紅白本番の17時間前となる12月31日午前2時18分から、サカナクションのフロントマン・山口一郎に密着したドキュメンタリー番組『山口一郎 “うつ”と生きる 紅白完結編』(NHK総合)が放送される。

2022年7月から2年間、サカナクションは活動を休止していた。ボーカルを務める山口がうつ病を患ったためだ。山口はこの間、うつ病を抱えながらどう音楽を続けていくか模索してきた。

そこで生まれたのが、今年2月に発表され、アニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合で放送)のオープニング曲・主題歌となった『怪獣』だ。現在、ストリーミングでの累積再生数は3億2000万回を突破し、歴代最高の再生数を記録している。その後、サカナクションは2年ぶりの全国ツアーに挑戦し、完全復活を遂げた。

NHKスペシャルでは2024年5月と10月に、うつ病を抱えながら音楽活動を続ける山口に密着し、『怪獣』の創作活動に取り組む姿をドキュメントした。番組では『怪獣』を完成させることができず、ワンコーラスのわずか2分3秒の演奏という未完のパフォーマンスで終わり、無念のラストシーンで終わった。


今年11月14日、第76回NHK紅白歌合戦の出場歌手発表の知らせを聞いて、制作チームは再び山口の取材を始めた。前回の取材から1年半あまり、現在は“うつ”とどのように向き合い音楽活動を続けているのか、未完の『怪獣』はどのように完成に至ったのか、そしてサカナクションは紅白でどんなメッセージを伝えようとしているのかを追う。


山口は今回のドキュメンタリーについて、「今回のドキュメンタリーで『自分たちがどう生きてきているか』、『どんなふうに音楽を作ってきているか』という背景にあるストーリーをたくさんの人に観ていただいたことで自分たちの曲の聴かれ方が変わることを実感しました。しんどい日々の中で作ってきた音楽がたくさんの人に聴かれることになったのは本当に報われましたし、感謝の気持ちが強いです。紅白歌合戦のステージでは“うつ”という同じ病気で苦しんでいる人たちだったり、病気ではなくても今本当に苦しんでいる人たちに対して、サカナクションの音楽を少しでもお届けできたらと思っています。」と語っている。

番組では山口に独占ロングインタビューを行い、心の稜線を描いていく。さらに、サカナクションの紅白本番に向けたリハーサルにも密着取材を行い、メンバーの思いにも迫る。

日本では15人に1人がうつ病を抱えていると言われる。山口の“うつ”とともに生き、歌い続ける姿は、今を生きる私たち自身の物語でもある。













