しかし最近では日本においても、CO2排出の削減などの観点から、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した分散型電源や、EV(Electric Vehicle:電気自動車)への関心が高まっています。また、EVは「走る分散型電源」と考えることもでき、EVに蓄えた電力を家の中で利用するV2H(Vehicle to Home)等の研究も進められています。発電量が不安定な再生可能エネルギーの利用や、電力負荷でもあるEVの導入が進むと、電力需給の予測が困難となります。特に、需要家が所有する分散型電源の余剰電力などが系統に戻る逆潮流は、系統電力の品質維持に大きな影響を与えます。
ブロードバンド重畳型ネットワーク構成では、ユーザがすでに利用しているFTTH(Fiber To The Home)に代表される有線ブロードバンド回線を利用します。インターネット接続や映像配信など、すでにユーザが利用しているサービスに加えて、センサデータの通信を同一の回線で行うため、追加コストなしにスマートネットワークを構築で きます。実証の結果、センサ親機が収集するデータサイズは映像配信のトラフィックなどと比較して十分に小さく、重畳してもサービス利用上問題ない範囲であることが分かりました。
特に、無線メッシュ型ネットワークにおいては、メッシュプロトコルとして6LoWPAN(IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networks)を採用しました。6LoWPANは近隣探索時の通信回数を減らしたり、ヘッダ圧縮により通信データ量を減らすなどの工夫がなされており、装置の消費電力を抑えます。また、ネットワーク層とMAC(Media Access Control)層の中間に位置し、両者のアダプテーションを行うため、ネットワーク層にIPv6を採用したまま、センサ通信に適した、フレームサイズの小さなMAC層プロトコルを適用することも可能です。メッシュルーティング自体を6LoWPAN層で実現する方式(route-over)と、MAC層で実現する方式(mesh-under)がありますが、route-over方式を採用し、メッシュルーティング機能を持たないMAC/PHY(PHYsical)層を適用できるようにしています。