【インタビュー】「今後は3つの新規事業に軸足を移す」……NTTぷらら・板東社長 | RBB TODAY
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【インタビュー】「今後は3つの新規事業に軸足を移す」……NTTぷらら・板東社長

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NTTぷらら 代表取締役社長の板東浩二氏
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  • 「ひかりTV」の10周年を記念して作られた「ひかりTV-VF カレンダー」
 NTTぷららが提供する映像配信サービス「ひかりTV」が、今年の3月31日にサービス提供から10周年を迎えた。RBB TODAYのブロードバンドアワードでも、有料動画サービス部門 長期契約 最優秀賞に同サービスが選ばれている。

 コンシューマ向けでは、スマートTVサービスとプロバイダ事業を主軸に事業を展開している同社だが、今後はどのような展望を考えているのか? 代表取締役社長の板東浩二氏に話を聞いた。

■大阪チャンネルやタテアニメなど、新コンテンツを開発!

【編集長】まずは今後の戦略について、お話をお聞かせください。

【板東社長】10年を一区切りとして考えたとき、これからの10年については全く新しいことに取り組んでいきたいと考えています。具体的にはスマホ向けの独自コンテンツの制作、スマートスタジアム、自由視点映像、新体感映像サービスなどになるでしょうか。従来のような映像の制作や調達も引き続き行いますが、今やコンシューマにおける映像の視聴機会はスマホ中心にシフトしています。2020年には5Gも始まるので、それも視野に入れながら、新たなマーケットを構築していきたいですね。

【編集長】今挙げていただいた新事業とは、具体的にはどのようなサービスになるのでしょうか?

【板東社長】具体的な取り組みとしては、主に三つあります。一つはスマホ向けのコンテンツ・アプリ市場の開拓です。昨年から吉本興業と共同で、関西のエンタメ番組がスマホで見放題になる「大阪チャンネル」を提供していますが、テレビ局がコンテンツを持ち寄って、それを配信するというのは今回が初めての取り組みでした。上手くいけば北海道チャンネル、九州チャンネルというように、エリアを広げていくことも考えられます。

【編集長】他にも、コンテンツ・アプリ市場の開拓について、何か新たに始めたサービスがあれば教えてください。

【板東社長】昨年に開始したアニメ配信の「タテアニメ」ですね。最近では若者が電車での移動中に、スマホで動画を見ています。ただ、画面を横にすると両手を使わないといけないので、片手で観られる動画として考えたものです。IG Port(プロダクション・アイジーなどを傘下に持つ持ち株会社)と共同で、今後は色々なタテアニメを作っていきたいですね。

■自由な視点、3次元映像でのライブビューイング

【編集長】スマホ向けのコンテンツ・アプリ市場の開拓に続く、二つ目の取り組みについて教えてください。

NTTぷらら 代表取締役社長の坂東浩二氏

【板東社長】二つ目は新体感映像コンテンツの制作です。これはすぐ収益につながるものではなく、工夫が必要になるので、トライアルを進めている段階ですね。例えば、FC今治からは、スタジアムを使って何か面白いことができないかとの話がありました。そこで考えたのが、会場にWiFiを設置したスマートスタジアムです。WiFiを通じてサポーターにMVPを投票してもらったり、地上波では放送していない監督や選手のコメントなどを観てもらうのもいいかもしれません。

【編集長】先ほどお話しのあった自由視点映像も、新体感映像コンテンツの取り組みになるのでしょうか?

【板東社長】そうですね。アイスホッケーの冬季アジア札幌大会では、会場に18台のカメラを並べて、180度から試合の様子を撮影しました。このときはすべてのカメラからの映像を瞬時に合成して、画面をスクロールすることで、自由な角度から試合をライブで配信しています。また、去年のハウステンボスの花火大会では、100メートルの上空にドローンを飛ばして、4Kでのライブ中継を行いました。ただ、ドローンは電源が20分しか持たないので、上空まで電源ケーブルを伸ばす必要がありましたね(笑)。

【編集長】さまざまな視点から映像を配信するというのは、面白い試みですね。ほかにも、いろいろなライブ配信に利用できそうです。

【板東社長】ライブ配信ということでは、イマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」を使った試みもあります。昨年にはお台場のライブ会場で撮影した映像を、渋谷のタワーレコードに設置した別会場へと中継して、3次元映像でのライブビューイングを行いました。これはインパクトがあったのか、多くの方に「面白かった」と喜んでいただけました。

■新事業最後の一つは、アーティストのARフィギュア!?

