが起きづらく、価格も150万円と高止まりしているため、いろいろ課題の多い製品だ。そんな筋電義手を3Dプリンタによって安価で誰にでも手の届くものにしようとしたのがexiiiの製品「handiii」だ。

 価格は3万円程度で故障した場合の部品交換も容易いという特徴がある。また3Dプリンタで作ることによってデザインもカスタマイズ可能。手をなくした方にとって、義手は恥ずかしいものではなく、アイデンティティとして受け入れている方も多い。デザインも好きに選べる、カスタマイズできるということは個性をアピールできるとして好評らしい。iFデザインアワードなど海外でのデザイン賞も獲得しており、ビジネスとしても成長性がありそうだが、本人たちは社会課題の解決を目指しており、儲けることはあまり考えていないという。

■インタラクティブな絵本PLAYFUL BOOKS 自作絵本も可能に

 iPhoneのモニターを使って動画と合わせて見せる絵本はあるが、iPhoneを使って絵本そのものをインタラクティブにしたのがPLAYFUL BOOKSだ。ページを開くと絵のドアをノックしたり、その絵にあった動物の鳴き声がでたりと小さい子どもが楽しめる仕様となっている。また照明の色もそのページにあった色で照らされ、絵本の世界を楽しめる仕組みとなっている。現在では2作品、米国でもamazon.comで購入可能だそうだ。また開発段階ではあるが、自作の絵本でもこの2作品と同様にインタラクティブな絵本にカスタマイズできるようなデモも行われ、今後の可能性の拡大に期待できる。

■日本の漢方、IoTを使ってデジタル化するKAMPO ME!

 漢方は中国の東洋医学を源流に持ち、日本で独自発展した医療で、望診・聞診・問診・切診の四診という技法を用いて診断し治療を行うという。簡単に言うと見たり、聞いたり、匂いを嗅いだり、触ったりと五感を使って診断するそうだ。しかしこの漢方という分野は暗黙知が多く、漢方医のみぞ知る部分が多いらしい。そこで北里大学と富士通総研が一緒になってそのノウハウをデジタル化したのがKAMPO ME!だ。

 具体的には猫の形をした美容ローラーや目覚まし時計、舌を見るスコープ、ボディスーツなどのIoTデバイスで日常の中でこの四診を行い、診断できるというもの。舌を見るのに口を開けて10秒かかったり、目覚まし時計は脈拍をちゃんと測り終えないと止まらないなど使い勝手として荒削りな部分も多いが、アイデアは非常に面白い。

■農家と消費者を結びつけるkakaxi

 岩手県花巻市の農家と消費者を結びつけて、農家が愛情込めて作った作物の消費の現場、つまりどう食べられているかを見ることで喜びを分かち合えたり、また消費者側からは作る現場をを見てその愛情を感じ取れたりと、お互いの相乗効果を得られればとして始まったkakaxi。当初はフリーペーパーでそのコミュニケーションを行っていたが、スマートフォンを利用して、より相乗効果を広げたい、他の地域でも同じ喜びを、という思いからSNSサービスも作られた。具体的には畑に専用のデバイスを置き、デバイスに付いているカメラから動画を撮影し、タイムラプス映像によって見せることで消費者に農業現場を伝え、また受け取った消費者はその作物をどのように食べたかを写真などで農家に伝えるというサービスを展開する予定だ。デバイスは農家に無料で配られるため、農家に負担はなく、無理のない普及を目指している。

会社自体は消費者が契約農家から野菜を買うという文化が根付いているアメリカで先行して普及させるため拠点を移しており、更に日本には逆輸入という形で普及を目指しているという。
《亀川 将寛》
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