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【新連載・浅羽としやのICT徒然】SDNの基礎の基礎(前編)

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先日開催されたInterop Tokyo 2013でもSDNは注目されていた技術
  • 先日開催されたInterop Tokyo 2013でもSDNは注目されていた技術
  • SDN Showcaseが設けられていた。

 さて、ではそれに対して「ソフトなネットワーク」を考えてみます。こちらは上記のハードなネットワークの反対ですから、目に見えない、柔らかく作られたネットワーク、ということになります。こちらも身の回りの例で考えてみるとすれば、郵便や宅配便のネットワークは、それ専用に道路や線路のようなハードなネットワークを持っているわけではありません。それでも、手紙や荷物が宛先の住所までちゃんと届けらるのは、これらの荷物が何か見えないソフトなネットワークを経由して配送されているからにほかなりません。宅配便の例で言えば、ヤマト運輸、佐川急便、日本通運、日本郵便など様々な宅配事業者が存在します。それぞれが独自の宅配便配送のためのネットワークを「持っている」わけですが、そのネットワークの実体は、一部は道路を使っていたり、一部は鉄道を使っていたり、さまざまなハードなネットワークを組み合わせて作られているのです。しかも全ての宅配事業者が、同じ道路を使っているわけですから、沢山のソフトなネットワークは、1つのハードなネットワークを共用していることも解ります。

 宅配便のソフトなネットワークがどのように作られているのかを考えてみましょう。まず荷物を入れる箱や封筒など、各社異なる外観のものが用意されています。専用の封筒ではない場合でも、各社異なる伝票が貼られていて、荷物を識別するIDが振られています。これによって、それぞれのソフトなネットワーク上で荷物が混じり合わないような工夫がされています。それらの荷物を輸送するためのネットワークには、道路や鉄道という共通のハードなネットワークが用いられます。でも、配送するトラックが各社別々のものであったり、鉄道の場合は同じ貨物車両に混載されているかもしれませんが、封筒や伝票を見れば、どの荷物がどの会社のものかは識別できますので、鉄道から再びトラックに積み替える時も、荷物が混ざることはありません。トラックの配送経路や、どこからどこまで鉄道を使うかなどは、各社が独自に工夫して設定しています。
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 このように目に見えないソフトなネットワークは、それぞれの荷物(=コンテンツ)がどのネットワークに所属するのかを識別し、混ざり合わないようにしながらそれぞれが目的地まで届けられるような工夫を施した上で、一つのハードなネットワークを共用利用して動いているのです。

 SDNが扱うのは情報通信ネットワークですが、宅配便の比喩と同じように、沢山の通信機器により構成されたハードなネットワークを複数の異なるソフトなネットワークで共用利用できるよう制御が行われています。SDNで扱うソフトなネットワークは、それぞれが異なる企業ネットワークやプロジェクトのネットワーク等ですが、通信ネットワーク(ハードなネットワーク)上に各企業ネットワークのコンテンツを送り出す時に、異なるIDを振って専用のパケット(封筒)にくるんだり、それぞれのパケットの配送経路をネットワーク毎に独自に設定したり、さまざまな制御をコントローラと呼ばれるソフトウェアで
行っています。

 SDNが実現する機能は他にもいろいろとありますが、まず基本になるのが、このハードなネットワークを、複数のソフトなネットワークで共用利用できるような環境を作ること、これをネットワークの仮想化というのですが、これの実現がまず始めに必要となるのです。

筆者:浅羽としや/ISPで、1エンジニアとしてバックボーンNWの構築や経路制御などを担当し、通信キャリアで、技術担当役員として広域LANサービスの企画・開発に従事。現在、ソフトウェア会社で、社長としてSDNの基盤ソフトウェアのビジネスを推進中。
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