Step1) まず,時間軸(横軸)の左端を始点として w 期の点を取り上げ,この中で直線の分割点を探すことを考える.そのため,取り上げた点を前から順に着目し,その前後で回帰直線を引いてみる.すべてのパターンが網羅できたらそれぞれ“情報量規準”を計算し,その値が最も小さい点を分割点とする.ただし,w 期を1本の回帰直線で引いた場合より情報量規準が大きい場合には分割点を設けない.情報量規準とは統計モデルの当てはまりの良さを評価する指標である.この値を用いることで,出現件数と傾向線との誤差を抑えつつ,直線の分割が多くなりすぎないように調整することができる.情報量規準には赤池情報量規準(AIC)などを採用できる[5].
Step2) 次に,直前に分割点とした点から w 期の点を取り上げ,Step1と同様に分割点を探す.もし直前に分割点を設けなかった場合には前回の始点の次期を始点とする.以降,始点がデータの末尾になるまで繰り返す.分割点が決まったら,その前後で回帰直線を分けて引くことにより傾向線を作り上げる.
3) 複数の感度パラメタ w の指定による精度の向上 4. 1. 1項で述べた感度を調整するパラメタ w は一度に複数あたえることができる.感度パラメタが複数の場合,まず,各値を使って,1)の方法により傾向線を当てはめる.次に,それぞれ情報量規準を計算,最も小さいものを最適な傾向線として,急増・急減などの特徴を判別する.感度パラメタ w を複数あたえることで,多くの傾向線の当てはめ方を候補に入れることができる.そのため,より納得性のある結果を得ることができる.一方で,計算量はあたえる w の数に比例するため,所要時間は増加する.納得性と所要時間のバランス調整が必要となる.