NTT、「SVC」準拠コーデックを開発 〜 フルHDからモバイルまでワンデータで再生 | RBB TODAY
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NTT、「SVC」準拠コーデックを開発 〜 フルHDからモバイルまでワンデータで再生

エンタープライズ その他
スケーラブル映像圧縮の特徴
  • スケーラブル映像圧縮の特徴
  • 階層構造を利用した高速モード選択
  • 階層ストライプ並列エンコーディング
  • スケーラブル映像圧縮とは
 日本電信電話(NTT)は13日、映像符号化国際標準方式MPEG-4 AVC(Advanced Video Coding)/H.264の拡張規格である「SVC」(Scalable Video Coding)に準拠したコーデック(エンコーダ・デコーダ)を発表した。

 このエンコーダ・デコーダはソフトウェアで構成されており、フルHDTVからモバイルまでのさまざまな解像度映像を1つの圧縮データで再生できる「スケーラブル映像圧縮」を実現したのが特徴。エンコーダによる圧縮データの生成と、デコーダによる複数解像度映像の再生を、ともにリアルタイムで処理することが可能となっており、これらの機能をフルHD(1920画素×1080ライン)の解像度で実現したのは世界初とのこと。

 映像はもともとデータ量が膨大であるため、効率的に伝送・蓄積するためには圧縮処理が必要だが、同一の映像コンテンツをいろいろな解像度で圧縮したり再生したりしたいという要求が増えている。サイマルキャスト方式では、異なる解像度ごとにそれぞれ独立した圧縮処理を行っていたため、複数の圧縮データが存在してしまい非効率だった。それに対して、スケーラブル映像圧縮では、1つの圧縮データから異なる複数の解像度の映像を再生することが可能となる。この技術を用いるとサイマルキャストに比べてデータ量を10〜30%程度減らすことができるため、ネットワーク帯域やディスク容量を有効に利用できる。

 スケーラブル映像圧縮の国際標準方式として2007年に規格化されたのが「SVC」(Scalable Video Coding)だ。SVCはMPEG-4 AVC/H.264の拡張規格であり圧縮効率が高いが、半面、圧縮処理のための演算量が膨大になりやすい。そこで、フルHDのような高解像映像をリアルタイム圧縮処理するためには、画質を落とすことなく演算量を効果的に削減することが重要なポイントだった。このコーデックは「階層構造を利用した高速モード選択」と「階層ストライプ並列エンコーディング」を活用したものとなっている。これらの技術では画面の処理領域をコア毎に割り当て、その際に各々のコアで処理する画面領域をすべての階層で同一とすることにより、下位階層の情報を上位階層で効率よく利用できるようにした。これにより市販のパソコンでもリアルタイム処理が可能となった。

 今後は、コンテンツ流通やコミュニケーションサービス等、事業への適用に向けた検討を行っていくとともに、フルHDを超える高解像度映像への対応についても検討していく予定となっている。なお技術は、4月に米国ラスベガスで開催されるNAB2009に出展されるとのこと。
《冨岡晶》
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