韓国映画『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』実録ネット性犯罪 戦慄のドキュメンタリー | RBB TODAY
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韓国映画『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』実録ネット性犯罪 戦慄のドキュメンタリー

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韓国映画『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』実録ネット性犯罪 戦慄のドキュメンタリー
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 Netflixで2022年5月18日から配信中の韓国映画『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』は、『スティール・コールド・ウインター ~少女~』(2013)のチェ・ジンソン監督が手掛けるドキュメンタリー映画だ。

 韓国で実際に起きた「n番部屋事件」と呼ばれる衝撃的なデジタル性犯罪を暴くために挑んでいくジャーナリストたち、2人の女子大生、警察官らに密着している。

 インタビュー、アーカイブ、アニメーション、再現シーンから成る本作は、若い女性たちが陥ってしまった手口を詳細に公開。そのえげつなさに不快感が募るが、それ以上に悪質な犯罪を暴こうと挑んでいく人々の熱意に引き込まれていく作品となっている。(以下、一部ネタバレあり)


背筋が凍るデジタル犯罪の現実



「ほんの少しの好奇心」が取り返しのつかないことに…


 まずこの事件の概要を説明したい。2019年に韓国で発覚した「n番部屋事件」は、主に10代の女性を狙ったデジタル性犯罪事件だ。

 テレグラムというメッセージアプリを使用したn番部屋には、少女たちの性的な映像が配信されており、数万円の入場料を払うことでより過激な映像を見ることができるしくみとなっていた。

 犯人たちは興味本位でわいせつな画像を投稿している少女に、警察と名乗ってコンタクトをとり、個人情報を聞き出して脅し、言うことをきかせる…という手口を使っていたのだ。

 主犯格をはじめとした加害者たちの暴挙は、言葉にできないものがある。一度餌食になってしまったら最後、彼らに「奴隷」と呼ばれて徹底的に痛めつけられる。

 本当にこんなむごいことがあるのだろうか…と思うのだが、モザイクがかかっているとはいえ、実際にやりとりされている画面や画像が映し出され、動かぬ証拠となっている。衝撃的な内容は、一部アニメーションで表現しているのだが、かえってそれが生々しく感じる。

アニメーションで描くことでより一層リアルに感じる


 「なぜこんなことになってしまったのだろうか」と、被害にあった少女たちは何度も思ったことだろう。ちょっとした好奇心で泥沼にはまってしまうネット犯罪のすさまじさを本作ではリアルに伝えている。


悪質な輩を努力と執念で追い詰める人々



加害者を逮捕するべく執念を燃やす人たち


 やりきれない気持ちになる本作だが、一方でこうした汚い犯罪に立ち向かっていく勇敢な人たちの執念と努力に一筋の光が見えた。

 ハンギョレ新聞の記者、ジャーナリスト志望の女子大生2人組「追跡団・炎」、マスコミ、警察が加害者たちを追い詰めていく姿を、固唾を飲んで観る側が見守ることになる。

 しかし最初からうまく事が運んでいくわけではない。これだけの犯罪を引き起こす輩だけあって、簡単にしっぽをつかませないのだ。

 彼らの悪事を暴こうとするマスコミに対して「報道したら奴隷を自殺させる」と脅したりするなど、やり方が本当に汚い。しかし諦めることなく地道に捜査を続けていき、ついに主犯格の人物を逮捕するに至る。

 実際に警察が逮捕する時の映像や連行される犯人、チョ・ジュビン、ムン・ヒョンウクの姿をとらえた映像が本作で登場する。「悪魔の行動を止めてくださって感謝します」と口では言っているものの、反省している様子が見られない犯人の姿に怒りを覚える人がほとんどだろう。

 実際に「あまりに腹立たしいため、彼らの顔写真が載った新聞を踏みつけてしまった」というコメントをしているひとが登場するが、さもありなんという感じだ。

 さらに腹立たしいのは、一緒になってn番部屋で少女たちを弄んでいた連中だ。「俺たちは捕まらないだろう」「見ているだけだから関係ない」などと言い訳をしている。

 本作の中で、「多くの関係者がいなければ、そしてニーズがなければこのような犯罪は成り立たない」と指摘しているがまさにそのとおりで、ニーズがあったからこそ、チョ・ジュビン、ムン・ヒョンウクといった悪質な犯罪者が生まれたのだろう。

 こうして多くの人たちの努力の結果、犯人は捕まったわけだが、被害にあった少女たちの傷が消えることはない。本作では海の奥深くへ沈んでいく女性の姿がたびたび映し出されるが、まさに被害にあった少女たちの気持ちを表しているシーンだといえる。

 底が分からない海の中へ引きずり込まれる心境だったのだろう。

被害者の少女たちは暗い海に沈んでいく気持ちだっただろう


 そんな暗闇の中にいた彼女たちが通報する勇気を出したからこそ、今回の事件は解決した。

 「これ以上被害者が出ないでほしい」「テレグラム犯罪をなくしたい」そう願って行動を起こした被害者の少女たちが、今後幸せな人生を歩んでほしいと心から思った。そしてこういう事件が二度と起きないように、大人たちがしっかりして、きちんと見守っていかなければいけないのだと強く感じた。

※Netflixシリーズ『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』独占配信中

■筆者プロフィール

咲田真菜

舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。
《咲田真菜》
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