“魚の記憶力”を可視化、人の意思決定メカニズムを探る……理研 | RBB TODAY
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“魚の記憶力”を可視化、人の意思決定メカニズムを探る……理研

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今回考案した回避行動を学習させる仕組み
  • 今回考案した回避行動を学習させる仕組み
  • 学習成立してから24時間後に観察したところ、大脳皮質に相当する領域にスポット状の神経活動パターンが確認できた
  • 2つのルールを使った実験
  • 2つの異なる神経活動パターン
 理化学研究所は17日、魚が特定の行動を行おうと意思を決定するときに、大脳皮質に相当する領域の特定の神経細胞群によって保存されている行動プログラムが読み出される過程(意思決定メカニズム)を、可視化することに成功したと発表した。

 過去の研究から行動プログラムの選択には大脳皮質-基底核回路と呼ばれる神経回路が関わると考えられているが、この回路内でどのような変化が起こるのかはあきらかにされていなかった。

 研究チームは、2つの部屋に分かれた水槽のなかで、ゼブラフィッシュに赤色ランプを提示し、反対側の部屋に逃げなければ軽い電気ショックを与えるという試行を繰り返して回避行動を学習させた。次に、蛍光タンパク質の蛍光強度の変化で神経活動を計測する「カルシウムイメージング法」を用いて、回避行動のプログラムを思い出している最中の脳の神経活動を計測した。

 その結果、学習成立から長時間(24時間)経過した個体だけ、大脳皮質に相当する領域にスポット状の神経活動パターンが観察された。これは、長期的に記憶された回避行動のプログラムが読み出される過程の可視化に成功したことになるという。

 この大脳皮質相当領域を回避学習する前に破壊すると、学習する能力や学習した行動を30分程度の短い期間で思い出す能力(短期記憶)には影響はないが、24時間以上経過した場合、学習した回避行動(長期記憶)を思い出せなくなった。

 脊椎動物の原型であるゼブラフィッシュをモデルにした今回の成果によって、ヒトを含む動物の行動プログラムが脳でどのよう作用し、意思決定がなされるのかをあきらかにする研究が、今後飛躍的に進むことが期待される。なお、この成果は、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)発生遺伝子制御研究チームの青木田鶴研究員、岡本仁チームリーダーらによるものとのこと。


《冨岡晶》
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