【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」 | RBB TODAY
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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」

エンタープライズ モバイルBIZ
郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ
  • 郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ
  • 昨年11月にリニューアルデビューし、その後も急ピッチで機能追加が施されているゲオ公式アプリ
  • リニューアル後わずか3カ月で100万ダウンロードを実現できたのは店舗での大々的なキャンペーンが功を奏している
  • キャンペーン
  • QRコードを使った会員証機能
  • マイショップ登録機能
  • 顧客のログインを促す小ネタの1つ、おみくじ機能
  • 顧客のログインを促す小ネタの1つ、おみくじ機能
■「ゲオ」がオンライン事業に本腰を入れてきた

 DVD・CDレンタル店を展開するゲオが、このところ立て続けに公式スマートフォンアプリ「ゲオ」に関するプレスリリースを打っている。携帯電話向け、およびスマートフォン向けのサービスは以前から提供していたが、昨年11月14日にスマートフォン向け「ゲオアプリ」の大幅リニューアルを実施。クーポンキャンペーンを展開したほか、顧客を店舗へ来店させるための様々な仕掛けをアプリに施した。このアプリはその後も頻繁にマイナーな機能追加等を実施してきたが、2014年2月に入ってからはこのアプリに関して立て続けに3本のプレスリリースが打たれている。まずこの公式アプリが100万ダウンロードを突破し、その記念キャンペーン実施に関するリリースが2月14日に発表された。2月24日にはこのアプリの重要な機能であるカードレスのスマホ会員証サービスが直営全店展開へ。3月7日には、会員が視聴したDVD等のレビュー機能を拡張し、会員間でレビューを参照できるようにした。

 DVD・CDレンタル業界最大手はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が運営するTSUTAYAで、全国1,461店舗(2013年12月末)を展開している。ゲオは業界2位で、全国1,343店舗(2013年12月末)でTSUTAYAを追う。TSUTAYAといえば、早い時期からオンラインサービスを手がけ、モバイル向けの各種サービスにも力を入れてきた。一方のゲオはリアル店舗での営業展開を主体にし、オンライン系サービスの展開では遅れをとってきた印象があった。

 そのゲオがこれまでの遅れを取り戻すべく昨秋からスマートフォン向け公式アプリに本腰を入れ出したのである。じつは筆者もそうしたゲオの変化を昨年から薄々と感じていた。筆者は一時期、モバイルコンテンツ業界に籍を置いていたことがあったが、その時に交流のあったモバイルコンテンツ業界の知人らが続々とゲオに集い出していたからだ。

 まずその筆頭が、バンダイネットワークス(現:バンダイナムコゲームス)の元社長だった林俊樹氏だ。林氏は2012年10月にゲオホールディングスに移られ、現在社長室長としてゲオホールディングスの遠藤結蔵社長直轄の組織でネットワーク戦略を一手に担っている。その林氏がゲオに移られた後、続々とモバイルコンテンツ業界各社の第一線で活躍されてきた人たちが林氏のもとに集いはじめた。筆者の知る限りでも、たとえばかつてドコモグループで活躍されていた榎本淳一氏が若手リーダーとしてゲオのスマートフォン公式アプリ等の事業を牽引しているほか、元サミー系コンテンツ会社の倉垣英男氏や佐藤慎吾氏らがゲオグループ全体のブレーンとして関与されている。かつてモバイルコンテンツ業界に関わった方であれば、知る人ぞ知る方々である。こうした動きを見ても、ゲオがいかに本気でネットワーク戦略に取り組もうとしているのかが分かる方には分かるはずだ。

 DVD・CDレンタル業界の市場規模は年々減少を続けている。一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の調査によると2012年の市場規模は2005年と比較し3割の減少となっている。その主な理由は、動画配信サービス市場への顧客の移行と競争激化に伴うレンタル単価の減少である。中小レンタルチェーンの店舗数はピーク時の1/3となるなど、店舗数も減少が続いている。そうした中で、ゲオは引き続きM&Aや積極的な新規出店を続けるなど攻めの経営を行っている。

 動画配信サービスへの顧客の移行は、ブロードバンドインフラが整った現代において当然の流れといえる。こうした顧客のレンタル方法の変化に対しては、スマートフォン公式アプリを通じた会員サービスの拡充が要となっていくはずだ。ゲオもここを見越して、公式アプリを軸にオンライン事業に本格的に取り組んでいくことになるのだろう。一方レンタル単価の減少については、もともとゲオは「100円レンタル」など徹底した低価格路線で事業展開を図ってきたため、他のレンタルチェーン企業に比べるとダメージは大きくはない。しかしながら、今後もさらなる収益を確保していくためには徹底したコスト管理が求められてくる。各店舗の顧客ニーズにあった作品をラインアップさせつつ、在庫数を最適化させることで経費削減につなげる必要に迫られる。これは今後、店舗の貸し出しデータや公式アプリを通じたビックデータ分析により、よりきめの細かいマーケティングを実践することで国内シェアトップを目指していくということだろう。顧客のニーズを細かく分析するためにも、会員管理のオンライン化は必然となっていくのであろう。
《木暮祐一》
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