クラウド市場は2015年、2兆5千億円規模に——富士通はハイブリッドクラウドを目指す | RBB TODAY
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クラウド市場は2015年、2兆5千億円規模に——富士通はハイブリッドクラウドを目指す

エンタープライズ その他
執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長 山本正己氏
  • 執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長 山本正己氏
  • ハイブリッドクラウドインテグレーション
  • プラットフォームソフトウェア事業本部長 堀洋一氏
  • 企業内ITインフラ統合の課題
  • 現在は仮想化、統合化がほぼ終わり、管理運用の自動化、標準化のフェーズ
  • 富士通のプライベートクラウドのシステム構成
  • マルチベンダ、マルチプラットフォームでの運用自動化
  • プライベートクラウド環境のパッチやインストールなどを自動化する
 富士通は27日、クラウド環境に対応したサーバ管理ソフトウェアの販売開始にあたり、企業内のプライベートクラウドを構築するためのインフラ製品と、事業戦略について発表を行った。発表は、同社の執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長 山本正己氏のプレゼンから始まった。

 山本氏は、クラウドによる集合知が新しいビジネスを創出しているとし、その中で富士通の描くクラウド戦略は、「ハイブリッドクラウドインテグレーション」だという。これは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを業務システムの中に最適に適用することで、社会インフラとも連携させ、活用範囲を拡大するというものだ。具体的には、富士通のSaaSや他社のパブリッククラウドによるサービスでフロント業務をスピード化、最適化し、バックエンドのサイロ型システムをプライベートクラウドに置き換えることで、全体のコストダウンや柔軟性を増すシステムを構築する。そして、スマートグリッド、自治体の電子サービス、医療情報や産業トレーサビリティといった社会インフラとの融合も目指す。

 この戦略は、2009年2月から段階的に発表している富士通のクラウド戦略を推し進めるもので、すでに富士通のSaaSビジネスやクラウドネットワークサービス、関連するサーバ製品を発表、市場投入しているが、今回発表されたソフトウェア製品は、これらのクラウドプラットフォームを統合化、自動化する製品だ。

 富士通のクラウドプラットフォームを統合管理する製品として「ServerView Resource Coordinator VE」が存在するが、今回はこれにくわえ、OSやソフトウェアのインストール、アップデートなどを自動化するBMC社製の「BladeLogic Operations Manager」が提供される。

 この新製品については、プラットフォームソフトウェア事業本部長 堀洋一氏が説明を行った。現在、仮想化技術によってサーバ統合が進み、これによってさまざまなサーバやOSがクラウドプラットフォームを構成するようになっているが、運用が広がるにつれてプラットフォームごとに異なる管理、メンテナンス、あるいはクラウドサービスの要求に応えるための環境構築のための時間など、運用・管理の自動化の問題が浮上しているという。

 「ServerView Resouce Coordinator VE」は、仮想化環境でのサーバ構成の可視化、障害監視などをサポートしているが、複数のOSやアプリケーションを、多数の仮想化サーバにインストールやアップデートする作業の自動化、標準化まではカバーできていない面があった。今回富士通より発売される「BladeLogic Operations Manager」がこの部分を補完する。

 特徴は、ブレードサーバやラックサーバなど多数のプラットフォームに対して、自動インストールパッケージを構築し、OS、ミドルウェア、アプリケーションの導入、設定を高速化すること。次に各サーバ上のアプリケーションの構成情報の自動取得とパッチ適用の自動化だ。これによって、クラウドサービスを展開するソフトウェア群のメンテナンスコストを低減し、効率化する。そして、システムの安定性向上の面では、自動インストール機能を利用し、緊急時のサーバの高速リストア機能がある。ServerView Resource Coordinator VEには、障害時に自動的に予備サーバに切り替える機能は備わっているが、BladeLogic Operations Managerでは、障害が発生したサーバと同じイメージを別のサーバに自動的に構成することが可能になる。

 BladeLogic Operations Managerは、マルチプラットフォーム対応なので、OSやミドルウェアについてLinuxのみ、富士通のミドルウェアのみ、などという制限はない。

 富士通では、これらの製品をプライベートクラウド向けのソリューションと位置付け、すでに社内のミドルウェア開発センターに展開、稼働させているという。沼津の開発センターに富士通のブレードシステムやストレージによるクラウド環境を構築し、ServerView Resource Coordinator VEとBladeLogic Operations Managerによって、Windows、RedHat Linux、Solarisなどのマルチプラットフォームの仮想サーバを、グループ内6拠点の開発者数千人に対して、オンデマンドの開発環境として提供している。

 山本氏によれば、沼津の例はあくまで社内向けだが、プライベートクラウドのニーズに対して、同様の技術やサービスで対応していく考えだ。また、富士通では、2015年までにクラウド分野の市場規模(金額ベース)は、2008年の16倍になり、2兆5千億円に達すると見ているが、IT関連市場全体に占める割合は20%だろうとみる。実際の富士通の顧客に対する商談の中でも自社システムのプライベートクラウド化の案件が30%を締めている現状から、来るべきクラウド時代への対応は、パブリッククラウドだけではなく、プライベートクラウドを含むオンプレミスIT市場(富士通では、プライベートクラウドのビジネスはオンプレミスの市場に分類している)との融合を進めるとしている。
《中尾真二》
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