【インタビュー】管理者の手間とコストを軽減!32台のスイッチを一元管理できるVirtual BoxCore……日立電線 | RBB TODAY

【インタビュー】管理者の手間とコストを軽減!32台のスイッチを一元管理できるVirtual BoxCore……日立電線

エンタープライズ ハードウェア

情報デバイス事業本部 ネットワークエンジニアリングセンタ センタ長 末永正彦氏と同センタ エンタープライズソリューショングループ 主任 染宮和洋氏
  • 情報デバイス事業本部 ネットワークエンジニアリングセンタ センタ長 末永正彦氏と同センタ エンタープライズソリューショングループ 主任 染宮和洋氏
  • 「イーサネットというネットワークの機能を最大化するという基本コンセプトで設計されていますので、スタックのような制限を設けたくありませんでした」(末永氏)
  • 「開発するなら他社にない機能を実現させたいと考えていました。一元管理をスタックとは違ったアプローチで実現すれば新しい付加価値が生まれるのではないかと開発に取り組みました」(染宮氏)
  • 最大32台のスイッチをひとつの仮想IPアドレス(VBIP)で一元管理
  • イーサネットでの接続性があれば、トポロジーや設置場所を問わず仮想化スイッチを構成することができる
  • 仮想IP(VBIP)で管理するスイッチ群の構成の自由度は高い
  • スタック構成ではマスターソースに負荷が集中するが、VBでは各スイッチは独自で動作しながら一元管理されるので、仮想化のレベルが高い
  • Interop Tokyoの「Best of Show Award 2012」グランプリ受賞時の様子
 企業でイントラネットが拡大・増殖していくにつれてルータやスイッチなどのネットワーク機器が増えてくるのは避けられない。しかし、それに比例して増える管理コストや手間の増大はシステム担当者にとって悩みの種となっている。

 これまで、複数のサーバやルータを、アプリケーションやミドルウェアによって統合管理するためのソリューションはいくつか存在するが、10台以上の大量のスイッチの設定を一元管理できる製品はほとんどなく、スイッチをスタック構成するしかなかった。しかし、日立電線が同社のスイッチ製品であるAPRESIA(アプレシア)シリーズに搭載した「Virtual BoxCore(VB)」と呼ばれる機能は、最大32台のスイッチを仮想的なひとつのIPアドレスで管理できるようにしてくれる。

 このVBは、2012年のInterop TokyoのBest of Show Award 2012のキャリア/SP/エンタープライズ向けネットワーキング部門のグランプリを受賞した。今回は、情報デバイス事業本部 ネットワークエンジニアリングセンタ センタ長 末永正彦氏と同センタ エンタープライズソリューショングループ 主任 染宮和洋氏に、VBの特徴などを説明してもらった。

■ネットワーク管理者なら実感できるグランプリ受賞の真価

 VBの特徴は、前述のように32台のスイッチを仮想的に1台のスイッチとして設定管理ができる、ということに尽きる。Interopの会場では、同社の実機やデモを見たネットワーク管理者から、「こういう機能が欲しかった」と便利さを実感する声が挙がったという。
 これまで、複数のスイッチを統合管理しようとすると、マスターとなるスイッチに複数のスイッチをスタック構成でつなげる必要があった。スタック構成では、接続できるスイッチの台数は10台前後であり、また1台のスイッチ(CPU)が接続されたすべてのスイッチを管理するため、台数が増えると1台あたりのCPUリソースが減少するという問題も抱えていた。VB機能に対応したスイッチ製品なら、どれもマスターソースになることができる。管理コンソールからはマスターソースとなるスイッチの仮想IPアドレス(VBIP)で、接続されたすべての物理スイッチに管理コマンドを一度に適用できる。また、スタック構成と違って、VBの仮想スイッチを構成する各物理スイッチの動作そのものは維持されるので、接続する物理スイッチ数に比例してCPUリソースも増えることになる。

