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【特集・Netflix】第3回 日本でも成功するのか!?……見えてきた「強み」と「課題」

ブロードバンド 回線・サービス
東京・青山にあるNetflix日本法人のオフィス
  • 東京・青山にあるNetflix日本法人のオフィス
  • サービスの説明会に登壇したNetflix日本法人代表のグレゴリー・K・ピーターズ氏(右)と、副社長の大崎貴之氏(左)
  • Netflixのサービスの特徴
  • マルチデバイスに対応
  • テレビのリモコンにはNetflixボタンが設けられる
  • 4Kコンテンツも出そろう予定
  • 独自のアルゴリズムによりユーザーの嗜好にカスタマイズされたコンテンツがプッシュされる
■日本法人代表ピーターズ氏が語る「Netflixならではの強み」

 Netflixならではの強みとして、ピーターズ氏が最初に掲げるのは、約5万作品のアーカイブからユーザーが見たい動画に検索をかけることなく出会える「パーソナライズされたレコメンド機能」だ。

 一つずつ丁寧にタグ付けされたコンテンツに、視聴者の再生履歴を学習するアルゴリズムを組み合わせて、視聴者が見たいであろう作品を、タイトルごとに、あるいはジャンルまでソートした状態でホーム画面上からプッシュする。作品の種類は76,897通りに分類され、ユーザーの視聴行動やAmazonのビッグデータを活用することで高精度なレコメンド機能を実現できるのが特徴だ。

 Netflixが調べた既存会員の視聴傾向からは、1ユーザーあたり月間で30~40時間、1日に均すと約1時間ほどNetflixのコンテンツを視聴しているという結果が見えているという。そのうち約75%がレコメンド機能から面白そうな作品に辿り着いて、楽しんでいるそうだ。ユーザーの視聴傾向を正確につかむことで、次のヒット・コンテンツ誕生の種まきにもつなげているという。

 説明会ではパナソニックのスマートテレビを用意して、米国版Netflixを使ったデモンストレーションが紹介された。コンテンツ視聴のためのインターフェースやフローの設計は、あくまでユーザー本位の目線で使いやすさを追求したものであることをピーターズ氏は強調する。例えばあるテレビドラマのシリーズを視聴中、続きのタイトルを次々に連続して見られるように、タイトルが終わりに近づくと、続きのタイトルを自動でアーカイブから引き当ててサムネイルを表示する。選択すればスムーズに続きを再生。都度メニュー画面に戻って検索する手間が省ける「一気見(Binge-Watching)」ができる快適さを魅力としてうたっている。

 ほかにも再生の安定性を高めるため、ユーザーの回線速度の状態を常時モニタリングしながら最適なビットレートの映像を配信する仕組みも採り入れた。例えば4Kの高画質・大容量データを配信する際にはユーザーの回線速度に合わせながら、配信ビットレートを可変させて送り出す。同社では4K/60pのコンテンツを最高画質で楽しむためには、約25Mbpsの回線速度品質を推奨している。またユーザーが利用するネットワークのトラフィックが混雑している時間帯には画質を落として配信するなど、とにかく「映像が落ちない」ことを優先して柔軟な配信制御を行う。「ユーザーの視聴環境に合わせた配信サーバーのコントロールは、Netflixの技術が世界で最も進んでいるだろう」とピーターズ氏は胸を張る。

 「ユーザーの好みの多様性」をキャッチできる、オリジナルコンテンツを含めた充実のコンテンツの品揃えもピーターズ氏が強調するポイントだ。日本向けコンテンツの全貌はまだ明らかにされていないが、この説明会と同じ週に実施されたフジテレビとの共同記者会見では、「テラスハウス」や「アンダーウェア」など独自のコンテンツが製作されることも発表された。

 とかく日本国内では海外ものよりも国産のローカルコンテンツに人気が傾くと言われている。Netflixの勝算について訊ねられたピーターズ氏は、「日本の視聴者がローカルコンテンツに高い関心を持っていることは承知している。だからそこはしっかり応えなければならないと考えて、フジテレビとのコラボレーションも進めている。だが、ローカルコンテンツが強いのは、何も日本に限ったことではなく、世界のどこの国も一緒。各地域で成功を収めてきたNetflixのノウハウが、日本進出にも活かせるだろう」と強気の構えを崩さない。むしろNetflixが、日本のユーザーが触れてこなかった魅力的な海外コンテンツとのタッチポイントを切り拓いていくと意気込む。

 国内向けコンテンツの製作体制については、今後フジテレビをはじめとするテレビ局や大手製作プロダクションだけでなく、個人のクリエイターによる作品をNetflixのプラットフォームに乗せていくことも検討されているようだ。日本副社長の大崎氏は「クリエイティブ・フリーダム」という、Netflixにおけるコンテンツ製作のポリシーを強調した。

 「Netflixをプラットフォームに、世界中のコンテンツが日本に届けられるし、反対に日本のコンテンツが世界に発信されることも出てくる。作品の内容についてNetflixが細かく口出しすることはなく、クリエイターを信用して託す構えだ。シリーズもののドラマは話数であったり、1話あたりのタイトルの長さを決めるのもクリエイターの判断。今までより壮大なスケールの映画をつくることもできるようになる」という大崎氏。

 国内のコンテンツプロバイダとは、Netflixのサービスインに向けて具体的な協議を詰めている段階だが、「ローンチ時点でオリジナルタイトルの品揃えを固めることも大事だが、Netflixは日本でのサービスを継続的に良いものにしていくために、オリジナルコンテンツの製作にますます注力していくだろう」と考えを述べた。
《山本 敦》
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