――米国では、年に1回Twilioが主催するプライベートイベントを開催していますよね。Twilioの開発者が大勢集まるテクニカルカンファレンスや優秀なプログラマーの表彰式などが行われているそうです。日本でも同じようなイベントの予定はありますか。 今回の「Twilio Japan Summit」は、日本でのローンチに合わせた特別なものです。しかし、基調講演の他、テクニカルなセッションもあり、事前に日本で開催されたハッカソンで最終選考に残ったソフトウェアの中から選ばれた作品の表彰式もあります。Japan Summitは、米国で毎年開催される「TwilioCON」のミニ版といえるでしょう。 日本でも、すでにKWCによるエンジニア向けのmeetup、勉強会、そしてハッカソンのようなイベントが実施されていますが、可能であれば我々も大きなカンファレンスを定期的に開催できればうれしいと思います。同時に、日本のエンジニアのみなさんもアメリカで開催されるTwilioのイベントに参加して、さまざまな国のエンジニアと交流し、ビジネスを広げてほしいと思います。 今回の日本のハッカソンの表彰者や、「DOER」と呼ばれるTwilioCONで表彰される優秀なアプリやシステムの開発者もそうですが、選ばれる指標のひとつに、そのソフトウェアがビジネス的にも成功しているか、事業化の可能性が高いものか、ということがあります。一般的なハッカソンではビジネスと関係なくアイデアや革新性だけが注目されることが多いのですが、Twilioのサービスは有料なので、使う人も直接ビジネスを考えてほしいし、成功してほしいからです。――アメリカではTwilioの電話APIを利用したアプリやサービスが成功しているわけですが、日本では音声通話の利用が減る傾向にあります。日本市場への展開にあたってこの点への対策や戦略をなにか考えていますか。 アメリカでも10年前と比較すると、確かに音声通話の回数は減っていますが、音声によるコミュニケーションの価値が変わっているわけではありません。具体的な戦略についてはKWCと調査研究を行いながら検討しているところですが、日本でもアメリカでもコミュニケーションのユースケースに着目した考え方をとっています。 通話が必要なユースケース、メッセージが重要となるユースケース、それぞれあると思います。たとえば、HuluはサポートのコールセンターにTwilioのシステムを利用しています。これは音声、それも人の声による対話や対応が重要なユースケースです。AirBnBという宿泊マッチングサービス（B＆Bは、ベットと朝食のみの簡易ホテル。AirBnBは個人宅や部屋の貸し手と借り手をソーシャルマッチングするサービス）は、メッセージングによって宿泊や部屋の利用をアレンジしていきます。――日本では、コールセンターやサポートセンターのような法人向けのサービスがメインになりそうですか。 Twilio APIのユーザーは開発者ですので、たしかにソフトウェアベンダーなど企業が多く、日本ではB2Bから入ったほうがいいのかもしれません。しかし、モバイルアプリやサービスの開発を個人で行っている人も少なくありません。我々は、B2B、B2B2Cといったモデルにこだわってはいません。あくまでユースケースに着目して、どのようなサービスや機能が必要とされているかを考えています。――日本の企業やユーザーは、セキュリティ機能を重視する傾向があると思います。TwilioのAPIのセキュリティはどうなっていますか。 Twilioのサーバーとの接続にはSSLで行います。IDやパスワードなどは暗号化して管理されます。もちろんAPIにもセキュリティ関連の機能も用意されています。また、Twilioを使ったアプリケーションが多岐にわたってくると、Twilioのサーバーにアクセスする必要がある人の幅も広がってきます。そのため、最近、マルチユーザーアカウントをサポートするようにしたのですが、プログラマではない人間がコードをいじったりできないようにアクセス制御機能も実装しました。Twilioを利用したアプリケーションやサービスについて、金融機関やヘルスケア業界での実績もあります。――最後に、日本のプログラマに向けて、アドバイスがあればお願いします。 Twilio APIを利用してアプリを開発したい、ビジネスをしたいと思ったら、まずユーザーがどんなコミュニケーションをしたいのかを考えるとよいでしょう。そこからニーズをとらえ、それを解決するアプリを考えてみてください。――本日はありがとうございました。
