【入試方式と就職2】経団連が新卒者に求める資質 | RBB TODAY

【入試方式と就職2】経団連が新卒者に求める資質

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厚生労働省指定キャリアコンサルタントのクロイワ正一氏
  • 厚生労働省指定キャリアコンサルタントのクロイワ正一氏
 前回は、大学受験界を巡る「AO・推薦入試経由の学生が就職活動で不利」と言う噂が、いかに妄言・迷言であるかについて説明しました。

 折りしも2013年3月15日、急速に進むグローバル化に対応すべく、前向きな大学改革に取り組んでいる東京大学が推薦入試の正式導入を発表しました。このことが、まさに前記の噂の危うさを象徴しています。今回は、こうした議論の不毛さを実証的かつ論理的に示させていただきます。

 第1に、この話は「AO・推薦入試を経由した進学者の中には、高校時代にあまり勉強しなかった学生もいる」という現実を、あたかもすべての進学者がそうであるかのように捻じ曲げています。指定校推薦で進学する生徒は、高校の成績上位者ですから、むしろ逆です。また、自己推薦、公募推薦、AO方式経由の入学者の中にも、成績優秀で学力の高い生徒はたくさんいます。「AO・推薦入試で大学に入った。ゆえに、学力レベルが低い」という論理は、ここにおいて脆くも崩れます。

 第2に、「高校レベルの勉強の習熟度が低い。それゆえ、企業は避ける」というロジックにも無理があります。日本経済団体連合会が提示する「新卒者に求める資質」を見ると、上位項目は「コミュニケーション能力、主体性、協調性、チャレンジ精神」となっています。他の調査でも類似の結果が出ています。どこにも「高校時代の成績(勉強のでき具合)」といった項目はありません。さらに言えば「大学時代の成績」すら、さほど問うていないのです。

 保護者の方々も、イメージしてください。「高校時代の成績は5段階評価でオール5。超難関大学に主席で入学して、大学での成績も優(またはA)ばかり」。先の噂なら、このような学生は、企業から求められるはずです。

 しかし、読者の皆さんが「自分の会社に入ってほしい人材」として想定する学生は、このような基準・尺度で評価される人物でしょうか。おそらく多くの方は、首を横に振るはずです。むしろ「頭でっかちで融通が利かないかもしれない」といった連想から、「遠慮したい」というイメージを抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 私が言いたいことは「成績優秀者がよくない」ということではありません。就職活動と大学入試の際の受験方式は、別の次元の問題であるということです。

 次回は、AO入試や推薦入試の際に考えた志望動機が、そのまま就職活動で活用できたという事例を紹介します。そして、中長期的なキャリアデザインにおけるAO・推薦入試の意義・効用について説明いたします。

<著者紹介>クロイワ正一
 厚生労働省指定キャリアコンサルタント(Career Development Adviser)。ヘルメスゼミ代表および一般社団法人AO入試振興協会・理事長。30年以上、塾・予備校・通信教育などの教育産業に従事し、「職業人生を見据えた進路選択」についてアドバイスを展開している。中学・高校・大学、塾・予備校などでの年間講演回数は100回以上。「クロイワの楽勝!小論文」(KKロングセラーズ)、「志望理由書の模範的書き方」「面接試験での模範的答え方」「複数内定者に学ぶ就活勝者のプレゼン」(以上、ライオン社)、「電光石火 AO・推薦入試」(ブックマン社)など著書も多数。一橋大学・同大学院修了(経営学修士)。
《編集部》

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