[年末企画]同一ISPでも電話できない事態に!?−IP電話の相互接続を探る | RBB TODAY

[年末企画]同一ISPでも電話できない事態に!?−IP電話の相互接続を探る

ブロードバンド その他

 ソフトバンクグループが提供するIP電話サービス「BBフォン」が好調なのを受けてか、ここ2か月の間に「IP電話」の状況は目まぐるしく変化した。IP電話サービスの魅力はなんといっても“無料通話”にある。しかし、IP電話のトラフィックは専用のIP網にとどめられるため、無料となるのは同じIP網に接続されているユーザ間の通話に限られる。そのため、IP電話サービスを提供する各ISPは相互接続を積極的に進めている。ここでは各社の発表をもとに現状をまとめてみた。

●NTTコム連合
 OCN、@nifty、So-netの3社はNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が提供するIP電話サービスのプラットフォームを利用すると発表。その後、BIGLOBEとPanasonic hi-hoなどが加わることになる。
 参加ISP:OCN、@nifty、So-net、BIGLOBE、Panasonic hi-ho、ASAHIネット、DreamNet、TOKAIグループ

●メガコンソーシアム連合
 ISPのコンソーシアム「メガコンソーシアム」によるIP電話連合。詳細は不明。
 参加ISP:DION、ODN、BIGLOBE、Panasonic hi-ho
      そのほかメガコンソーシアム加盟ISPを予定

●キャリア3社連合
 イー・アクセスがアクセスラインやIP電話アダプタを、キャリア3社(日本テレコム、KDDI、TTNet)がバックボーンを提供するプラットフォーム。
 参加ISP:DION、コジマネット、ODN、TTNet、SANNET、BIGLOBE、U-netSURF、Panasonic hi-ho、InterQ MEMBERS、ASAHIネット

●フュージョン連合
 参加ISP:BIGLOBE、BBX関連CATV

■足並み乱れるメガコンソーシアム
 鍵を握るのはNECか?


 「メガコンソーシアム」は、日本テレコム(ODN)、NEC(BIGLOBE)、松下電器産業(Panasonic hi-ho)、KDDI(DION)が幹部企業となって設立されたISPのコンソーシアムだ。主に、コンテンツ、マーケティング、新サービスなどの開発や運営を共同で進めることで、品質の向上と投資の効率化を図ることが主目的である。もちろん、ブロードバンドを視野に入れたものであって、IP電話についても検討が共同で進められているが、ここにきて各社の足並みが大きく乱れている。

 以下にメガコンソーシアム参加ISPにおけるIP電話サービスの動きをあげてみた。

 以上のように、非常に複雑な関係となっており、どことどこのISPで無料通話が実現するのか全く見えない状況になっている。

 特にBIGLOBEは、4つの相互接続の連合に加わっているため、関係がより複雑だ。「ADSL接続サービスにおいてアッカ・ネットワークス、イー・アクセス、フレッツを用意したように、IP電話もさまざなま選択肢を用意する」とのことだが、実際に動き出しているのはフュージョンとの実証実験だけだ。そのほかは、サービスを始めることは決まったものの、具体的な日程や提供形態が決まっていないのが現状である。BIGLOBEに限らず昨今のIP電話サービス全般にいえることだが、詳細を詰めないままサービスを始めることだけを発表するのは結果としてユーザの混乱を招いているといえよう。

■確実なロードマップを進むNTTコム連合

 その一方で、NTTコム連合は確実なロードマップを進んでいる。@niftyOCNSo-netはそれぞれ実証実験に関して、日程などの具体的な内容に関して発表している。これら3社は、2003年1月をめどに相互接続を、3月には商用サービスの開始を予定するなど、着実に商用サービスに向けて準備が整いつつある。

 また、Panasonic hi-ho、BIGLOBE、ASAHIネット、TOKAIグループも加わるなど、勢力を確実に伸ばしつつある。

■同じISP内でも無料通話が実現できない!?

 これまで紹介してきたようにISPが提供するIP電話サービスは、各キャリアのプラットフォームを利用することになる。中には、複数のキャリアと手を結ぶところも出てきており、たとえばPanasonic hi-hoがそれにあたる。先日発表した「hi-hoでんわ-C」はNTTコムのプラットフォームを用いており、名称の最後についている“C”はNTT CommunicationsのCだとしている。たとえばキャリア3社連合を用いたサービスでは「hi-hoでんわ-E」などの名称となり、それぞれ別のサービスとして扱われるという。

 気になるのが、「hi-hoでんわ-C」と「hi-hoでんわ-E」間で無料通話を実現できるかということだ。先に説明したようにIP電話は各キャリアが提供するIP電話網を用いているため、無料通話はこのネットワーク内のユーザに限られる。そのため、1つのISPにIP電話サービスが2つ存在している場合、同じISPのユーザ同士であっても利用しているIP電話サービスが異なれば無料で通話できない。

 ここでキーとなるのがアクセスラインだ。それぞれのIP電話プラットフォームは、バックボーン以外にも、対象となるアクセスラインが異なる。「hi-hoでんわ-C」ではアッカとフレッツのユーザ、一方の「hi-hoでんわ-E」ではイー・アクセスのユーザが対象となる。そのため、無料通話の対象は、同じISP内ではなく、同じアクセスラインの利用者ということになる。

 この状況を踏まえると、たとえば「BIGLOBE+アッカ」のユーザは、「BIGLOBE+フレッツ・ADSL」のユーザとは無料通話ができないが、「@nifty+アッカ」のユーザとは無料で通話できるというかなり奇怪な現象が生じる。これらの問題を解決するために、各キャリアはプラットフォームの相互接続を前向きに検討しているが、具体的にはまだ何も決まっていないのが現状だ。すべての問題が解決され、安くて利用しやすいIP電話サービスが普及するには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
《RBB TODAY》

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