【CEATEC 2014 Vol.44】ウェアラブルデバイスは今年5,500万台の出荷を予測……英マーケティング会社による調査結果 | RBB TODAY
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【CEATEC 2014 Vol.44】ウェアラブルデバイスは今年5,500万台の出荷を予測……英マーケティング会社による調査結果

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サイモン・ブライアント氏による講演「モビリティ社会でのウェアラブル市場動向」
  • サイモン・ブライアント氏による講演「モビリティ社会でのウェアラブル市場動向」
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 イギリスの調査会社フューチャーソース・コンサルティングでアソシエイトディレクターを務めるサイモン・ブライアント氏による講演、「モビリティ社会でのウェアラブル市場動向」が行われた。

 ウェアラブル市場は現在約700億ドルに及んでおり、非常に大きな規模を持つようになっているという。過去10年において年平均20%で成長しており、その主なデバイスとなっているのがフィットネス機器、スマートウォッチ、ヘッドセットなど。ただし、定義としてはプロセッサーを内蔵し、ワイヤレス接続ができ、電力を持つものとなるため、アクションカメラやヘッドフォンはここに含まれない。モバイル機器とセットで利用され、その機能を強化。この中においてスマートフォンは、各機器をコントロールするデバイスとして振舞っている。

 中でも急速に成長しているのがフィットネスベースのアイテムだという。これは、センサーを利用して歩数などをモニターするもの。そのほとんどが、データの分析や統計をスマートフォンで行っている。一方で、ウェアラブルなGPSはやや停滞状態にある。速度や距離、心拍数などを測定する機能は、別のデバイスに付加される傾向が見られるとのこと。また、スマートウォッチについては今まさに注目を集めているカテゴリーで、販売台数を見ると、まだ伸びる余地がある。ただ、明確なアプリケーションがないため、市場では大人のオモチャと見られがちのようだ。

 ウェアラブルデバイスは今年5,500万台の出荷を予測しており、これは昨年比の40%増にあたる。そのうちの50%が健康シグナルを測定するもので、より多くのパラーメーターを測定できるものほど売れているという。このため、歩数系などシンプルなものは低迷しそうだ。米国では保険会社が活動量計などを提供し、そのモニタリングによって保険料を算出。このような仕組みは、自動車保険の算出にも利用されているという。

 また、これらのデバイスは先進国や中国、中でもフィットネスが盛んで、肥満が問題な市場が大きな牽引力になるという。来年にはアップルの製品も登場し、ボリュームも出てくることになるだろう。様々なメディアや世論、コンシューマーも出だし好調と捉えているとのことだ。ただし、ウェアラブルは高級品という認識が広まっているため、今後もニッチマーケットという状態は継続することになる。

 では、時計市場全体におけるスマートウォッチのポジションはどうなっているのだろう。ブライアント氏によると、用途や目的、立ち位置などの点で不確実性があるものの、ある程度の需要は見込めるという考えだ。ただし、現状ではファッション性の問題もあり、市場規模はごく小さいものとなっている。一方で時計市場はスマートフォンで時間が確認できるようになったこともあって、その成長は横ばい傾向。その中で、スマートウォッチは徐々にポジションを確保していき、最終的には15%から20%ぐらいを占めることになるという。現在ではその規模はまだ小さいが、今後5年でウェアラブル端末の主流なセグメントとなっていくとのことだ。マーケットに競争力があるため、価格的には安価な製品が中心。ただし、今後はファッションや宝石系のブランドも、製品を提供することが考えられるという。時計メーカーも今後2年間で、高価格帯での製品提供が行われるようだ。ただし、スマートウォッチはスマホにバンドルされていることも多く、消費者としては一緒に買ったほうが使いやすいという認識もあるとのこと。

 なお、スマートウォッチは若年層をターゲットとするため、売れるアプリが求められる。中でも、やはり大きな用途となるのが活動量計だという。これをクラウドサービスと連携させて、記録したデータに何らかの意味を持たせられたものが、今後は勝ち組になっていくとのことだ。これには、例えばフィットネス計画を立てたり、ダイエットメニューを提供することも考えられる。

 ヘッドマウントディスプレイやヘッドセットは、アプリがまだ明確になっておらず、用途が明確でないため、現時点での市場規模はあまり大きくない。また、大量消費家電になるには、いくつかの課題もあるという。ひとつは3Dメガネのように、装着していることをユーザーに不快に感じさせていること。また、グーグルグラスなどでは写真撮影が法的に問題となることも考えられる。ただ、産業界や軍事、ゲームなどで注目されており、今後成長が期待できる分野もありそうだ。スチュワーデスが乗客の情報を入れる、警察が容疑者の身元を調べるなど、こうした用途がどのように拡大するかは見極める必要があるという。

 また、ウェアラブル製品には定義されないものの、ヘッドフォンの存在感は大きい。タブレットやスマートフォンのアクセサリーとしても、この分野はさらに伸びることが着たいされる。中にはワイヤレスに対応するなど、スマート化しているものもあり、これらは今後も伸びていきそうだ。心拍数をチェックしたり、再生中の音楽をSNSで共有するようなアイテムも登場している。

 その他、衣類においても今後5年間で機能的な技術が埋め込まれることになる。鉄を使わない電子部品が登場し、心拍数などをモニタリングできるようになりそうだ。また、発光をデザインに取り込むファッションも出てくるという。感情に応じて服のイメージを変える、温度センサーに応じてファイバーの網目を広げるといったアイディアも生まれているようだ。

 こうしたウェアラブル端末は、長期的な展望は非常に順調で、プロダクトカテゴリーでは年間1億7,200万台が出荷されている。また、先進国では2018年ぐらいで成長が鈍化されると予測されるが、新興国ではその後も成長が継続されるという。一方で市場での競争は、各アイテムの価格を引き下げることになりそうだ。
《丸田》
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