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【テクニカルレポート】ユニファイドコミュニケーションのためのスマートフォンを応用した高度プレゼンス……OKIテクニカルレビュー

本稿ではプレゼンス機能における研究開発の歴史を一部紹介し、スマートフォンを応用したプレゼンス情報の自動取得、高度化とその応用を目指す技術開発について紹介する。

ブロードバンド テクノロジー
図1 Com@WILL によるプレゼンスサービス
  • 図1 Com@WILL によるプレゼンスサービス
  • 図2 外付けセンサによる高度プレゼンス
  • 図3 NFC と加速度センサによる高度プレゼンス
製品事例 Com@WILLによる
プレゼンスの管理/共有の仕組み

 次に商品化されたプレゼンスの事例として弊社のソフトフォン製品Com@WILLのプレゼンスについて紹介する。相手の状態/状況を確認する機能として、Com@WILLではプレゼンスサービスを提供している(図1)。

 利用者は、自分の状態/状況(オンライン、オフライン、取込中、離席中、等)を手動で設定して、自分の状態/状況を相手に通知することができる。通話状態については、IP/SIP-PBX(テレフォニーサーバ)SS9100/DISCOVERY neoに接続されているアプリケーションサーバAS8700により、自動的に検出し自分の状態/状況(通話中、等)として相手に通知している。また、モバイル端末の無線LAN利用場所を自動で特定し、自分の場所情報も併せて相手に通知することもできる。

 もう一つCom@WILLにおける特徴的なプレゼンス情報に、ショートメッセージがあり、256byteまでの文字列を、付加的な自分の状態/状況として相手に通知できる。OKI社内では、この付加的な情報で現在の仕事内容や気分等を関係者に通知するなど、社内SNSのように利用する者も生まれ、新たなオフィスコミュニケーションの原型となっている。

OKIの研究開発事例1
外付けセンサによる高度プレゼンス

 筆者らは前述のCom@WILLで利用しているプレゼンス管理、配信機能を改良し、新機能を追加するため、スマートフォンをシステムの要素に追加して、自動位置検出機能、状態推定機能を高度化することを目標とした。以下ではスマートフォンを利用した、プレゼンスの研究開発事例を紹介する。

 まずHarrisonらによる研究4)を元に、スマートフォンを携帯したユーザがオフィス内のどこにいるのかを、スマートフォンに外付けしたセンサモジュールの出力値から推定し、推定結果を利用して電話の通話相手への通知方法を変更する(会議中の相手には自動的に留守電に変更する等)など、オフィスでのアプリケーションの処理を変更するシステムを開発した5)6)。システムは実際には、スマートフォン+センサモジュールが置かれた物体(会議卓の机、自席の机、スーツのポケットなど)を推定し、物体の位置から間接的にユーザの状況(会議中、自席、移動中など)を推定することになる。

 センサモジュールは5種のLEDと、対象物に照射されたLEDの反射光強度を計測する光センサ、LED照射を変化させ、またセンサの出力値を処理するマイコン、マイコンとスマートフォンとの通信用のBluetoothモジュールからなる(図2)。

 LED照射への反射光パターンは対象物体、すなわちセンサモジュールが置かれた物体によって異なるため、パターンと物体との対応を事前学習しておけば、パターンから物体を識別できる。各種LEDを順に点滅させ、計測した反射光パターンのデータをセンサモジュールからBluetoothで受信したスマートフォンが、今度は無線LAN経由でサーバに配置した識別器に送信し、反射光データがどの物体によって得られたものかを識別して、物体、すなわちスマートフォンの置かれた推定位置を得る。推定位置情報がプレゼンスとしてスマートフォン、およびプレゼンス配信システムにサーバから配信され、電話の通知方法などシステムの挙動が変化する。

 事前に複数の場所(自席の机、会議卓など)の物体による反射光パターンを識別器に学習させた。識別器として、4)と同様のナイーブベイズ識別器(Naive Bayes Classifier) と処理が軽いためスマートフォンでの応用に適していると考えられるSVM(Support Vector Machine)の二種類を利用した。これらの識別器に反射光データを入力して、スマートフォンが置かれている場所を出力させた。システムの基本的な場所識別性能を確認するため、オフィス内什器と同様の材質である10種類の物体を識別させたところ、二種類の識別器でともに10種類中6種類以上が100%、最悪例でも75%以上の正解率を得ることができた5)。

 このように、このシステムは比較的詳細な位置を高精度に検出できるが、スマートフォンに外付けのセンサモジュールを必要とするという問題がある。

OKIの研究開発事例2
内臓NFCと加速度センサによる高度プレゼンス

 前節のシステムが、外付けセンサモジュールを必要とするという点を考慮し、スマートフォンに内蔵されているNFC(Near Field Communication)や加速度センサの機能のみを利用して位置推定、プレゼンス出力を行うシステムを新規開発した7)。

 NFCカードが会議室入り口や、自席のスマートフォンの充電台など特定の場所に配置されており、スマートフォンでカードを読むことで、「会議中」「自席」などのプレゼンスをシステム側に出力する。また、スマートフォン内臓の加速度センサの値から、ユーザが歩行していることを推定し、「歩行中」というプレゼンスを同様に出力する。プレゼンス情報を得て、相手が会議中の場合には、電話をやめてメールにするなど、コミュニケーションの方法を柔軟に変更することができる。

 本システムはスマートフォン内蔵の機能を用いてソフトウェアでプレゼンスを実現しているため、センサモジュールのような外付けのハードウェアは不要だが、その分、位置の検出精度は粗い。また、環境側にNFCカードを配置する必要があるなど、コスト面の問題もある。これらの技術はユーザの利用の仕方、アプリケーションに応じた選択が必要となるであろう。

高度プレゼンス機能の応用と今後の技術開発
 オフィス内など特定の領域内に入るユーザに、時間限定、場所限定のIDを配布するワンタイムID配布機能と、高度プレゼンス機能との組み合わせで、お客様に一時的な内線電話番号を提供し、また同時に入退出管理などを行うというPBXの新規サービスを開発中である7)。受付での入退出管理と同時に、出社、退社のプレゼンスの変更を行い、個人が利用しているスマートフォンが社内内線電話端末として利用可能になる。社内滞在時にはスマートフォンから常時プレゼンスがシステムに配信され、状況に応じたコミュニケーションを行うことができ、退社時には内線およびプレゼンス機能が利用不可となる。これは近年注目されている個人のスマートフォンを社内システムで利用するBYOD(Bring Your Own Device)の活用事例ともいえる。2012年のOKIプレミアムフェアにおいて、DISCOVERY neoとの連携による新しいサービスイメージとして紹介したところ、専門誌に取り上げられるなど、好評を博した8)。

 高度プレゼンスシステムはワンタイムIDシステムとの組み合わせによるオフィス内の内線提供や、オフィス内だけでなく、ショッピングモールやアミューズメント施設など、屋外や、より広いエリアでの利用も考えられる。環境側に設備を必要としない位置検出システムや、位置検出機能の精度を上げるため無線LANシステムを利用するなど9)10)活用の場を広げるための研究開発が今後必要とされる。

《RBB TODAY》

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