NEC、匿名認証専用のLSIを開発 ~ 電子マネーや携帯電話、車車間通信での活用を期待 | RBB TODAY
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NEC、匿名認証専用のLSIを開発 ~ 電子マネーや携帯電話、車車間通信での活用を期待

エンタープライズ セキュリティ
 日本電気(NEC)は9日、セキュリティとプライバシー保護を両立できる匿名認証専用LSIを開発したことを発表した。このLSIは、プライバシーに配慮した次世代の認証インフラとして、今後、社員証やプリペイドカード、電子マネーなどの各種ICカード、車車間通信、および携帯電話などでの利用が期待できるという。

 デジタル署名技術はセキュリティが高い反面、本人を特定することにより、「誰がどこで何をしていた」という事実があきらかになることから、プライバシーの確保が問題になっている。一方で匿名認証は、個人を特定せずに、ある権限を持つグループへの所属有無のみを確認できる技術だが、本人を特定せず完全に匿名化すると、権限のない利用者に不正利用される恐れがある。NECでは、暗号技術を用いてプライバシーを確保した匿名認証を実現する「グループ署名技術」を、独自の回路設計手法により、処理性能が高くない低コストな装置で実行可能とした。これによりセキュリティとプライバシー保護を両立する匿名認証を手軽に利用できる見込みだ。

 このLSIの開発においては、NECの次世代システムLSI設計ツール群である「CyberWorkBench」(サイバーワークベンチ)を利用して、高度な演算機能を搭載することに成功。LSI内部には、匿名認証アルゴリズムで必要な多倍長整数演算、楕円曲線演算、ハッシュ演算などを複雑に組み合わせて実行できる機構を実現した。また匿名認証アルゴリズムに特化して回路構成を最適化し、演算の高並列化と回路小規模化を両立させたことにより、組み込み用途向け低コストLSIの場合、150MHz動作で0.1秒以内の高速認証を実現した(従来のソフトウェアによる処理に比べ、1/100以下の低消費電力化)。

 NECでは今後も、本技術の国際標準化機構(International Organization for Standardization)と国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)の共同技術委員会におけるセキュリティ技術の規格「ISO/IEC JTC1 SC27」での標準化に取り組むとともに、プライバシーを考慮したセキュリティ技術・製品開発に積極的に取り組んでいくとしている。
《冨岡晶》
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