中小企業にとってのCSRとは?必要とされる背景とその意味 | RBB TODAY

中小企業にとってのCSRとは?必要とされる背景とその意味

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7月2日(日)、沖縄・座間味~那覇で開催される「サバニ帆漕レース」。アビームコンサルティングは、CSR活動の一環として2008年から特別協賛というかたちで継続支援してきた(写真/Photowave)
  • 7月2日(日)、沖縄・座間味~那覇で開催される「サバニ帆漕レース」。アビームコンサルティングは、CSR活動の一環として2008年から特別協賛というかたちで継続支援してきた(写真/Photowave)
  • アビームコンサルティング(株)執行役員プリンシパル 矢野陽一朗氏
 近年、企業経営にとってCSR(Corporate Social Responsibility)=「企業の社会的責任」が重みを増している。これまでの「企業の余剰金を社会的に還元する活動」という枠組みを超え、自らの事業活動を通じて社会の抱える課題を解決するという考え方に変わりつつあるCSR。「コンサルティングサービスを通じて、クライアントに新たな成功をもたらし、持続可能な社会の実現に貢献」することをCSR方針に掲げる、アビームコンサルティングの執行役員でCSRユニット長の矢野陽一朗氏に、企業にとってCSRが必要とされる背景やその意味を聞く。

■日本には以前から根付いていた「社会貢献的経営」

――CSRがいま、企業経営にとって意味を持っている、クローズアップされているのはなぜなのでしょうか?

矢野 CSRという英語だと新しい考え方と思われがちですが、実は日本ではCSRという言葉ができるずっと以前から経営の中に組み込まれていたんです。「世の中に対して貢献をすること」「倫理的に間違ったことをやらない」といった“道徳心”とでも言うべき心得は、日本では江戸時代の頃からずっと根付いていたのじゃないかと思います。例えば「三方良し」では、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」を説いています。売り手と買い手の満足だけでなく、社会貢献もできるのがよい商売であるということですね。こういった格言は様々な企業で現代にも受け継がれています。

ただ日本の企業は表現の仕方や情報発信の仕方があまり上手ではなくて、なかなか外部に伝わってこなかったきらいがあります。十分な社会貢献はしているのだけれど、それが国際的NGOから見たときに認識されるものであるのか、あるいは活動に対して第三者機関が出している基準や認証などに対応できているのかということが分かりづらい。それを改めて整理し直すという流れの中でCSRという言葉が注目されるようになってきたのだと思います。

――以前は事業活動の外で剰余金を社会に還元することが代表的なCSRの事例とされていました。現在では地方創生への協力も含まれるようになっていますね。

矢野 東日本大震災がひとつの契機となったのではないでしょうか。当初は復興という観点からボランティアや募金などの活動をされていた企業が、復興の過程においてさらにその先を見据えたときに地方創生という視点が生まれたのだと思います。日本の各地で事業を興すという取り組みは、CSR活動の中で様々な方法が考えられます。

■中小企業にとってのCSRとは?

――「CSRは大企業が行うもの」という意識の方もまだまだ多いようです。中小企業にとってCSRはどんな意味を持っているのでしょうか?

矢野 CSRを一歩進めた考え方に、CSV(Creating Shared Value)=「共通価値の創造」があります。企業の事業活動の中に社会課題に対する取り組みを織り込むことで、利益を追求しつつ社会課題も解決していく発想です。CSVの観点で企業活動を捉え直すと、世の中のすべての企業は何らかの形で社会課題の解決に役立っているわけです。つまり事業規模の大小はあまり関係ないのです。

――中小企業の経営者が、CSRやCSVに取り組むきっかけはどんなところにあるのでしょう?

矢野 例えば地元の商工会議所や行政主催のセミナーなどに足を運んで、横のつながりを作ることから始めてみてはいかがでしょうか。そのなかでいろいろな話をしているうちに、その地域でどんな課題があるのか、自分の会社ならではの地域貢献の仕方があるのではないか、ということが見えてくるはずです。


■「サバニ帆漕レース」から見えてくること

――アビームコンサルティング(以下、アビーム)は自らもCSRを重視する企業として、様々な活動を行っていますね。

矢野 Jリーグの「モンテディオ山形」さんのパートナー企業をとしてクラブ運営に関わっています。アビームがスポンサードする冠マッチが年一回あり、そこでは地元の方が盛り上がるイベントをいろいろと企画してきました。例えば昨年は『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一先生を招いてフットサル大会を開催しました。そんなところから地域の活性化に繋げていければと思っています。

――7月2日に行われる「サバニ帆漕レース」にも協賛しています。

矢野 沖縄・座間味~那覇で開催される「サバニ帆漕レース」を、2008年から特別協賛というかたちで継続的に支援させていただいてます。サバニは沖縄の伝統的な舟なのですが、時代の流れとともに姿を消しつつありました。その伝統的な海洋文化や造船・操船技術の保護・継承を目的に、2000年より毎年開催されているのが、座間味~那覇の慶良間海峡を渡る「サバニ帆漕レース」です。伝統文化の保護・継承という開催目的への共感とともに、座間味村を「チーム・アビーム」(アビームが支援するセーリングチーム。北京、ロンドン、リオデジャネイロと3大会連続でオリンピック出場を果たしている)の合宿地として利用させていただいていたご縁もありました。

――このところ、アビームチームとしてもレースに参加しているとか。

矢野 2014年からは若手社員を中心に編成した「チームかりゆし」として参加しています。さすがに地元の実力あるチームには全然かなわないですが、昨年初めて完走できました(笑)。サバニを体験するだけでなく、他のチームのメンバーや地域の方々と交流することで、人間的にも成長できる良い機会となっていますね。サバニは座間味村の方もとても楽しみにされているイベントだと聞いています。地元の方に「アビームのおかげでサバニレースが行える」と喜んでいただいていることをうれしく感じています。

――座間味島も属する慶良間諸島は2014年に国立公園になりました。観光をはじめ地域振興が大きな課題です。

矢野 当社は、座間味村の地方創生プロジェクトもご支援させていただきました。座間味村は夏の間は観光客が大勢来るものの、冬場に集客ができていません。そこで冬場をどうするか、ということが大きなテーマです。当社は座間味村の「総合戦略」の策定と、交流人口拡大のための「法人誘客」に関する調査および実証を行いました。具体的には、ダイビングを通じた企業研修や環境保全などのCSR活動を通じて「法人誘客」を推進するとともに、将来的には定住人口の拡大につなげていくための施策を検討しました。

(インタビュー/加藤陽之 構成/川口裕樹)

CSRの時代的要請に企業はどう応えればいいのか?

《HANJO HANJO編集部》

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