【国際コインランドリーEXPO】アワード受賞店の経営術は? | RBB TODAY

【国際コインランドリーEXPO】アワード受賞店の経営術は?

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アワードの受賞者と選考委員。この取り組みは来年以降も続けていく予定だ
  • アワードの受賞者と選考委員。この取り組みは来年以降も続けていく予定だ
  • 最優秀賞を受賞した「WASH&FOLD神戸垂水店」の店長を務める池氏
  • 審査員長を務めたゼンドラ株式会社代表取締役の関氏。今回のアワードの総評を述べた
【記事のポイント】
▼女性の“家事代行”としてのニーズを取り込む
▼喫茶店併設や女性専用といった新業態でライバル店に勝つ
▼地域のコミュニティで一役を担い、存在感を打ち出す


 共働きや独身者の増加などが原因となり、コインランドリーの需要が増加傾向にある。厚生労働省が発表している「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生実態調査」によると、その営業施設数は96年以降、年々増加を続けているようだ。12月2日には国内唯一のコインランドリービジネスに特化した展示会「第1回国際コインランドリーEXPO 2016」が開催。3日間で延べ1万7525人が訪れる盛況ぶりで、その注目度の高さを改めて実感させている。

 会場では全国から優れた店舗を選出する「コインランドリー店アワード」が開催された。関連企業や新規参入を検討している事業者にとって、モデルケースとなるような取り組みが数多くみられたので、ぜひ参考にしたい。

■若者や女性に安心感を与える店舗づくり

 もっとも評価が高かったコインランドリー店舗に授与される「最優秀賞」には、兵庫県の「WASH & FOLD 神戸垂水店」が選ばれた。この店舗ではホテルをイメージしたラウンジ、子供が遊べる隠し部屋などを併設している。店長の池聡一郎氏によると、初めて来店されたユーザーからは、「おしゃれな店舗だ」「来店しやすい」などとの声があがっているようだ。

 今回の選考理由について、イベント事務局を手がけたジェイシーレゾナンス代表取締役の松永博司氏は、同店の若者や女性をターゲットとした戦略を高く評価している。

「数年前、これからクリーニング業界が厳しくなっていくなかで、伸びるところはどこだろうと考えていた時に、知ったのがWASH & FOLDだった。コインランドリーは一つの業態でしかないが、女性の社会進出が著しく、どんどん時間がなくなっていくなかの『家事代行』の一つとなっている。そこに注目し、新しいブランディングで、新しい業態のビジネスにしていくと言われ、大変感銘を受けた。若者や女性に安心して使える新しいコインランドリーを作り、今もさらなる展開を行い続けている功績を評価し、最優秀賞を授与する」

■喫茶店併設や女性専用などの新業態、新たなユーザーを取り込む

 特定の分野に秀でた店舗に授与される「特別賞」を受賞した店舗のうち、「ninOval wash cafe(R) 吹田紫金山店」はカフェとコインランドリーを融合させた、国内でも先進的な取り組みが高い評価を受けている。消費者アンケートでも全国で1、2を争う人気のパンケーキを提供しており、地元住民からの支持も厚い。

 同店を運営するノムラクリーニングの米田健太郎氏は、同店のテーマは「今までコインランドリーを使ったことのない人を、いかに愛好家にしていくか」にあると話している。

「コインランドリー業界はのほほんとしていても、この先10年は食っていける業界かもしれない。しかし、このようなテーマを持って、業界全体を活性化できればと思い、吹田紫金山店をオープンした。来年の3月には、関西の私鉄グループと業務提携をして、駅ナカに2号店を出店する」

 一方、特別賞に選出されたもう一つの店舗、「小柴クリーニング八幡2丁目店」は、女性専用のコインランドリーとしてオープンした。足元が見えなくする、スマホの充電器や膝掛けを置くなど、ターゲットのニーズに合わせたサービスを実施している。

 審査員の一人、ランドリービジネスマガジン編集長の中澤孝治氏は、競争が激化する業界内において、同店の差別化によって生まれた新たな需要の掘り起こしに注目している。

「業界の中ではコインランドリーはバブルだと言われるほど、盛り上がっている。小柴クリーニング八幡2丁目店は、今年の3月にオープンしたばかりだが、この店の半径1kmに4店舗コインランドリーができたそうだ。コインランドリー全体の女性の利用率は約10%と言われている。同店は今まで男性の目が気になって利用できなかった人にも気持ちよく使ってもらえるように、という想いから作られたとのこと。これからも新しい利用者の需要を掘り起こしてほしい」



■地域を大切にすることもコインランドリーに必要な要素

 ユーザーにとって使いやすく、質の高いサービスを提供する店舗に授与される「UI、UX部門」には、熊本県山鹿市の「ランドリーステーションひまわり」が選ばれた。同店がある山鹿市は人口5万人の小さな町。クリーニング店の強みを活かし、顔の見える地域密着型のコインランドリーを作りたいと思ったことがきっかけで誕生した店舗だ。

 同店の福田尚史氏は、「店舗が地域のコミュニティ広場になればと思い、休憩室やAED、防犯カメラの設置、こども110番、傘の無料貸し出しなどを行っている。これからも一層地元に愛されるサービスを提供していきたい」と意気込みを語った。

 アワードの審査を行ったHANJO HANJO編集長の加藤陽之氏も、地方創生のカギは、地方の中小企業のビジネスにかかっていると言及する。

「これからのビジネスは、地域をいかに大切にするかが重要。未来の子どもたちが希望や夢を持ち、自慢できる町を作るという企業理念は、まさにそのことを言い当てていると思う」

■ITによって、コインランドリーはますます便利に

 利用しているIT技術を評価する「IT部門」で表彰された「コインランドリーwash+中葛西店」は、千葉県浦安市にある親会社が不動産業で培った知見を経営に生かしている。店舗にはpepperも常駐し、顧客からも好評だ。

 同店の高梨健太郎氏は、「2011年の東日本大震災で浦安が世界一の液状化被害を受け、不動産業だけではなく、コインランドリー店を始めることになった。全くの異分野からの出発ではあったが、IT部門で評価されるのはうれしい」と話した。

 今回、審査員を務めたITmediaエンタープライズ編集長の園部修氏は、ITこそ人々の生活やビジネスをより便利に効率化してくれるものだと提言する。

「われわれが取材対象としているのは、人々の生活を変えていくIT。それを先進的に取り組んでいることを今回は評価した。QRコードを用いたクーポンもそうだが、スマートフォンを活用して、クーポンを配信する展開も予定していると聞いたので、それも含めて今回の受賞とした」

■これからのコインランドリーは、果敢にチャレンジすることが必要

 「コインランドリー店アワード」には、全国のコインランドリー店から多数応募があったという。審査員長でゼンドラ株式会社代表取締役の関誠氏は、選考基準について「新規性、革新性、他のお店とは違うことを積極的に果敢にチャレンジしている部分を主眼において、地域性や社会公共性も加味した」とコメントしている。

 その上で、選考を進める中で目についたのが、店舗のアピール不足だと関氏は話す。より多くの注目を集めるためには、お店の特徴をなるべく多く書くことが重要。そこから受賞につながるキーワードが浮かび上がることも多いという。独自の店づくりや新業態、UXの高いサービス、そしてITの導入など、アワードを通じてコインランドリーに求められるものが見えてきた。これらに積極的に挑戦し、それを店の強みとして広くアピールすることが、今後のコインランドリー経営において必要な要素となる。

~国際コインランドリーEXPO:1~アワード受賞店の経営術は?

《寺田愛/HANJO HANJO編集部》

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