【編集長】今後の新たな挑戦について、最後の一つは何でしょうか?

NTTぷらら 代表取締役社長の坂東浩二氏

【板東社長】最後の一つは新技術や新サービスの導入です。例えば、BSでは今年中に4K8Kの放送が予定されていますが、既存の4Kテレビでは放送を観ることができません。そこで、考えているのが4K8K放送の再放送です。相手がいることではありますが、独自のチューナーを開発して視聴者に映像をお届けできないかと、技術的な検討を進めています。あとは、力を入れているのがバーチャルフィギュアですね。ARマーカーを読み取って、スマホの画面上にフィギュアをAR表示するという取り組みです。

【編集長】バーチャルフィギュアの販売となると、どのようなビジネスモデルになるのでしょうか?

【板東社長】有料アプリを販売し、購入していただいた方に、ARマーカーをプリントしたグッズを郵送するモデルですね。現在は音楽系のアーティストを中心に、昨年9月ぐらいから提供を始めています。ARマーカーを読み込むと、スマホにフィギュアが表示され、音楽を演奏するという仕組みですね。

「ひかりTV」の10周年を記念して作られた「ひかりTV-VF カレンダー」

【編集長】音楽を聴くのであれば、CDやライブのDVDがありますが、それとは別にバーチャルフィギュアを買い求めるというのは、どのようなニーズがあってのことなのでしょうか?

【板東社長】これはアーティストグッズの一種ですね。ARマーカーを缶バッチに印刷することもできますし、キーホルダーやペンダントにすることも考えられます。また、フィギュアというとアニメのキャラクターを模したものがありますが、バーチャルフィギュアなら置いて飾るだけでなく、動かして楽しめるのが魅力です。バンドやグループのメンバーの数だけARマーカーを作れば、例えばボーカルの声だけアカペラで再生したりと、好きなメンバーのARマーカーだけを並べてライブを観ることもできるわけです。

■ひかりTVではdTVやdTVチャンネルとコラボ

【編集長】先日のイベントでは「ひかりTV」の会員数について、310万人を目指すというお話がありました。今後も会員数は増え続けていくのでしょうか?

NTTぷらら 代表取締役社長の坂東浩二氏

【板東社長】会員数については300万人を達成した頃から、頭打ちの状態にあります。ただ、今春にはNTTドコモ向けにカスタマイズした「ひかりTV for docomo」がスタートしますので、こちらのチャンネルでの販売を考えて、新たな目標を立てました。

【編集長】NTTドコモとの連携を強化していくということでしょうか?

【板東社長】NTTドコモでは従来の「dTV」というオンデマンド映像配信サービスに加え、今年の1月30日から「dTVチャンネル」を開始しました。これは、放送型のサービスで、月額780円で31チャンネルが見放題になります。「ひかりTV for docomo」ではセットトップボックスを提供する予定ですが、ここで「dTV」と「dTVチャンネル」を観ることができるんです。4Kのチャンネルもあるので、ユーザーの方にはぜひ「ひかりTV for docomo」で、「dTV」と「dTVチャンネル」を見ていただければと思います。

【編集長】先ほどスマホ向けのコンテンツを開発していくというお話がありましたが、今後はどのような層に向けてコンテンツを提供していくのでしょうか?

【板東社長】結果的には可処分時間が多い、主婦や学生がターゲットになるかと思います。また、VODで視聴されているコンテンツでは約40%がアニメ、約30%がテレビドラマと、1話1話が短時間にまとまっているものが人気です。これらの視聴データを分析しながら、ユーザー層にあったコンテンツを用意していく必要があります。

【編集長】新事業へ軸足を移すにあたって、社内で何か変化はありましたか?

【板東社長】組織的な部分ではコンテンツ本部ができたことが大きいですね。今後はここを中心に制作会社と業務提携したりしながら制作能力を高めていきたいですね。
《RBB TODAY》
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