【インタビュー】WiMAX 2+の可能性と戦略とは?……UQコミュニケーションズ 野坂社長 | RBB TODAY

【インタビュー】WiMAX 2+の可能性と戦略とは?……UQコミュニケーションズ 野坂社長

 UQコミュニケーションズは、RBB TODAYが実施した「モバイルアワード 2012」において、昨年に続きモバイル通信サービス部門の最優秀賞(品質の部、スピードの部、サポートの部、料金の部でそれぞれ1位)を獲得した。

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代表取締役社長 野坂章雄氏
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 UQコミュニケーションズは、RBB TODAYが実施した「モバイルアワード 2012」において、昨年に続きモバイル通信サービス部門の最優秀賞(品質の部、スピードの部、サポートの部、料金の部でそれぞれ1位)を獲得した。今年は新たに品質の部でも1位を獲得している。10月31日には、次世代サービス規格としてWiMAX Release2.1規格の採用を検討すると発表した同社だが、今回は代表取締役社長の野坂章雄氏に経営戦略を直撃した。

■ユーザーは公平に評価してくれている

――モバイル通信サービス部門において、昨年に続き最優秀賞を獲得しました。

 今回の受賞では、スピード、サポート、料金、品質、エリアというそれぞれの項目がバランスよく評価されている点を非常に嬉しく思っています。エリアの部においても昨年の4位から3位へと順位を上げています。1位と2位はいずれも3Gの通信サービスなので、高速通信サービスの中では、エリアの部で最も高い評価をいただいたものと捉えております。当社では、このバランスがとても大切だと考えています。たとえば、高速だけど対応エリアが狭い、あるいは通信データ量の上限を超えると速度制限が課せられる、速度制限を回避するためには追加料金が発生するなど、さまざまな制限があるようでは、本当の意味で快適な利用は望めません。そうした制限のない当社のサービスが、ユーザーのみなさんに広く受け入れられたことが今回の結果につながったものと確信しています。ユーザーのみなさんが、正しいものは正しいと、公平に評価してくださっているな、という印象を持ちました。

―― 対応エリアについて、今後の展開はどのようになりますか?

 対応エリアについては、2012年10月末の段階で約93%の人口カバー率を達成しています。カバー率が低いときと違って、カバー率がこれだけ高くなると1%ポイント上昇させるのも容易ではありません。しかし、地道に努力は続けていきます。一方で、現在注力しているのが、地下鉄や地下街などへの対応強化です。地下鉄については、現在、仙台、東京、横浜、大阪、京都、福岡などの主要都市で対応を進めています。東京では、都営地下鉄と東京メトロで対応を進めていますが、都営地下鉄では三田線と浅草線の全線で整備を完了しており、新宿線と大江戸線も整備中です。

■BookLive!Lideoで実現した新しいビジネスモデル

―― 新たな端末としてWiMAX搭載の電子書籍端末も登場しています。

 11月7日に、BookLive、日本電気(NEC)、三省堂書店、当社の4社で電子書籍専用端末「BookLive!Reader Lideo」の発表を行いました。この端末はWiMAX搭載なのですが、ユーザーが通信料を直接負担する必要はありません。通信料は、BookLive側の電子書籍販売の収益から得る仕組みです。電子書籍のダウンロードに特化しているため、通信データの量も知れており、当社としても利用料を安価に設定することができます。BookLiveにとっては電子書籍の販売機会が増え、NECは端末製造で収益を上げ、三省堂書店はリアル店舗への集客につながるというように、4社それぞれにメリットがあります。当社が直接あるいはMVNOで提供するサービスは、どちらかといえば端末側のニーズ、たとえばPCを活用するためにネットに接続するというものです。しかし、Lideoの場合はコンテンツ側のニーズ、すなわち、コンテンツ利用のためにネットに接続してもらうという、まったく異なる発想に基づいています。このような特定サービスの利用に特化した垂直統合型の利用というアイデアは、電子書籍に限らず、さまざまなコンテンツホルダーが新たなビジネスモデルを構築するための優れた先行事例になるのではないかと考えています。

■WiMAX 2+はWiMAX 2の可能性をさらに広げるサービス

―― 10月31日にUQ WiMAXの次世代サービスについてWiMAX Release2.1規格の採用を検討するとの発表がありました。すでにフィールドテストも行い、WiMAX 2への移行準備を進めていたところへ、新たな規格の採用ということになります。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

