無線はウチがイニシアチブをとる!——OpenWinがWiMAX事業の詳細を発表 | RBB TODAY

無線はウチがイニシアチブをとる!——OpenWinがWiMAX事業の詳細を発表

 オープンワイヤレスネットワーク株式会社(略称OpenWin)は11日、関東総合通信局に2.5GHz広帯域移動無線アクセスシステム特定基地局開設計画の認定を申請した。

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オープンワイヤレスネットワークの役員とパートナー企業
  • オープンワイヤレスネットワークの役員とパートナー企業
  • 事業内容を説明するオープンワイヤレスネットワーク 代表取締役 深田浩仁氏
  • 記者会見の風景
  • 経営陣に孫正義氏も連なる
  • 1/3規定を遵守した株主構成
  • ホールセール事業を展開
  • オープン化で既存事業者にサービスを提供
  • 技術や設置交渉のノウハウは充分
 オープンワイヤレスネットワーク株式会社(略称OpenWin)は11日、関東総合通信局に2.5GHz広帯域移動無線アクセスシステム特定基地局開設計画の認定を申請した。また、同日午後には都内で記者発表会を開催し、出資企業の代表を招いて事業展開を説明した。

 総務省は2007年5月に2つの帯域を最大2社に割り当てる方針で、9月28日に単独で申請したウィルコム、OpenWinと同じく10月11日に申請したアッカ+NTTドコモ陣営、KDDI+京セラ陣営の4社のうち、2社が免許を交付される予定。

 なお、上の写真【左】は、向かって左から、

ゴールドマン・サックス証券株式会社 マネージングディレクター アンクル・サフ氏
オープンワイヤレスネットワーク株式会社 取締役 宮川潤一氏
オープンワイヤレスネットワーク株式会社 代表取締役 深田浩仁氏
来賓:ニフティ株式会社 常務執行役員 今村隆氏
来賓:NECビッグローブ株式会社執行役員 内藤俊裕氏
来賓:ソネットエンタテインメント株式会社 取締役執行役員 会田容弘氏
来賓:フリービット株式会社 代表取締役副社長 田中伸明氏

となっている。

 OpenWinは9月28日に出資額合計200.5億円を確保済みで、免許取得後はMVNO(仮想移動体通信事業者)とMVNE(仮想移動体通信事業支援者)を対象としたホールセール事業を展開する。通信インフラを整備し、既存のプロバイダー等に対してWiMAXアクセスポイントを提供する事業のみ行い、エンドユーザー向けのサービスは行わない。

 事業説明はOpenWinの代表取締役、深田浩仁氏が自ら行った。まず経営陣について、代表取締役兼COO(最高執行責任者)にイー・アクセス副社長の深田氏、代表取締役にソフトバンク株式会社の孫正義氏、取締役CEO(最高経営責任者)にソフトバンクBB取締役の宮川潤一氏、取締役にイー・アクセス株式会社会長の千本倖生氏、監査役にイー・アクセス株式会社内部監査室長の柴田雄司氏、CFO(最高財務責任者)にイー・アクセス株式会社取締役のエリック・ガン氏、CTO(最高技術責任者)にイー・アクセス株式会社CTOの小畑至弘氏が就任。ソフトバンクとイー・アクセスの陣営であることが明確になった。

 深田氏は、この会場に孫正義氏が列席しないことについて「総務省の認可条件が3G事業者およびそのグループ会社以外の者となっているため、3G事業者代表の孫氏は遠慮させて頂いた」と説明した。2.5GHz帯事業者の認可については「3G事業者であっても出資比率が3分の1以下の新会社を設立すれば参入可能」という特例があるため、ソフトバンクグループは1/3以下の出資枠でOpenWinを設立している。

 現在の株主構成はソフトバンクとイー・アクセスがそれぞれ32.42パーセントの65億円、残り35.16パーセントをゴールドマン・サックス他の投資会社、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービットが出資している。ISPの4社が出資していることで、まずはホールセールの顧客4社を確保した形となっている。深田氏によると、これらのISPは既に各5000万円の払い込みを済ませているという。「免許を獲得したらという前提の「出資約束」ではなく、事業計画を理解し、必ず免許獲得できると信じてくださったから」と信頼関係を強調した。ADSL事業ではライバル同士だが、移動体通信については協調していく。そのためにもOpenWinはホールセールに徹することになる。

 OpenWinの特徴について深田氏は5つの項目を挙げた。ひとつは先にも説明したホールセールに特化し、ISP、学術機関、政府機関に対してオープンなスタンスを取っていく事業方針だ。PCベースのモバイル広帯域通信においては、各ISPの利用者を累計し、潜在的な契約者数を1500万人と見込んでいる。また、今後はPC以外にもデジタルカメラ、携帯オーディオ機器など家電方面でモバイルWiMAXの搭載が進むと予測しており、さらに契約総数は拡大すると予測する。

