【サンドラ・ブロック インタビュー】「今年は満たされた一年」主演作を語る | RBB TODAY

【サンドラ・ブロック インタビュー】「今年は満たされた一年」主演作を語る

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サンドラ・ブロック (C) Armando Gallo  Retna Ltd.amanaimages
  • サンドラ・ブロック (C) Armando Gallo  Retna Ltd.amanaimages
  • 来日したサンドラ・ブロック(記者会見)
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』撮影風景 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
 「それが人生にとって、キャリアにとって、いい経験になるか。私だけじゃなく、息子にとっても。それが基準ね」。出演作をどう選ぶかという問いに、サンドラ・ブロックはこう答えた。2010年に養子・ルイ君を迎えて以来、子育てを優先してきた彼女の厳しい選択眼にかなったのが、本日より公開の映画『ゼロ・グラビティ』だ。

 地表から60万メートル離れた宇宙で起きた突発事故により、無重力空間<ゼロ・グラビティ>に放り出された宇宙飛行士が地球への生還を目指す壮絶な体験を描く。登場人物はたった2人――サンドラが演じるメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士と、ジョージ・クルーニーが演じるベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキーだ。スペース・シャトルの船外ミッション中に宇宙ゴミの飛来により、シャトルは大破。地球との交信も途絶え、残された酸素もあとわずかという危機的状況下で繰り広げられるサバイバル劇はSF作としてもスリリングだが、闇と無音に支配された宇宙がもたらす孤独は生命や魂をめぐる深い考察もうながす。

 「これは単なるSF映画ではないの。アルフォンソ(・キュアロン監督)と特によく話し合ったのは“再生”について。本作は彼の個人的な体験に基づいていて、いかに逆境に打ち勝って前進するかを描いている。突如襲ってくる宇宙ゴミは試練や困難の象徴だし、宇宙空間のすべてがメタファーなの。そして、私が演じたライアンは大きな喪失感を抱えて希望もなく生きていた。そんな彼女が生きることの素晴らしさを見出し、それまでと違う視点で世界を見るようになる」。

 ライアンのキャラクター作りには、サンドラの意見も反映されている。「アルフォンソは共同作業をとても大切にする人で、他人のアイディアを受け入れてくれる。私も毎日のように出したけど、採用されたりされなかったり」と笑いながら謙遜するが、ライアンが娘を亡くしているという設定は彼女のアイディアだという。
 「脚本では、娘が待つ地球への生還を目指すという設定だった。生き甲斐があったら、必死になるのは当たり前。でも、もしそれがなかったら? と私は考えたの。絶望の中にあって、何を糧に生きるために戦うのか? 誰かのためじゃなく、自分のために、ということが重要だと思ったのよ。この映画はアルフォンソにとっても、私にとっても大きな再生になったわ」。

 ライアンと同じ状況に置かれたら、「たぶん彼女と同じように行動すると思うわ」と迷わずにキッパリ。「生きていくうえで人とのつながりは本当に大切だと思う。自分1人で悩んで孤立せず、助けを求めること。地球には素晴らしい人たちがたくさんいるんだから。そんなふうに考えるようになったの」と付け加えた。

 サンドラはほぼ全編、無重力状態を演じている。スペース・シャトル船外で着用の宇宙服を脱いだ船内では、タンクトップに短パン姿。ゆっくりと宙を泳ぐような動きがダンスのようにしなやかで、実際は重力を全身に感じながらの演技とは思えない。
 「子どもの頃にバレエをやっていたのが役立ったわ。無重力空間では全ての動きの速度が通常より30パーセント遅くなるの。ワイヤーでつられながらの撮影だけど、体幹がしっかりしていないと、ゆっくりした動きで体に震えが出てしまう。すごい勢いで振り回されると、体はどんな反応をするかを学び、不自然な体勢にも対応できる体作りを目指してブロードウェイからダンサーを2人呼んで、トレーニングしたのよ。見た目より安全性重視だったわ」と言う。

 それでも美しい筋肉のつき方に惚れ惚れした、と伝えると、「毎日トレーニングばっかりしてれば、あなたもそうなるわよ(笑)。友だちとの付き合いは全然なくなってしまうけど。それが仕事だから」と微笑む。すべての動きを細かく計算し、精度の高さを求められる撮影現場は常に真剣勝負。普段は冗談を言ってばかりの共演者について「ジョーキング・ジョージは顔を出す暇もなくて、ずっとシリアス・ジョージ(笑)。すごくお行儀よかったわよ」。

 2013年も終わりに近づき、自身の今年1年を象徴する一言を、というリクエストに「バランスが取れた(balanced)」と答えたサンドラ。どんな風に? と尋ねると「一言で、って言ったじゃない(笑)」とジョークで切り返しながら、「私の中には人格が12くらいあるような気がするの。ヨーロッパとアメリカで育ったから」と話し始めた。本作に加えてアメリカではコメディ作『The Heat』(原題)も今年公開された。「私は人を笑わせること、楽しませるのが大好き。そして、心に残るような感動的なストーリーを演じるのも大好き。今年はその両方が実現できて、私の中のいろんな人格も満たされてるのよ(笑)」

 短い時間ながら、1つ1つの質問を熱心に聞き、丁寧に誠実に答えを返す。もともと聡明な女性だが、さらに大きく包み込むような優しさが増した。きっと母親になったことが彼女に変化をもたらしたのではないだろうか。映画の撮影現場には3歳になる息子も連れていく。
 「彼の教育になると思うの。セットには近づけたくないときもある。まだ幼い子どもには相応しくないこともあるから。でも、小さいうちから様々な経験をさせてあげたいと考えているの。私自身がそういうふうに育てられたし。いろいろな国に行って、その文化にふれることで、広い心と知性が持てる。世界にはいろいろな人がいて、いろいろな考え方がある。多様な価値観があることを良いと考える、そんな人間に育ってほしい」。

 彼女のもとで育てば、きっとそうなる。母親、女優、何より人間として、その心の美しさが輝いている素敵な女性だ。
《冨永由紀》

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