 WiMAX Release2.1はWiMAXやWiMAX 2の追加要素(Additional Elements)として規格化されており、TD-LTEの無線通信規格やコアネットワークとの互換性を確保しています。つまり、WiMAX 2に置き換わるものではなく、WiMAXやWiMAX 2にプラスして、新たな可能性を広げるものです。当社では、このWiMAX Release2.1を採用した次世代サービス「UQ WiMAX 2+(仮称)」の提供を検討しています。この規格を採用したからといって、これまで当社が行ってきたWiMAX 2への取組みが無に帰するわけではありません。むしろ、新たなサービスを広げるものと言えるでしょう。具体的には、同じ2.5GHz帯を利用するグローバルキャリアとの連携を図り、さらにはスマートフォンの収容にも可能性が広がります。TD-LTE互換ということで、端末や基地局に必要なチップセットの調達が容易になる、つまり、メーカーにとっては、対応端末の開発・製造面でのコスト的なメリットが生まれます。ただし、具体的なサービス提供時期については、総務省にお願いしている周波数20MHz幅の割当て次第なので、現段階で申し上げることはできません。

―― 申請中の周波数がすぐに割り当てられたとしても、基地局の設置には時間がかかるのでは?

 新しい基地局のサイズや重量は、従来のものとほとんど変わらないと考えられるので、そのまま置き換えが可能になります。実は、基地局の設置で時間を要するのは、新規に設置する場合の各種手続きや、電源の確保、回線の調達などです。しかし、すでに人口カバー率約93%を達成している既設の基地局がありますから、それを置き換えていくだけならば、それほど時間を要しません。現在、当社のWiMAXの基地局は約21,000局ありますが、すぐに動き始めれば、新しい基地局の開発や段階的な置き換えを考慮したとしても、2013年下期にはサービス提供を開始できるのではないでしょうか。

―― 周波数割当ての見通しは、いかがですか?

 現状では、当社のほかに、NTTドコモ、Wireless City Planning、CATV事業者や地域WiMAX事業者などが要望していますが、いつ、どの事業者に割り当てられるかは総務省が決めることなので、当社からは何も申し上げられません。ただし、当社にはこれまでの実績があります。当社がBWA(Broadband Wireless Access)事業の認定を受ける際のミッションとして、ローコストオペレーションの実現、最高速度サービスの実施、真の意味でのMVNOの実現というものを掲げました。これらのミッションはすべてクリアしたものと自負しています。また、認定計画の条件として、サービス開始から4年での契約者予測325万人、黒字化、役所カバー率90%以上などを盛り込んでいましたが、こちらもすべての条件を満たしました。325万人という数字は、すでに今年8月時点で達成しており、11月現在は370万人を超えています。黒字化については、すでに単月黒字は実現済みで、今期の単年度黒字も確実な見通しです。また、役所カバー率も約93%を実現しています。すべての計画を実現した上で“おかわりをください”と言っている点を斟酌してくださると嬉しいですね。

―― WiMAX 2+対応端末としては、どのようなものが登場しますか?

 具体的なところは、まだこれからです。ただし、最初に登場するモバイルルータは、現行モデルよりも若干大きいサイズになるものと考えられます。前モデルぐらいを想定していますが、詳細はまだ何も決まっていません。

■初のコンテンツサービスも提供開始

―― そのほかにも、新たな戦略はありますか?

 12月5日から、当社としては初めてのコンテンツサービス「UQオプションストア」の提供を開始します。当初は、オンラインゲーム、セキュリティサービス、写真共有サービス、電子書籍購入クーポン、クラウドデータバックアップなどを提供していきます。もちろん、各コンテンツの利用料はWiMAXの通信料金と一緒に決済できます。コンテンツサービスは、これまで、ずっと当社が手がけたかったビジネスの1つで、ARPU向上策として、今後も積極的に展開していきたいと考えています。また、冒頭でも申し上げましたが、UQ WiMAXは他の高速通信サービスのような制限が一切ありません。そこで、「NO LIMIT WiMAX」をコンセプトに「ネットの限界にNO!」というキャッチフレーズで各種のプロモーションを展開していきます。「速度制限にNO!」「充電切れにNO!」「追加料金にNO!」「エリア制限にNO!」という各テーマを、「ブルーガチャムク」を使って打ち出していきます。
《竹内充彦》

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