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【インタビュー】船出から1年、作家エージェント会社「コルク」が感じた手応え(前編)

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コルク 代表取締役社長 佐渡島庸平氏
  • コルク 代表取締役社長 佐渡島庸平氏
  • コルクのHPでは契約作家等の最新情報も配信している
  • 「宇宙兄弟」小山宙哉氏のホームページ
  • 「ドラゴン桜」の三田紀房氏も契約作家の一人
■漫画家の収入をハリウッドのトップクラスと互角に

――とても手応えを感じられた1年だったということですが、具体的な成功事例などを教えてください

 まず、伊坂幸太郎さんの中国・韓国・台湾での版権の話が非常にしっかりとまとまりました。今まで1冊単位でしか決まっていなかったものを、きちんと群として売ることが出来た。さらに、三田さんの出世作である「クロカン」のアニメが香港で作られたり、「ドラゴン桜」のインドネシア版が作られる事になったりと、海外展開が広がりました。

――成功の要因はどんなところでしょうか?

 今まで、海外の人たちが日本の漫画を自国で展開しようとした時に、そもそも誰に話せばいいのか分からないという問題がありました。その窓口がはっきりしただけでも大きいと思います。コルクが窓口として問い合わせにしっかり答えて、まずはやってみましょうという話をしてきた。いきなり高い条件を提示しなかったこともポイントです。これまでの出版社の体制だと、凄く売れている作品と売れていない作品があった場合に、全て同じ条件を提示していた。たとえば、出版社が持っている最強のコンテンツで契約する機会があれば、できるだけ高いパーセンテージで契約しようとするでしょう。出版社の場合、その最強のコンテンツのパーセンテージで全ての作品を契約しようとするわけです。そうすると、日本でもそこまで流行ったわけではないのに、そんなに強気でこられても相手は困ってしまいます。二次使用というのは作品の知名度を上げるのに役立つわけだから、元の作品の知名度が弱いのであれば、ケースバイケースで条件を変えていくべきです。僕らは作家のコンテンツが世界中で広まるために、全てケースバイケースで条件を考え直します。何もかも前例にのっとって、その条件でなければコンテンツアウトしない、という考え方ではありません。

――佐渡島さんは、作家・作品の価値を最大限に高めていくということを仰られています。その意味で世界進出は必須であるとお考えですか?

 世界進出は、ビジネス面で考えると必須では無いんです。日本という国の市場はまだまだ大きくて、そこで出来ていないこともたくさんあります。ただ、そこにかまけていて世界に目を向けないと、他国のコンテンツに置いて行かれるとも感じます。また、僕は現代の作家全ての収入をもっと増やしたいと考えていて、少なくともハリウッドのトップクラスと日本の漫画家が互角の収入を得られるようにしたい。米国のメジャーリーグが良い例ですが、ビジネスマンが関わることで、選手の年俸だけでなく球団の売上も含めてこの15年くらいで何倍にもなった。それは、メジャーリーグに対して世界中のファンがついたから。日本の漫画にも世界中のファンがつけば、同様のことが実現できるはずだと思っています。

 それと、漫画を作る際に海外の人が読むことはあまり想像していないのですが、それでも思いがけず感動してもらえると凄く嬉しい。純粋に、そんな嬉しさを味わいたいという意味でも海外に挑戦したいというのはありますね。

――やはりポイントは窓口としてきちんと認知されるということでしょうか?

 まずはそれですね。それと、今までは先方に翻訳を任せて、全てあちらのリスクでやってもらっていました。でも作品の内容に自信があれば、これからはこちらで翻訳して持って行くのでもいいと思います。特定の国ということでは、台湾・韓国は重要ですね。世界でヒットするために、どこか本国以外でヒットした実績があれば売りやすくなります。色々な国の人たちも意外と前例主義だったりするので、海外に売りに行くと、まず「日本でどれだけ売れた?」と聞かれて、次に「海外ではどうだった?」と聞かれます。そして、「両方でこれくらい売れてますよ」と言うと、「じゃあ私も読んでみようか」と言ってくれる。日本・台湾・韓国で1回でも流行っておくのは重要です。

※後編に続く
《白石 雄太》
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