【テクニカルレポート】Data ONTAP 8で実現する将来を見据えたIT環境 | RBB TODAY
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【テクニカルレポート】Data ONTAP 8で実現する将来を見据えたIT環境

エンタープライズ ハードウェア
図1)NetAppのデータ圧縮機能は、Data ONTAP 8.0.1に搭載された新機能。重複排除機能を併用することで、さらにスペースが削減できる
  • 図1)NetAppのデータ圧縮機能は、Data ONTAP 8.0.1に搭載された新機能。重複排除機能を併用することで、さらにスペースが削減できる
  • 図2)NetApp DataMotion for Volumes なら、LUNが含まれているボリュームをダウンタイムゼロで移動可能
  • 図3)Unified Connectを導入すれば、1つのネットワークですべてのストレージプロトコルを共有できる
 データセンターは現在、大きな転換期の真っ只中にありますが、これは自然な流れであり、誰の目にも不思議には映らないでしょう。専用のITアーキテクチャが各種混在する環境は非効率を生み出し、データ量の急増というプレッシャーにもさらされています。こうした状況を受け、複数のワークロードや顧客に対応できる共有インフラへの移行に、ますます拍車がかかっています。

 NetAppは、ストレージの柔軟性と効率を高め、将来のニーズに対応する共有ITインフラの主な条件として、以下の8つを定義しました。

・ユニファイド・アーキテクチャ
・インテリジェント・キャッシング
・セキュア・マルチテナンシー
・常時稼働
・スケールアップとスケールアウト
・サービスの自動化と分析
・統合データプロテクション
・Storage Efficiency

 先日のNetAppの新製品発表では、ストレージインフラに上記の機能を導入することによって、そのメリットがもたらされることを重点的に説明しましたが、この記事では、Data ONTAPの最新バージョンであるNetApp Data ONTAP 8が、こうした機能を実現する仕組みについて重点的に説明します。Data ONTAP 8という製品について、少々誤解されている点もあるようですので、機能の説明に入る前に、まずはその点を明確にしておきましょう。

■Data ONTAP 8とは?

 Data ONTAP 8は、Data ONTAP 7Gに続くData ONTAPシリーズの新バージョンであり、NetAppが長年にわたって開発してきたストレージテクノロジの集大成です。Data ONTAP 8が発表されたのは2009年9月で、2010年3月よりGeneral Availability(GA)となりました。最新バージョンのData ONTAP 8.0.1は、2010年9月にリリースされました (以下、「Data ONTAP 8」という用語は、従来製品と今後リリースされる製品の両方を意味するとお考えください)。

 Data ONTAP 8は、元々別々の製品であったData ONTAP 7GとData ONTAP GXを、単一のコードベースの下に融合させたものです。

・7-Mode:その名前が示すとおり、7-ModeはData ONTAP 7.3.xリリースと同様の機能、ユーザインターフェイス、管理ツールをサポートします。Data ONTAP 7.3.xリリースを導入しているシステムは、システムを停止することなく7-Modeにアップデートできます

・Cluster-Mode:このモードは、前バージョンのスケールアウト・クラスタ・ストレージ用OSであるData ONTAP GXの機能を引き継ぎ、さらに改善したものです。Cluster-Modeでは、グローバル・ネームスペース機能とクラスタ・ファイルシステム技術により、マルチコントローラ構成がサポートされます

 また、Data ONTAP 8に関する誤解の中で多いのは、Data ONTAP 8はクラスタ構成のスケールアウト・ストレージ専用OSであるというものです。中でも、Data ONTAP 7Gリリースのみに精通したお客様の間で、こうした誤解が根強いようです。Data ONTAP GXをご利用いただいているお客様の多くが、すでにData ONTAP 8 Cluster-Modeを導入していますが、さらに多くのお客様が、Data ONTAP 8 7-Modeリリースを本番環境に導入しています。

 Data ONTAP 8 Cluster-Modeの次期リリースで新機能が追加されれば、Cluster-Modeを導入するユーザが増えると思われますが、当面、Tech OnTapの読者の関心を幅広く集めるのは、Cluster-Modeになりそうです。そこで、この記事の後半では、7-Modeに焦点を当てて説明していきます。Cluster-Modeについては、今後のTech OnTapで紹介する予定です。どうぞご期待ください。

■Data ONTAP 8.0.1の機能とは?

