【SaaS World 2008 Vol.5】所有型と利用型を組み合わせた“ハイブリッド型”ソリューションが増えていく——NEC | RBB TODAY
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【SaaS World 2008 Vol.5】所有型と利用型を組み合わせた“ハイブリッド型”ソリューションが増えていく——NEC

エンタープライズ その他
日本電気 マネージドプラットフォームサービス事業部長 細田稔氏
  • 日本電気 マネージドプラットフォームサービス事業部長 細田稔氏
 東京国際フォーラムで行われた「SaaS World/Tokyo 2008」の2日目に、日本電気 マネージドプラットフォームサービス事業部長の細田稔氏による「ニーズのその先へ。NECのSaaSへの取り組み」と題した基調講演が行われた。

 講演はNECのメインクライアントである、企業・官公庁の情報システムのマネジメント分析から始まった。以前はソフト・ハード含めたすべての資産を自社で用意する「所有型」が主流であったが、近年は所有・維持にかかるコスト負担を軽減するため、事業のコア部分に関する部分だけは従来どおり「所有型」を続け、それ以外はホスティングやSaaSなどの身軽な「利用型」と呼ばれるサービスで賄うという、「所有型」と「利用型」を組み合わせた「ハイブリッド型」が増えてくるのではないかとの見方を示した。

 そしてNECが「ハイブリッド型」ソリューションの中核に位置付けるのが顧客にサービスとしてリソースを提供するSaaSだ。細田氏はSaaSを「NECが培った業務ノウハウやパッケージ、ネットワークをお客様に対してオンデマンド型で提供」することと定義した。顧客からよく聞かれるという従来型のASPとSaaSの違いについては「本質的には同じ」としながらも、ブロードバンド化やモバイルとの融合など、ネットワーク環境の変化からくる利用局面の広がりが大きく異なっているとした。

 NECのSaaSサービスは、NECもしくはパートナー企業が提供するアプリケーションからなるアプリケーションマネージド領域と、企業向けのNECSaaS基盤サービス、個人向けのNECビッグローブプラットフォームサービスからなるプラットフォームマネージド領域の2つの領域から構成される。後者はPaaS(Platform as a Service)と呼ばれることもあるようだ。また、「このサービスとこのサービスがいっしょになったら使えるんだけどな」という顧客の声に応えるため、各社のサービス管理情報の仕様を共通化し、サービス間の連携を重視していく方針だ。セールスフォースやオラクルなど他プラットフォームとの連携も検討しているという。このようにメンテナンスが容易で拡張性も高いSaaSアプリを導入することで、企業は社内システムの運用に忙殺されているIT部門の人材を、本来の業務である企画や開発などに向けることができるという。

 NECは自社の基盤サービス「RIACUBE / SP」を利用してSaaSアプリケーションを開発するパートナー企業に対しSaaSBIP (SaaS Business Innovation Program)と呼ばれるパートナー支援プログラムを用意している。参加企業には体系的な販促・技術面でのサービス/サポートが提供されるという。現在、約40社の企業が参加しているが、「今後もSFAやBI分野のすぐれたパートナーと連携していきたい」と意欲を語った。

 最後に、NECが取り組むSaaSサービスの事例が紹介された。まずはアプリケーション領域の事例だ。シフト勤務スケジューリングサービス「WinShift」は、契約社員やアルバイトの勤務シフトの最適化と効率化、ルールの透明化などを支援する。コールセンターや携帯ショップなどが想定顧客となる。SNS提供サービス「Social Tool Mart」は、企業と顧客間、または企業内でSNSを中核としたコミュニケーション基盤を構築。人的ネットワークの形成など、業務革新に必要な機能をサービスで提供する。SaaS型eラーニングサービス「Cultiva Global」は、SumTotal社のパッケージをNECのカスタマイズ機能と組み合わせた事例だ。20カ国以上の言語に対応し、金融機関や通信キャリアなどに導入されているという。「NECクレジットカード公金決済サービス」は地方公共団体の納税関係請求、振込みの確認などを実現するサービス。ビッグローブの決済基盤を利用しており、既存システムとの連携を低コストで実現しているという。

 「BIGLOBEドキュメントコントロールサービス」は、PDFやWord、Excelなどで作成した電子書類にポリシーと呼ばれる公開範囲や印刷権限、編集権限などの開示制限を付加できるサービスだ。「感°Report」は、無数に存在するブログを対象とした評判分析、レポーティングサービス。調査したいキーワードを入力すると、ボットが自動的に巡回、分析し、消費者の本音を整理して報告してくれる。

 続いてプラットフォーム領域の事例として、NECがSaaSアプリケーションを開発する事業者に向けて提供するSaaS基盤サービス「RIACUBE/SP」の紹介が行われた。このサービスには5つの大きな特徴があるという。最初の特徴は「ホスティング基盤 RIACUBE」の存在だ。これは、NECが標準化したITインフラ(プラットフォーム機能)の提供と、運用管理(ライフサイクル管理)を組み合わせたもので、サービスレベルとリソースの所要に応じた料金体系で提供されるという。次に「連携機能」。NECが提唱するOSR(Open Service Repository)という規格を採用することで、複数のSaaS間のサービス情報の共有を実現し、あたかもひとつのサービスとして利用することが可能になるという。現在セールスフォース、オラクルとも仕様の検討中で、実装は来年4月以降となる見込みだ。そして「部分的・段階的な利用」。サービス内容やコンポーネントは多岐に渡っており、全部使うことも部分的に使うことも可能だという。「使った分だけお支払いいただく」サービスだ。さらに「各種管理機能」。事業者によって異なる部分のあるユーザの管理レベルを考慮し、柔軟な管理機能を提供できるという。最後が「サービス事業立ち上げ、テクニカルコンサル、運用支援」。単なるプラットフォームの提供に留まらず、ビジネスモデル検討への参画や、システムアーキテクチャ・処理方式等の技術支援、運用業務の一部代行支援など、要求のレベルに応じた様々な形のサポートを受けられるという。

 アプリケーション、プラットフォーム、双方の領域でSaaSを支援するNEC、細田氏は「パートナー企業様との連携によるWin-Winの新しいSaaS事業モデルを創出していきたい」と講演を締めくくった。
《田口和裕》
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