5月13日、映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の完成報告会見がグランドプリンスホテル高輪で実施。吉永小百合、佐藤浩市、天海祐希、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずき、阪本順治監督が登壇し、撮影期間の思い出話や公開に向けての想いを語った。

同作は世界初の女性エベレスト登頂を成し遂げた登山家・田部井淳子の実話をもとに、その壮大な生涯を描いた作品。イベントに登壇した主人公・多部純子役の吉永は、「本当に過酷な撮影だったのですが、何とかやり遂げられてホッとしています。本物の田部井淳子さんがてっぺんの向こうから、『よくやったね、頑張ったね』って私たちに言ってくださっているような気がします」と手ごたえを語った。

純子の夫・多部正明役の佐藤は、「この世界に入る45年前、将来吉永さんの相手役をやることになると周りに言ったら、鼻で笑われるか、怒鳴られるかのどっちかでしたでしょうね。今こうして吉永さんの相手役をさせて頂くなんて想像もしていませんでした。でも、撮影に入る直前、吉永さんに、『撮影期間中は、お母さん、お父さんと呼ばせてください』と言ったら快く受け入れてくださって、それがすごく心の支えで。支えているようで支えられている、映画の外でもそんな関係性が出来ればいいなと思っていました」と撮影を振り返った。

そしてエベレスト登頂の相棒・北山悦子役を演じた天海は、「(純子と悦子のことを)支え合い、お互いの存在に励まされていた関係だったのでは、と今では思いますし、おこがましいけれど、小百合さんとの関係もそうだと思います。素直にまっすぐに悦子さん役に入れたと思います。(純子は)すごくバイタリティがあって、力強くひたむきで、吉永さんにぴったりな役でした。そばで見つめ続けることができて幸せでした」という想いを明かした。

また同作は70年代と現代、2つの時代がクロスする設定で、純子と正明の青年期をそれぞれのんと工藤が演じる。のんは「素敵な役を頂けて興奮していました。撮影に入る前に、吉永さんの出演作をたくさん拝見しましたが、吉永さんの瞳の力に魅了されました。どうにか1%くらいその瞳パワーを表現できないかと研究しました」と語り、過酷な雪山での撮影について「雪山の洗礼を受けました。良いタイミングで吹雪がやってきて、撮影の合間に待機していたバスの中に霜が降りてきたり。スタッフさんに手足が凍るので動かし続けてください、と言われながら撮影に臨んだり」と振り返った。

質疑応答の時間には、吉永がのんと二人一役を演じたことの感想として、「のんさんが本当にかわいくて。自分にこんな娘がいたらいいなと思うくらいでした。坂本龍一さんとのコンサートで朗読した時に心が通い合っていましたが、今回も良かったと思います」と発言。

その一方でのんも、「プレッシャーは巨大でした。本当に緊張して…。お話しいただいたときは舞い上がったのですが、いざ演じるとなると…吉永さんの青年期に見えなきゃいけないんだということがのしかかってきて、気合いが入りました!一生懸命頑張りました!」とプレッシャーを感じていたことを明かした。
なお同作は、10月31日に全国公開される予定だ。