■配線変更なしで任意のスイッチを仮想化できる

 管理者は、1台のスイッチのIPアドレスにアクセスし、showコマンドなりconfigureコマンドを実行すれば、仮想的に接続されたすべてのスイッチの状態を確認したり、設定が同時にできる。スイッチが仮想化されていなければ、メンテナンスなどで設定を変更する場合、そのセグメントを構成するスイッチのIPアドレスの管理表などを頼りに、ひとつひとつ設定していかなければならない。その手間を経験したことのある人なら、VBによって管理業務が楽になることは想像に難くない。もちろん仮想的な構成なので、実際の接続をつなぎ直す必要もない。

「スタックはネットワーク構成に縛りがありますが、VBでは縛りがありません。ネットワークをリプレースした場合にも、既存の配線を変更することはありません」(染宮氏)というように、フロアごと、部署ごと、あるいはスター型の構成や別のスイッチを介して接続されたスイッチ(直接接続のないスイッチ)でも仮想スイッチを構成することができる。つまり、スイッチの管理セグメントを設計する場合、ネットワークトポロジー、実際の配線、配置場所など問わず柔軟な設定が可能となるということだ。

 これがいかにすごいことかは、実際にネットワーク構成図、ラックの配置図、IPアドレス表、ケーブルのタグなどをみながら、設定変更やメンテナンスを行ったことがある人なら理解できるだろう。
 しかも、VBによる仮想スイッチは広域イーサネットなどで別拠点に接続されたスイッチまで一元管理の対象とすることもできる。同じ管理セグメントに含められるのに、支店のスイッチだけリモートメンテナンスしなければならないという制限に悩まされることもない。

■どうせ作るなら他社にないものを作ろう

 日立電線がVBを考えたきっかけや理由はなんだろうか。

「まず、一定の市場ニーズからスタック製品を開発するとなったとき、スタックという手法より、その真の目的ともいえる複数のスイッチを一元管理する機能に着目しました。そして、どうせ開発するなら他社にない機能を実現させたいとも考えていましたので、一元管理をスタックとは違ったアプローチで実現すれば新しい付加価値が生まれるのではないかと、開発に取り組みました」(染宮氏)

 これが、個別の物理スイッチをそのまま機能させながら、管理上は仮想的なひとつのIPアドレスで管理するという発想につながった背景だという。結果、前述した特徴を持ち、スタック構成の3倍となる最大32台による仮想スイッチを、他のパフォーマンスを犠牲にすることなく実現することができた。

 このような設計アプローチをとった背景について、末永氏は次のように語る。

「既にスタック機能を実装したスイッチは他社にもありますが、スタック用の特別なポートが必要だったりメーカー独自の方式となります。また、構成するスイッチ製品がメーカーの中でも機種が限定されています。弊社のスイッチは、イーサネットというネットワークの機能を最大化するという基本コンセプトで設計されていますので、そのような制限を設けたくありませんでした。VBによる仮想スイッチは、現在APRESIA 13000シリーズ、15000シリーズの6機種が対応しており、任意に混在させることができます。オープンな接続性もVBの特徴です」

■企業や大学での引き合いが多く、クラウドデータセンターにも応用可能

 VB機能の具体的な利用シーンについても聞いてみた。VB機能を正式にリリースしたのは7月とのことで、実際の導入事例の中で詳細を公表できるものはないそうだが、現在、大学から高い評価を得ており、一般的な企業ネットワークとともに学内ネットワークでの引き合いや導入が増えているという。また、VBは、クラウド対応のデータセンターにも応用分野がある(末永氏)といい、BFS(BoxCore Fabric System)というファブリックスイッチとポートスイッチを組み合わせ、ボックス単体からシャーシレベルの大規模構成まで、柔軟にスケールアウトできるソリューションも提供している。このBFSは日立電線独自のファブリック技術で米ニシラ社のオーバーレイ方式のネットワークの仮想化を実現する連携ソリューションとして動態展示を行った。これもInterop Tokyo Best of Show 2012 クラウドコンピューティング&バーチャリゼーション部門の特別賞を受賞している。

 最後にVBの今後の展開だが、リリース間もないこともあって、まずは導入企業からの要望や声を聞いて、さらに運用・管理をしやすくする機能改善をしていく方針だ。そして、VB単体での接続台数を32台からもっと増やしていきたいという。
《RBB TODAY》

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