TSUTAYAに遅れをとったゲオのオンラインサービスだが、このスマートフォン公式アプリを軸にして様々な展開を短期間で実現させていくようだ。前述したが、ゲオではレジを通過しているアクティブな会員だけでも1600万人を抱えている。既存店舗約1,343店にこれだけの顧客が確実に足を運ぶ、いわば安定した顧客プラットフォームを持っている。「ログインボーナス」や「来店スタンプ」などを通した仮想通貨「ゲオス」による利用促進など、顧客がゲオのサービスに対してアクションを取ることにインセンティブを与えることで、アプリの利用頻度や来店頻度を一層高める効果も狙っている。今後はこれらの小技で収集したデータから顧客の行動分析を行い、レコメンデーションの手法も取り入れ、効果的に顧客に商材をアプローチしていくような展開も試みるのだろう。ゲオの既存会員へのサービス拡充につながる上、広くPonta会員向けにもゲオと絡めたサービス展開などの発展も期待できるのかもしれない。オンラインからオフラインへ顧客を誘導させるO2O(Online to Offline)マーケティングの試みが各所で見られるが、そうした中でゲオのオンライン戦略の今後の動きは、マーケティング関係者必見であろう。
《木暮祐一》