 Data ONTAP 8.0.1は、Data ONTAP 8リリースの最新版です。Data ONTAP 8.0.1 7-Modeには、現在Data ONTAP 7.3.xリリースをご利用いただいている大半のお客様のニーズに応える機能が一式搭載されています。7-Modeには、GAレベルの7Gの最新リリースであるData ONTAP 7.3.4の全機能(一部の例外については後述します)に加え、ストレージおよび運用の効率と、システムの柔軟性を強化する新機能が搭載されています。ではまず、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeに新しく搭載された主なメリットと機能から説明していきましょう。

 64ビットアグリゲート:Data ONTAP 8.0.1 7-Modeでは、32ビット、64ビットのどちらのアドレス指定方式でもボリュームを作成できます。一般的な32ビットアグリゲートの最大容量は16TBですが、アグリゲート当たりのストレージ容量を増やす必要があるシステム環境が増えています。64ビットのアドレス指定を使用すれば、アグリゲートのサイズを30TB~100 TBにすることができます(FASとVシリーズではサイズが異なります)。また、64ビットアグリゲートなら、16TBよりはるかに容量の大きなボリュームを格納できます。

 64ビットアグリゲートは、大容量のディスクドライブで構成されたシステムにおいて特に優れた効果を発揮します。たとえば、2 TBのSATAドライブを使用する場合、32ビットアグリゲートがサポートするデータドライブ数は9本のみです。そのため、ストレージ効率とボリューム当たりのパフォーマンスを向上するために使用できるデータドライブ数はわずかですが、50TBの64ビットアグリゲートなら、2TBのSATAドライブを30本サポートできます。

 1TBのSATAや、450GB、600GBのFC、SASなど、その他の大容量ドライブでシステムを構成する場合にも、64ビットアグリゲートを選択するのが最善の方法といえます。64ビットアドレス指定で新しいアグリゲートを作成する機能は、Data ONTAP 8.0 7-Modeで初めて導入されたものであり、8.0.1リリースでは、Cluster-Modeにもこの機能が搭載されています。

 Flash Cacheのサポート:Data ONTAP 8.0.1(両モード)は、Flash Cacheカードのインテリジェント・キャッシング機能をサポートしています。Flash CacheとSATAドライブは、Data ONTAPのバージョン7.3.2以降が稼働するシステムでよく併用されています。この2つを併用することで、コストを抑えてアプリケーションのパフォーマンス要件を満たすことが可能となるためです。Data ONTAP 8.0.1でも、同様の構成が可能であり、Flash CacheとSATAドライブを64ビットアグリゲートに使用することができます。

 新たなFAS / Vシリーズシステムのサポート:先日行った製品リリースの一環として、NetAppは新しいミッドレンジ・ストレージ・システムのFAS3200、V3200シリーズと、ハイエンド・ストレージ・システムのFAS6200、V6200シリーズを発表しました。両製品シリーズは、まずData ONTAP 8.0.1の7-ModeとCluster-Modeでのみサポートされます。また、FAS / V6200シリーズは、将来的にData ONTAP 8リリースでのみサポートされる予定です。

 FAS / V3200シリーズは、FAS / V3100モデルと比べてパフォーマンスに優れており、より多くのPCIeスロットが搭載されています。FAS / V6200シリーズは、従来のNetAppエンタープライズ・ストレージと比較すると、最大で3.6倍のパフォーマンスを発揮します。その機能については、当Tech OnTapの関連記事の中で紹介しています。

 データ圧縮機能:NetAppデータ圧縮機能は、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeの新機能です。これは、ディスクへの書き込みの際に、ファイルデータとLUNデータを圧縮する機能で、ボリュームごとに適用できます。データ圧縮機能を使用すると、重複排除機能では削減できないデータセット内のスペースを削減でき、データセットによっては、圧縮機能と重複排除機能の両方を併用することで、どちらか一方だけを使用する場合より、はるかに多くのスペースが削減できます。読者の皆様もお察しのとおり、この新しい機能には高い関心が寄せられており、当Tech OnTapでは、この機能について、別途詳しく紹介しています。

