【ニールセン博士のAlertbox】非営利団体のウェブサイト: 寄付とボランティアを増加させる(後編) | RBB TODAY

【ニールセン博士のAlertbox】非営利団体のウェブサイト: 寄付とボランティアを増加させる(後編)

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■寄付プロセス:現時点のベストプラクティスよりも7%劣る

 人にお金を与えるというのは、何かを買うためにお金を使うよりも難しいものである。2回目の調査で、実際の寄付行為を完了するプロセスにかかった時間は、(別に実施した)eコマースについてのユーザビリティ調査で、ユーザーがeコマースの精算プロセスを完了させるのにかかった時間よりも7%長かった。

 ユーザビリティが7%劣るからといって最悪というわけでもない。しかし、非営利団体サイトのユーザーエクスペリエンスが商業サイトよりも今のところ、劣っているということが明らかになったのは事実である。

■非金銭的な貢献:悪い

 ユーザーはお金を寄付するとき以上に、非金銭的な貢献をするときにずっと苦労していた。その明らかな理由の1つは、物理的な物の寄付が標準的なオンライン取引ではないということである。したがって、ユーザーは他のサイトでの経験から形成されたメンタルモデルに頼ることができない(対照的に、少なくとも、利用しなければならないボタンや入力フィールドに関しては、お金の寄付はお金の支払いに割と似ている)。

 ウェブサイトがユーザーに何か新しいことをするように依頼するときは常に、ユーザーが新しいプロセスを理解するというハードルを越える手助けになるよう、そのユーザーインタフェースは特にわかりやすくすべきである。哀しいことに、この難易度の高いタスクに対して、今回調査の慈善団体のほとんどが提供していたユーザビリティは、特に貧弱なものだった。その結果、物理的な物を寄付することについての情報を探すのは難しいことが多く、具体的な情報に欠けていた。

非金銭的寄付についてのユーザビリティが低いことによって、物を寄付したい相手を見つけるまでに、多くの非営利団体の間を行なったり来たりするユーザーが多かった。こうした経験に対して、ユーザーがつけた満足度の評価は、今回の調査で最低のもので、(7が最高値となる)7段階評価で、平均5.3だった。

■ボランティア活動のプロセス:良い

 ある団体でのボランティア方法を探し出すというタスクに対してユーザーが与えた評価は、7段階評価で6.7と非常に高かった。たいていのサイトにはトップページからこうした情報に直接行けるシンプルなリンクが置かれていたからである。また、標準的な任務の内容と拘束時間、といったボランティアの志願者が前もって知りたい細かい点についての説明を含む、ボランティア活動についてのわかりやすい情報を提供しているサイトがほとんどだった。

 ボランティア用のかなりシンプルな応募フォームを提供しているサイトも多かった。しかし、ボランティアをする前に誰かと直接話をしたい人は多い。したがって、問い合わせ先を載せておくことは重要といえるだろう。

■ソーシャルメディア:補助的

 非営利団体を調べるのにFacebookは利用されない。また、寄付にも利用されない。調査でFacebookを利用してそうするように依頼したとき、非営利団体が製品や寄付を強要したり、Eメールニュースレターのようなものの購読をさせようとすることに、ユーザーは苛々していた。

 非営利団体や慈善団体がFacebookを利用しているということは当然と思われていた。しかし、そこで期待されている情報の量は、公式サイトにあるものよりは少ない。実際、Facebook上でPeople for the Ethical Treatment of Animals (PETA)のページを調べたユーザーは、「PETAの公式サイトにある情報はたぶんこの10倍以上でしょうね」と言っていた。

 ソーシャルメディアを通して、その団体のミッションと目的を見つけることの代わりに、ユーザーがもっと興味を持っていたのは、その団体での活動によって恩恵を受けた人の話を聞くことだった。彼らがソーシャルネットワークに期待していたのは、その団体に関わりのある実在の人物についてのストーリーの紹介である。例えば、あるユーザーは、Make-A-Wish FoundationのFacebook上の記事に取り上げられていた、その団体に助けられた人たちについてのストーリーに引き付けられていた。非営利団体や慈善団体はソーシャルメディアを利用すべきであるが、それは、実際にあったストーリーや、対話、交流を通してユーザーとつながりを持つための手段としてである。しかし、その団体についてじっくり調べたいユーザー用に、メインのウェブサイトへのわかりやすいリンクを張っておくのも忘れないようにしよう。

 非営利団体が宣伝をしたり、寄付を呼び込むための手段として、ソーシャルメディアが補助的なものであるという調査結果は、他で実施した調査の結果とも重なっている:

・ソーシャルメディアでの企業情報の提供についての1回目の調査でわかったのは、ユーザーは商業的投稿が頻繁すぎると苛々するし、ソーシャルメディアのサイトで企業を探したりは滅多にしないということだった。その代わり、製品情報が欲しいときにはユーザーは企業のサイトに行く。
・どのように大学生がウェブを利用するかについての最新の調査でわかったのは、ソーシャルメディアとは個人的な話をする場で、企業がマーケティングをするところではないと学生が考えているということだった。学生は企業や、大学、政府機関、非営利団体について知りたいとき、検索エンジンを利用して、その団体の公式サイトを見つけようとし、Facebookには行かない。

 ターゲット層や対象サイトのタイプが異なる別々の3つの調査から同じ結果が得られたということが重要である。

■最優先すべきこと:わかりやすく情報を提供しよう

 今回の調査で、非営利団体の情報を見つけて、その信頼性を判断するというタスクに対し、ユーザーの付けた評点は平均5.3とかなり低いものだった。それに対し、実際の寄付プロセスに対するユーザーの付けた(テストしたサイト全体を平均した7段階評価での)平均点は5.7だった。

 寄付のワークフロー自体を改善することも可能ではある。しかし、今回のユーザビリティ調査で明らかになったのは、問題の中心はそれではないということだ。次に来る10年間でオンライン寄付を5倍にするという可能性を実現するには、非営利団体のサイトは、コンテンツのユーザビリティが貧弱であるという大きな問題に対処する必要があるのである。


※この記事はユーザビリティ研究者ヤコブ・ニールセン博士が運営するサイトuseit.comで連載中のコラム『Alertbox』の転載・翻訳記事です。
株式会社イードが運営する「U-site」では、博士からの正式な許可を得て同コラムの全編を日本語訳し公開しています。
《RBB TODAY》

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