【韓国ドラマ】キム・テリ×オ・ジョンセ『悪鬼』は霊と人間への恐怖交差するオカルトミステリー | RBB TODAY
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【韓国ドラマ】キム・テリ×オ・ジョンセ『悪鬼』は霊と人間への恐怖交差するオカルトミステリー

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『悪鬼』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/毎週金・土に2話ずつ配信)© STUDIO S. All rights reserved.
  • 『悪鬼』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/毎週金・土に2話ずつ配信)© STUDIO S. All rights reserved.
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 目玉の付いた月、月明かりに照らされた木の枝から滴る血、首吊り死体のシルエット、そこへ幾つもの手が伸びる。扉をこじ開ける手、そしてエレベーターに佇むメデューサのような女性―。6月23日、不気味なアニメーション映像による幕開けで、韓国ドラマ『悪鬼』(ディズニープラス スターにて独占配信中)が始まった。

 本作は、『シグナル』『キングダム』などのヒット作を手がけてきた脚本家キム・ウ二の最新作。悪鬼に取り憑かれた主人公と、その悪鬼を長年追い続けてきた教授、そして図らずもその悪鬼による事件を追うことになる刑事らが織り成すオカルトミステリーだ。(以下、ネタバレあり)

■筆者プロフィール
山根由佳
執筆・編集・校正・写真家のマネージャーなど何足もの草鞋を履くフリーライター。洋画・海外ドラマ・韓国ドラマの熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。


憑かれた女と過去に囚われた男が真相に迫っていく


 物語は雨降りの晩、主人公ク・サニョン(キム・テリ)の父ク・ガンモ(チン・ソンギュ)が慌てて帰宅するところから始まる。彼は室内に禁縄を張ると、「何が間違っていたのか」と独りごち、「悪鬼は太子鬼(テジャグィ)」と書かれたノートを手にする。しかし、悪鬼の嘘で扉を開けてしまい、首を吊って自殺。通夜へ訪れたサニョンは父の遺品として赤い髪飾りを受け取り、悪鬼に憑かれてしまう。また、ガンモから「死んだら娘の力になってほしい」という手紙を受け取っていた民俗学教授ヨム・ヘサン(オ・ジョンセ)は、サニョンに憑いた悪鬼こそ自身の母を殺した悪鬼だと確信。

 「周りで人が死ぬ。嫌いな人や消えてほしい人が死ぬ。悪鬼は人の欲望を聞き入れて大きくなる。あなたには悪鬼が憑いています」というヘサンの訴えに抵抗していたサニョンだったが、鏡越しに霊が視えるようになり、記憶が飛ぶことも増加。悪鬼の悪行を食い止めるべく、ヘサンと協力体制をとるようになる。

 一方、ヘサンの母の事件を担当し、今でもその犯人を追っているベテラン刑事ソ・ムンチュン(キム・ウォネ)は、サニョンの周辺で生じる不審死が当時の事件と関係していると考え、若手刑事イ・ホンセ(ホン・ギョン)を従えて捜査を始める。

やはり一番の見どころは演技派キム・テリの怪演


 ク・サニョンを演じるのは、映画『お嬢さん』やドラマ『二十五、二十一』など、主演作において数々の賞を受賞してきたキム・テリ。本作では、貧困に屈さず黙々とアルバイトや勉強をこなす生真面目な人物と、悪鬼が憑依している姿の切り替えが見事で、その邪悪な笑みは一度見たら脳裏に焼きつくほど強烈である。

『悪鬼』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/毎週金・土に2話ずつ配信)© STUDIO S. All rights reserved.


 ヨム・ヘサンを演じるのは、ドラマ『サイコだけど大丈夫』『椿の花咲く頃に』をはじめ、名脇役として名を馳せてきたオ・ジョンセ。個人的には“ちょっと残念な役”としての印象が強いので、主人公を冷静にサポートする姿に新鮮さを感じている。

『悪鬼』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/毎週金・土に2話ずつ配信)© STUDIO S. All rights reserved.


 刑事コンビを演じるのは、作品数を挙げたらキリのない“脇役の名品”キム・ウォネと、ドラマ『弱いヒーロー Class1』が記憶に新しい注目俳優ホン・ギョン。未解決事件ばかりを追う変わり者だが人間味のある優秀な刑事、何を考えているのかイマイチよく分からないが徐々に先輩に影響されていく後輩を、それぞれ自然体で演じている。

『悪鬼』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/毎週金・土に2話ずつ配信)© STUDIO S. All rights reserved.


幽霊一辺倒ではないホラーにつき賛否分かれそう


 ヘサンは事件が起きるたびに霊の仕業であると主張するが、ムンチュンは「俺が追っているのは霊ではなく犯人だ」と頑なにその考えを変えない。その主張を汲むかのように、現在配信中の4話目まで、霊によって事件解決の糸口が掴めることもあれど、人間による悪行こそが諸悪の根源というパターンが続いている。別の世界との媒介である“扉”の描写や、さりげなく映り込む霊の姿にヒヤッとさせられることもあるが、私のように人間以外の得体の知れない怖ろしさのみを予測してやや面食らった人もいるのではないだろうか。

 4話目までの話では、サニョンに憑いた悪鬼は、1958年のチャンジン里にて、祈祷師の「厭魅(えんみ/まじないで人を呪い、殺すこと)」によって殺された女児イ・モクタンだろうと予想されている。つまり、悪鬼を生み出したのは人間ということ。また、サニョンとヘサンは厭魅文化で有名なペクチャ谷に赴くが、とある村人の勝手な振る舞いで、村人全員が霊による被害を被ることになる。4話終盤では霊の姿もたくさん登場したが、やはりこの騒動も“人怖”で締められる気もしている。霊による恐怖と人間による恐怖を絶妙な塩梅で融合させている本作、今後もその“バランス感”に注目をしていきたい。

 また、本作は悪鬼を軸に「民俗学」を掘り下げていく点もユニークだ。ヘソン曰く、民俗学とは“祖先である民衆の文化を研究する学問”。作品で言及している内容がどこまで正しいかは調べようがなく不明だが、「昔、子どもは家族の一員とみなされず、死亡したらカメに入れて埋められたり、木に吊されたりした」「梨種の髪飾りは、子の健やかな成長を願う祈りも込めたお守りような物として、年端もいかぬ女の子に与えられていた」「人形送りは客鬼退治の一種」など、日本とは似て非なる韓国の世俗を垣間見られるのは興味深い。ちなみに、ヘサンの車内BGMであるお祓いの音楽「トゥロンゲンイ」は実在しているようだ。

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《山根由佳》
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