NetApp DataMotion for Volumes:
この新機能を使用すると、システムを停止させることなく同じコントローラ上のアグリゲート間でボリュームを移動させることができます。Data ONTAP 8.0.1 7-Modeでは、LUNを1つ以上含むボリュームにのみ、この機能を使用できます。このダウンタイムゼロのデータ移動機能は、数多くの用途に対して有効です。たとえば、アグリゲート内のスペースを解放してディスク処理の負荷を分散する、データを別のストレージ階層へ移動させる、古いディスクドライブを新しいモデルに交換する、といった処理が可能になります。データの移動中、移動後にもアプリケーションとユーザが継続的にデータにアクセスでき、さらにFC、SAS、SSD、SATAといったドライブがすべてサポートされているため、種類の異なるドライブを使用しているアグリゲート間でデータを移動できます。

Unified Connect:
Unified Connectインフラは、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeに搭載された新機能の1つです。NetAppユニファイド・ターゲット・アダプタ(UTA)により、SANプロトコルとNASプロトコルのすべて(FCoE、iSCSI、NFS、CIFS)を1つの10 Gbイーサネットポートで使用できます。UTAは、NetAppがData ONTAP 7.3.2以降のバージョンで対応しているFCoE用アダプタカードと同じものです。Data ONTAP 8.0.1 7-Modeの新機能により、NetAppユニファイド・ストレージ・アーキテクチャのメリットは広がりました。全種類のストレージプロトコルをサポートするアーキテクチャとしてスタートしたNetAppユニファイド・ストレージ・アーキテクチャは、複数ストレージ階層のサポートを可能にし、さらにこの7-Modeによって、単一接続による全ストレージプロトコルのサポートを実現しました。この進化によって、運用がさらにシンプルになります。現在この機能を提供できるストレージベンダーは、NetApp以外にありません。

 Data ONTAP 8.0.1 7-Modeでサポートされていない機能について:前述のとおり、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeは、Data ONTAP 7.3.4の全機能をサポートしているわけではありません。NetAppでは、広く採用されているData ONTAP 7.3.xリリースの機能すべてを、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeでも提供できるよう試みましたが、Data ONTAP 8.0.1では以下のようにご利用いただけない機能もあります。

・IP version 6(IPv6)
・NetApp Data Motion(vFilerユニットをシステム停止ゼロで移行する機能)
・SnapLock(Compliance / Enterpriseバージョン)
・IPsec

■Data ONTAP 8.0.1を導入するメリット

 NetAppストレージにData ONTAP 7.3.xリリースを搭載しているお客様の場合、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeにアップグレードしていただくのが、最も自然な方法です。ユーザインターフェイスの面から見ても、7-Modeの使用感はこれまでの7Gリリースと変わらず、さらに、重要な新機能が追加されているため、運用の効率と柔軟性を向上させることができます。重要な新機能には、64ビットアグリゲートのサポート(システムでストレージを柔軟に構成することが可能)、データ圧縮機能(ストレージシステムのスペース効率をさらに向上)、Data ONTAP 8.0.1で新たにサポートされたプラットフォーム(複数のストレージシステムの統合が簡単に行えるためシステム数を削減できる。共有ストレージインフラ環境に最適)があります。

 Data ONTAP 8には、Data ONTAPで今後開発される新機能が全て搭載される予定です。Data ONTAP 8は、かつてないほど着実で包括的な開発 / テストプロセスを経て誕生した製品で、数千以上のシステムに導入されています。以上の説明をお読みになり、7-Modeの機能に価値を見出されたお客様は、ぜひ移行をご検討ください。Data ONTAP 8の今後のリリースでは、7-Modeに併せて特にCluster-Modeに新機能を追加していく予定です。そのため、Data ONTAP 8.0.1 7-Modeを導入することで、そのメリットをいち早く取り入れることができます。


執筆者:敬称略


Skip Shapiro
テクニカル・マーケティング・エンジニア
NetApp

Skipは、現在NetAppのストレージ・システム・プロダクト・グループに所属し、システムの責任者を務めています。NetAppには約11年間にわたって在籍しており、これまでに、システム・エンジニアリング、製品マーケティング、製品管理の部門の担当者、責任者として貢献してきました。また、NearStore®製品ラインの開発創始者として、NearStoreをNetAppのビジネスに欠かせない製品へと育て上げました。NetAppに入社する前には、Quantum CorpとIBMに在籍していました。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である。
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