元乃木坂46・北野日奈子が出演する舞台 SUGARBOY 6th. "mini theater creation 2025"『春醒』が、5月22日(水)より、下北沢OFF・OFFシアターで上演されている。
同作は、作・演出を川尻恵太が手掛ける完全オリジナル作品。とある国にある町はずれのシェルターで25年間暮らす男女5人の物語。外の世界を知らず、シェルターの中で暮らしている子どもたちはある日、「演劇のすすめ」という本に興味を示したことから、外の世界を知るために、なりたいものになるために、演劇をしながら生きていくことになる———。
今回、サルパ役を演じた北野日奈子にインタビューを実施。アイドル時代の葛藤が投影されたという本作の魅力と、アイドルを卒業してからのセカンドキャリアについて、語ってもらった。
セリフひとつひとつに自分の想いが込められている

ーー取材時点で、全34公演中12公演が終了しましたが、手応えは感じていますか?
観に来てくださった方たちの感想を見て、この物語で伝えたいメッセージがしっかり伝わっていると感じています。
毎公演、後悔なくやり切っていますが、残り3分の2をより良いものにするため、ブラッシュアップもしています。リピーターの方も増えてくると思うので、同じ作品・同じメンバーであっても「見たことあるな」と思われないよう、毎日挑戦する気持ちで演じていきたいです。
ーー聞くのは野暮かもしれませんが、この物語を通して伝えたいメッセージとは?
サルパたちは年齢としては大人ですが、外の世界をまったく知らないため、心は子どものままです。無邪気な心で自分のやりたかったこと、なりたかったものを言葉にして伝える姿で、観た人たちの背中を押すことができたらと思っています。
ーー脚本を担当した川尻恵太さんがXで、「北野さんとの会話が脚本の軸になっている」と投稿されていましたが、どのような会話をしたのでしょうか?
本当にくだらないことから真面目なことまで、いろんな話をしました。その中で、私は何でも心の内を話さないと耐えられないタイプで、アイドル時代から思い詰めたときは家族に全部話してきた、という話を川尻さんとしました。
劇中で川尻さん演じるラブカに「死にたいって言ってる時点で本気じゃない」と言われる場面があるんですが、それがすごく救いになりました。辛い気持ちも一瞬の感情で、長い目で見たら途中に過ぎない。この舞台をきっかけに心が軽くなったような気がします。セリフひとつひとつに自分の想いが込められている気がしますね。
アイドル時代から10年間、ずっと気にかけてくださり、今回こういったセリフをくれた川尻さんは、本当にありがたい存在です。

地道に目の前のことを積み重ねていくほうが私らしい
ーー乃木坂46卒業時にインタビューで「目標はまだない」と話していたことが印象的でした。卒業から3年経って、セカンドキャリアをどのように考えていますか?
まず私にとって大好きだと思える競馬という存在が、卒業後にできたすごく大切なものなんです。なので、競馬の素晴らしさを伝えられるタレントとして、皆さんに認められるようになりたいと思っています。
俳優は「どこを目指したいのか?」と聞かれることもありますが、正直まだ明確には見えていないんです。今こうして演技のお仕事をいただけることはすごく楽しいと思う反面、「自分に本当にできるのかな?」と思ってしまうこともあります。
ただ、いろんな役や作品に出会う中で、「この自分、好きだな」と心から思えるようになりたい。その気持ちは強くあります。

ーー目の前のことをコツコツと、というイメージですかね?
そうですね。そうやって少しずつ、地道に目の前のことを積み重ねていくほうが私らしいと思います。大きな目標を掲げて、それだけを目指すことは、他のものを排除することでもあるので。
ーー「分かりやすい目標を持ったほうがいい」と言われることはありませんか?
たしかにそう言われることもありますが、分かりやすい目標だけに頼るのではなく、本音の部分を理解してくれる人たちと一緒にお仕事ができるほうが、信頼関係も深まるし、消費されない強い関係を築けると思います。
この舞台もそうですが、そんな私の気持ちや愛情を理解してくれる人たちとお仕事ができている今の環境はとてもありがたいですね。
乃木坂46時代にはなかった「初めてのライバル意識」
ーー乃木坂46 2期生のメンバーも卒業後、本当にさまざまなキャリアを歩んでいますよね。
メンバーの活動は、よくチェックしています。2期生はもともと個性的なメンバーが集まった期で、本当にそれぞれ違う道を歩んで、誰ひとりとして同じことをやっていないから、見ていて面白いし、「私も頑張ろう」と思えます。でも、同期だと心配のほうが勝っちゃいますね。
ーーライバル意識はないですか?
全然ないです。むしろ、「みんな幸せになってほしい」という気持ちが強いです。振り返ると、グループに在籍していたときから、ライバル意識はなかったです。同じ目標に向かって一緒に頑張る仲間という感じでした。
今はどちらかというと、競馬が好きな女性アイドルを見て「負けたくない」と思うようになりました。乃木坂46時代にはなかった、初めてのライバル意識かもしれません。

ーー今後、目標にしている方はいますか?
元騎手で、競馬評論家の細江純子さんです。競馬を好きになる前から、「女性で競馬といえば細江さん」という印象があったので、私も「競馬といえば北野日奈子」と言われるようになりたいです。
「元アイドルが競馬好きとか言って」みたいな声を耳にすることもありますが、競馬が好きという気持ちは揺るがないので、そこはもうへっちゃらです(笑)
ーーたくましいですね。
だからこそ、画面越しに馬を応援するだけじゃなく、もっと馬と触れ合いたいんです。この前、北海道の石狩で1時間乗馬をしてすごく楽しかったので、次はモンゴルで乗馬をしてみたいですね。

SUGARBOY 6th. mini theater creation 2025「春醒」
6月15日(日)まで下北沢OFFOFFシアターにて上演中!
さらに、DVD・Blu-rayの発売も決定!
詳細は公式X、公式サイトをご確認ください。
公式X https://x.com/sugarboy0625
公式サイト https://sugarboy.tokyo/6th