【新連載・ひとりでいけるもん!】男ひとりでスイーツ食べ放題 | RBB TODAY

【新連載・ひとりでいけるもん!】男ひとりでスイーツ食べ放題

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コスモワールドからはキャーという楽しい悲鳴が聞こえていた。
  • コスモワールドからはキャーという楽しい悲鳴が聞こえていた。
  • スイーツパラダイス。訪れた時はまたハロウィン前だった。
  • カップルでにぎわっております。
  • いろんな種類のケーキ! これを食べるために来たのだ! ひとりで。
  • お店から観覧車が見えて、隣のカップルが後で乗ろうと話していた。
  • ケーキを食べながら、もっとらしい顔で株価を見ていた。
  • 対面にもお皿と飲み物を並べ2人で来た風を装った。
  • 店員さんに頼んで記念撮影。若干照れています!
 スマホという発明は多くの「ひとり」に可能性をもたらした気がする。

 世の中には別に禁止されているわけではないけれど、ひとりでは行きにくい場所というものが存在する。「焼肉」や「遊園地」などがそれだ。確かにひとりで来ている人をほとんど見ない。そんな場所でもスマホを持って行けばひとりでも戦えるのではないか? というのがこの連載だ。戦うとはひとりでも寂しくない、あるいは浮かないことである。

 といわけで1回目の今回は、スマホを片手にひとりで「スイーツ食べ放題」に行ってみようと思う。食欲の秋というのもあるし、私はスイーツが大好きなのだ。だったらひとりで行ってもいいじゃないか、と自分に言い聞かせ、カップルで溢れているスイーツ食べ放題へと向かった。

■休日、みなとみらい、スイーツ

 秋晴れの休日のみなとみらい。桜木町駅を降りた時点で多くのカップルが闊歩していた。デートスポットなのだ。そんな場所に私はひとり降り立ち、スイーツの食べ放題である「スイーツパラダイス みなとみらい店」に向かった。スイーツからどう頑張っても、男ひとりを連想できないのだけれど、ケーキが好きで、誘う相手がいなかったのだから仕方がない。

 到着したスイーツパラダイスは盛況のようで列を成していた。そこにひとり並ぶ。チラッと中を見ると、ひとり席はなく、ほとんどがカップル席だった。いるのもカップルと家族連れと女子高生たち。男ひとりはいないようだ。ただし美味しそうなケーキも見える。好きだけど別れる、みたいな淡い恋愛小説のような感情が私を襲った。食べたいけど、周りの目が恥かしくて帰りたいとも思うのだ。

■ひとりだから気がつく店員さんとスマホの優しさ

 幸い10分ほど並んだだけで、中に入ることができた。店員の女性が「お客様ご案内しま〜す」と大きな声で言いながら私をテーブルに導く。言わないで、静かに僕をご案内して、と思う。周りから気付かれたくないのだ。しかし、後でこの店員さんの優しさに気が付いた。

 カップルがお店にやって来ると店員は「2名様ご案内しま〜す」と言い、家族連れなどの場合は「3名様ご案内しま〜す」と人数とご案内しま〜すがセットのようだった。しかし気を使ってなのか、マニュアルなのか、「1名様ご案内しま〜す」とは言わないのだ。ひとりでなかったら気がつかなかった優しさ。店員さんを少し好きになった。

 私は並んでいる時からスマホを触っていた。手持ち無沙汰というのもあるし、何よりここにひとりで来ていることを成立させようとしていたのだ。スタバというノマドのホームを抜け出し、スイーツ食べ放題という新たなノマドのスタイルを確立させた人のように見せようと。具体的には株の取引を見ていた。ぽいじゃない。でも、この日は休日で株価は全く変動しないし、私は株に手を出していないので、変動しても特に生活に変わりはない。しかし、スマホだけがこの空間での友達。スマホを見ることでひとりが許される気がするのだ。彼もまた私に優しかった。私のスワイプに、ピンチアウトに100%答えてくれる。スマホをますます好きになった。

 私の両隣はカップルだった。「そんなに食べれるの〜」とたくさんケーキを取ってきた彼氏に彼女が言い、「一緒に食べればいいじゃん」と彼氏が答える。本当の淡い恋愛小説のような会話を繰り広げていた。私はひとりなので黙々とケーキを食べた。いくつものケーキをお皿に取ってきたが、どれも例外なく美味しかった。イチゴが瑞々しくてたくさん食べた。ただ周りの目が恥かしかったのでやっぱりスマホを見ながらだ。「なるほど〜」と言う顔でケーキを食べながらスマホを見る。

■ひとりで二人分という贅沢

 しばらくして新たなる可能性に気が付いた。対面にもケーキと飲み物を並べたら、店員にはばれているけれど、ほかの人からは二人で来ているみたいに見えるのではないか、と。相手はいま新たなるケーキを取りに行っている設定だ。

 この行為自体は悲しみを増すだけで新たなる希望はもたらさなかったけれど、本来は二人で使うテーブルをひとりで自由に使えるという喜びに気が付いた。最高の贅沢ではないか。何枚お皿を並べてもいいのだ。それに気が付いた頃、満腹もやって来て、幸せな気分になっていた。ひとりだけれど、スイーツの食べ放題に来てよかった、と心から思ったのだ。

 それからは店員さんに写真の撮影をお願いするほど大胆だった。いいですよ! と天使のような微笑で女性の店員さんは写真を撮ってくれた。さらに店員さんを好きになった。今までなぜでひとりで来なかったのだろうと思う。来ていいのだ。ひとりでも。お店に入るときは恥かしくて猫背になっていたけれど、お店を出る時は心の中では胸を張っていた。実際は食べ過ぎでキツくて猫背だったのだけれど、入店時の猫背とは心持が違う。また行きたいと思う。もちろんひとりで。スマホを持って。これは必須だ。

ひとりスイーツ食べ放題
オススメ:★★★
ハードル:★★★★
ケーキの美味しさ:★★★★★
《地主恵亮 》

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