監督は「二十四時間の情事」「去年マリエンバードで」など1948年にデビューして以来、名作を残してきたフランスの巨匠アラン・レネ。
街で引ったくりに遭いバッグを持ち去られる歯科医のマルグリット。駐車場の片隅に捨てられた、バッグの中にあった財布を拾ったのは初老の紳士ジョルジュ。中に入っていたマルグリットの小型飛行機操縦免許の写真を見て、彼の中で何かが弾ける。警察に届け、財布はマルグリットの元に戻るが、彼女がお礼の電話をかける。ジョルジュが、妻と子供たちと食卓を囲んでいる最中、電話のベルが鳴った。「お礼を」、「それだけ?」、「他に何を?」、「“会いたい”とか」、「必要を感じないわ」、「がっかりだ」。こうして始まったふたりの関係は、周囲を巻き込みながら、思いもよらない方向に転がり始める……。
同作品はカンヌ国際映画祭コンペ部門に出品。審査員特別賞、特別功労賞を受賞した。