【WTP2012】視覚障がい者の歩行をアシスト! スマートフォンと連携した空間位置情報の利活用 | RBB TODAY
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【WTP2012】視覚障がい者の歩行をアシスト! スマートフォンと連携した空間位置情報の利活用

ブロードバンド テクノロジー
「UWB測位を用いた視覚障がい者歩行支援システム」の全体構成
  • 「UWB測位を用いた視覚障がい者歩行支援システム」の全体構成
  • 展示ブース内に設置されていた基地局。超広帯域無線・UWB(Ultra-WideBand)を利用し、通信や測距を行う
  • 展示ブースにて。こちらはノートPCから、現在位置と目標物の位置を表示
  • スマートフォンで利用する専用地図ソフト。メニューから目的場所を選択する。目が不自由な人でも点字シートが貼ってある
  • 読み上げをタップすると、音声とアニメーションでナビゲートしてくれる。マップ回転をタップすると、地図が常に上にくるように回転する
  • 「電波で侵入者を検知するセキュリティシステム」。写真は検出器と、検出器に内蔵されている信号処理ボード
 パシフィコ横浜にて5日より開催されている「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2012」。情報通信開発機構(NICT)のブースでは、多くの先進的な研究成果が公開されていた。

 同ブースで面白かったのは、スマートフォンと連携した空間位置情報の利活用例。展示されていた「UWB測位を用いた視覚障がい者歩行支援システム」は、数GHzの超広帯域無線で通信や測距を行えるUWB(Ultra-WideBand)を利用し、30cm以下の誤差で対象物の位置をリアルタイムに検出するものだ。スマートフォンから発する音声にて、目の不自由な方を目的位置までナビゲートすることができる。

 本システムは、屋内エリアに配置された複数の基地局や、利用者が携帯する移動局および目標物の設置局、システム制御端末、スマートフォン(NTTドコモのARROWS)と専用地図ソフト(富士通製)で構成される。

 使い方は至って簡単だ。専用地図ソフトの「ナビ」ボタンをタップし、メニューから行きたい目的場所を選択する(目の不自由な方でも分かるように点字シートが画面に貼ってある)。するとシステムによって測位が始まる。位置特定の結果は、移動端末を経由し、利用者が携帯するスマートフォンにBluetoothで転送される。専用地図ソフトで、利用者の現在位置と目標位置がアニメーションで表示され、リアルタイムに動きが更新される。メニューの「読み上げ」をタップすると「2時の方向、2メールの距離に目標がある」というように、目標の方向と歩行距離が音声にて通知される。目的地に到着すると同時に、アラーム音とブースを案内する音声・動画が再生される。目の不自由な方でも安心して利用できるのだ。

 同ブースで、もう1つ目を引いた展示が「電波で侵入者を検知するセキュリティシステム」。これは、部屋に発信器とアンテナセンサー、侵入検知装置を設置しておき、誰かがドアや窓を開けたり、部屋の中で動き回ると音で知らせることができるもの。たとえ間仕切りがあって、侵入者が見えないところにいても、どこからでも検知できる点がポイントだ。

 従来技術でも電波を利用して侵入者を検知する仕組みはあった。1つのセンサーを利用し、発信器から出た電波の信号強度を調べることで、侵入者を検出するものだった。しかし、この方法だと複数の反射信号が重なり合って受信されるため、受信強度がかなり変動しやすく、誤検知が発生してしまうことがあった。そこで本方式では、センサーを複数使用し、電波の受信強度でなく、電波の入射角度の変化を捉えて、侵入を検知することにした」(ワイヤレスネットワーク研究所 宇宙通信システム研究室 担当)という。

 通常では、入射角度は部屋の状況によって安定的に決まる。もし誰かが部屋に侵入すると、電波の入射角度が変化するため、誤検知なく確実に侵入を検知できるのだ。また他のシステムからの干渉を防ぐために、新たに送受信間に近距離通信規格の基本仕様「WPAN」(Wireless Personal Area Network)で使用されているプロトコルも導入したという。部屋への侵入だけでなく、カーセキュリティなどに応用が利くそうだ。
《井上猛雄》
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