【SaaS World 2008 Vol.2】「他企業とのコラボにも積極的に取り組む」——NTT | RBB TODAY
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【SaaS World 2008 Vol.2】「他企業とのコラボにも積極的に取り組む」——NTT

エンタープライズ その他
NTT 代表取締役副社長の宇治則孝氏
  • NTT 代表取締役副社長の宇治則孝氏
  • NTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部 事業部長の高瀬哲哉氏
  • BizCITY for SaaS Provider
  • NTTデータ 代表取締役副社長 執行役員の重木昭信氏
 東京国際フォーラムで行われている「SaaS World/Tokyo 2008」、2日目となる11日最初の基調講演は、特別記念講演としてNTT、NTTコミュニケーションズ、NTTデータのNTTグループ3社がそれぞれのSaaS戦略についてプレゼンテーションを行った。

 最初に行われたNTT 代表取締役副社長の宇治則孝氏による「SaaS over NGNビジョン 〜NGN時代のサービス創造への取り組み〜」では、安心・安全なフルIPネットワークであるNGN(次世代ネットワーク)を活用したサービスの商用展開としてNGN上でSaaSを提供する「SaaS over NGN」をグループ全体で推進していくことを改めて強調した。また、先日発表されたマイクロソフトとの協業推進の合意を例にあげ、「グループ内だけではなく他企業とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいく」と語った。

 続くNTTコミュニケーションズ ブロードバンドIP事業部 事業部長の高瀬哲哉氏による「NTTコミュニケーションズのSaaS戦略と今後の取り組み」では、近年企業をとりまく厳しい社会環境の変化により、顧客からビジネス・業務プロセスの変化にすばやく適応する力、コア事業への集中と他企業とのパートナーシップ、人材確保と生産性向上などが求められていることを指摘。「我々は現在をICTの歴史的転換点と捉えている。今まで鉄道で言えば高速大量輸送(高速・広帯域化)を一生懸命やってきたが、今後は整備されたインフラをもっと便利に使っていただくことに注力したい」と語り、同社の業務内容がインフラの提供からネットワークを通じたアプリケーションサービスの提供に比重をシフトしていることを示した。

 この事を踏まえ、企業の持続的成長に貢献するサービス・ソリューションを提供していく手段として、従来はSI(アプリケーション)とVPN(インフラ)という別々のサービスとして提供していたものを、今後はSaaSとして統合的に提供していく方針を明らかにした。

 高瀬氏はNTTコミュニケーションズのSaaS基本戦略として、「企業向けにアプリケーション・システムをオンデマンド・セキュアに提供していくこと」、「アプリケーション提供事業者向けに、高度なSaaS基盤を提供していくこと」の2点をあげた。この戦略に従い、「既存アプリケーションのサービス化とラインナップの充実」、多要素認証やアクセス制御、ストレージの大容量化などからなる「SaaS基盤の高度化」、NGNの活用による高度なVPNの提供、モバイル端末や携帯電話などPC以外のさまざまな端末からのアクセス、安全性・機密性の向上など「ネットワーク基盤の高度化」といった施策を順次推進していくという。

 次にNTTコミュニケーションズのSaaS事例紹介が行われた。まずはアプリケーション提供事業者向けのSaaS基盤サービスである「BizCITY for SaaS Provider」。このサービスを利用すれば「e-VLAN」や「IP-VPN」といったセキュアで安定したNTTコミュニケーションズのVPNサービスに直結した環境で、安定したSaaS/ASPサービスを短期間かつ容易に提供可能になる。また、NTTドコモとの連携により、ユーザは携帯電話でもSaaSアプリケーションを利用することが可能だ。今後は多要素認証機能や料金回収代行などの機能が随時追加されていくという。

 パートナー企業と連携したサービスも紹介された。「Salesforce over VPN」は、インターネットよりも高いセキュリティ、通信品質、ユビキタスなアクセス環境を持つVPNを使ったSaaS基盤上でSalesforceのCRMなどを利用できるサービスだ。このサービスはNTTコミュニケーションズが販売する形になる。

 「FoodFrontia Pro」は、NECインフロンティアが、NTTコミュニケーションズのSaaS基盤を利用して提供する飲食店向けSaaS型POSサービス。こちらはNECインフロンティアが販売を担当する。このようにパートナー企業と連携したサービスは、NTTコミュニケーションズが、あるいはパートナー企業がユーザに提供するという、2つの販売モデルが用意されている。

 また、NTTコミュニケーションズ自らが企業向けに提供するSaaSの例として、電話会議、Web会議、Fax、メールなど基本業務に必要となるコミュニケーション・ミーティングツールを集約した「Biz Communicator」、ネットワーク経由で企業内の各PCのウィルス対策状況や不正ソフト組み込み状況を監視・レポートする「VPNセキュリティ」、VPN上で安全・確実なデータの蓄積・共有が可能になる「VPNストレージ」などが紹介された。

 最後に、データセンターやホスティングサービスから無理なくSaaS環境に移行(アウトソーシング)できるよう、今後もサービスラインアップの強化など周辺環境の整備を進めていく方針を示した。

 NTTデータ 代表取締役副社長 執行役員の重木昭信氏による「NTTデータのSaaS戦略」では、NTTグループ内のSI企業として、NTTデータが取り組むSaaS戦略についてのプレゼンテーションが行われた。

 NTTデータのSaaS戦略の特徴は、従来の請負型SIではなく、データセンターからアプリケーションまで、SaaS運用に必要なすべての要素を用意することによって、ユーザに高品位なサービスを必要な分だけ提供するというものだ。

 提供されるサービスの中には、高品質な共通IT基盤サービスを提供するデータセンター「Green Data Center」、NGN接続制御、ユーザ認証などの共通機能を提供するプラットフォーム「VANADIS SaaS Platform」、決済プラットフォーム「ANSER/CAFIS/マルチペイメントネットワーク」、企業向け業務アプリケーションスイート「Biz∫(ビズインテグラル)」、税情報プラットフォーム「Bizplat」、地図情報コンテンツ配信プラットフォーム「MaDoRE」などがラインアップされている。規模や業務内容にあわせてこれらのサービス単体、もしくは複数を連携して利用することにより、ユーザは「初期投資の必要がない」、「短期導入が可能」、「バージョンアップなどの作業が不要で、安定的に利用可能」、「オフィスや自宅など、場所によらず利用することが可能」といったSaaSがもつメリットの恩恵を受けることができると説明した。
《田口和裕》
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