【木暮祐一のモバイルウォッチ】第76回 来日旅行者向け「技適」問題が解決……電波法一部改正が国会で成立 | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第76回 来日旅行者向け「技適」問題が解決……電波法一部改正が国会で成立

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木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
  • 総務省ウェブサイト内の「技適」に関するページ
 先週末、現在会期中の第189回国会で審議されていた「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」が衆議院、参議院共に可決され、成立した。

 この改正案の内容は、光回線の卸売サービス等に関する制度整備や、携帯電話網の接続ルールの充実、電気通信事業の登録の更新制の導入等(合併・株式取得等の審査)など「電気通信事業の公正な競争の促進」に関する内容や、書面の交付・初期契約解除制度の導入、不実告知・勧誘継続行為の禁止等、代理店に対する指導等の措置など「電気通信サービス・有料放送サービスの利用者・受信者の保護」に関する内容のほか、電波法関係の規定の整備、特に「海外から持ち込まれる無線設備の利用に関する規定の整備、等」が含まれている。

 これらの内容のうち、一番最後に記した「海外から持ち込まれる無線設備の利用に関する規定の整備、等」に関して、筆者はその成立に関して大変関心を抱いていた。いわゆる海外からの持ち込み端末に関する「技適」をめぐる内容についての改正部分である。

■「技適」の無い海外端末を国内で利用することは違法

 日本で利用される電波を発する通信機器は、日本の電波基準を満たしている証明となる「技適」が必要となる。携帯電話や、Wi-Fi、Bluetooth機器などもこの法律が適用され、「技適」が無い端末を国内で利用した場合電波法違反となり「懲役1年以下、もしくは100万円以下の罰金」に処される場合がある。

 第3世代(3G)以降の携帯電話では国際ローミングの対応により、日本で販売された端末をそのまま海外でも利用できる環境が実現されたと同時に、海外で販売されている端末がそのまま日本でも通信できるという状況が生まれた。

 これにより海外からの来日旅行者が海外端末を日本国内で使用するというシチュエーションが発生するようになったわけだが、当然、海外で販売された携帯電話のすべてに「技適」マークがあるとは限らない。

 このため、こうした来日旅行者向けの緩和措置として「電波法103条の5」が定められ、国内の通信事業者があらかじめ総務大臣の許可を受けることで国際ローミングとして受入する場合に限り「合法」とさせた。

 しかしながら、スマートフォンの時代となり、かつグローバルモデルが主流となった現在、海外からスマートフォンを並行輸入するようなケースも出てきた。さらには、来日旅行者が国際ローミングでモバイルネットワークを利用する分には違法にならないが、日本の通信事業者のSIMカードを挿入して利用した場合は国際ローミングとはならず、その端末に「技適」がなければ違法となってしまう。さらに、Wi-FiやBluetoothを利用する場合も想定され、これらの通信を利用する際の抜け道はこれまで無かった。

 その一方で、総務省は「2020年に向け増加していくであろう来日観光客の日本国内での通信機器の利便性向上を図る」必要があるとして、2014年6月には来日観光客に先進的なICT環境を提供するためのアクションプラン「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」を公表するなど、観光地における「無料Wi-Fiの整備促進と利用円滑化」や、「国内発行SIMへの差替え等によるスマートフォン・携帯電話利用の円滑化」などを実現させていくとして、来日旅行者向けの通信サービスの提供を充実させる方針を打ち出してきた。

 実際にこれを受けて、世界的に知られる観光地を抱える自治体では積極的に無料Wi-Fiを整備したり、あるいは関西国際空港や東京・台場などに来日観光客向けのMVNO SIMの自販機が設置されるなど、各所で来日旅行者向けのサービス拡充が行われている。電波法における「技適」の問題がある一方で、打ち出されているサービスに矛盾が生じている状況にあったのだ。
《木暮祐一》

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