 ふたつめとして、OpenWinは広帯域モバイルWiMAXに特化し、固定サービスに対して水平分離型の事業を展開する。これにより、ISP事業者は従来の固定通信サービスに付加する形で移動体通信サービスを提供できる。エンドユーザーは対応ISPと契約すればPC、PDA、ネット家電、ゲーム端末、カーナビでモバイルWiMAXを利用できる。

 3つ目は豊富な立ち上げ経験を生かした迅速かつ堅実な事業展開が可能になること。ソフトバンクグループは4000局以上のADSLGC局、年間4万局以上の3G基地局を展開した実績があり、イー・アクセスグループは1600局以上のADSLGC局とモバイルブロードバンドに特化したネットワークやデータサービスの経験がある。また、それぞれWiFi、ADSLのホールセール経験もある。このことから、両社のノウハウを生かした速やかなサービスの開始と運営が可能である。

 4つめは世界で標準化が見込まれるWiMAXを採用すること。世界標準の規格の強みは端末や基地局の機材コストが低くなり、ユーザーに向けて低価格なサービスを安定的に供給できる。また、ワールドワイドのローミングサービスも可能となり、すでにOpenWinは提携を交渉中である。深田氏は明言しなかったが、この交渉にもVodafone Groupとの業務提携によるメリットが活かされることになるだろう。

 5つめはモバイルWiMAXの家庭での利用はFTTHに対抗しうるサービスになることである。深田氏はWiMAXとFTTHのサービスを比較し、「FTTHが優位な部分は速度だが、実際はFTTHが謳う100Mbpsの速度はほとんど必要とされていない。WiMAXはADSL相当のスピードを提供可能であり、一般家庭の利用では十分FTTHに対抗できる」と自信を見せた。また、価格や導入の容易さ、モビリティ、端末の多様性、グローバルローミングの部分ではFTTHに対して優位であると語った。

 FTTHやADSLについてはややNTT陣営を意識した内容となったが、深田氏は「敵対するつもりはまったくない。我々はオープンなホールセールを実施するので、FTTHを提供する会社もお客様になりうる」と話した。もっとも、「固定電話線のイニシアチブをNTTが持っているため、ADSL事業については苦労を重ねてきた。FTTHも困難だ。回線設備を持つ事業者はリテール事業を行わず、オープンなスタンスであるべきだという理念はこの経験による。固定回線はNTTだったが、無線については私たちの番ということにしていただきたい。その上で、私たちがオープンなスタンスできちんとサービスを提供できることを証明したい」と語った。これは記者にというより、記者を通じて国民に、そして総務省への切実な訴えとも言える。

 これをうけて、宮川氏は「私たち通信事業者は競争をするあまり、日本の国土をアンテナだらけにしてしまった。オープンスタンスはこの事実に対する反省という意味もある。オープンな姿勢を貫き、すべての通信サービス事業者にOpenWinを利用して頂き、アンテナを最小限にしていきたい」と語った。

 OpenWinは認可取得後、2009年3月に無線データ通信サービスを開始し、2009年度中に人口カバー率50パーセント以上、2015年度末までに人口カバー率90パーセントのエリア展開を予定している。エンドユーザー向けのサービス提供価格はADSLの価格相当とし、加入者数は2015年度末までにPC利用者だけでも400万人を見込む。また、2015年度末の投資総額は約2500億円に達する見通しだ。この資金に関して深田氏は、(ソフトバンク、イー・アクセスの出資比率制限を超えないため)事業開始後にさらに出資者を募っていく。すてに打診はいくつか頂いていると語った。

 来賓のゴールドマン・サックス証券株式会社のマネージングディレクター、アンクル・サフ氏は、「モバイルWiMAXは優れた技術であり将来性は間違いなく、また、OpenWinの経営陣は確かな人材である」と期待の言葉を贈った。

 質疑応答で記者から「OpenWinはオープンスタンスを取ると言うが、免許を獲得した場合、獲得できなかった2社に対してもオープンな受け入れを行うのか」という問いに、深田氏は「私たちのスタンスはもちろん変わらない」と語った。ただし「OpenWinが免許を獲得できなかった場合はどうするのか」という問いに対しては「他社様の方針もあるのでコメントできない」とした。これを引き継いで共同出資者となったニフティ株式会社常務執行役員今村隆氏が「私たちはOpenWinが免許をいただけると信じている」と締めくくった。
《杉山淳一》

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