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富士通研、大気中の腐食性物質を高感度で検出できる装置を開発……電子機器の腐食障害を予防

エンタープライズ ハードウェア
ノートパソコンに接続した環境モニタリング装置
  • ノートパソコンに接続した環境モニタリング装置
  • 環境モニタリング装置による環境サービス(イメージ)
  • センサーユニット
 富士通研究所は25日、大気中の腐食性物質を高感度で検出できる環境モニタリング装置を開発し、さまざまな場所で使用される電子機器とともに設置することで、大気中の腐食性物質による電子機器の劣化を予想することを可能にしたことを発表した。

 この装置は、水晶振動子の表面に物質が吸着すると発振周波数が変化する「QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー」を利用したもの。小型で、電池による単独動作が可能。さらに測定したデータを無線で送信することもできる。もし、電波状況が悪くなって通信が途切れた場合でも、その間の測定データはセンサー・ユニットが記憶し、電波状況が回復したときに読み取ることができるという。通信ユニット1台につき、センサー・ユニットは10台まで設置可能。

 センサー・ユニットでは、高感度のQCMセンサーの発振回路や測定回路、制御回路などを高集積化するだけでなく、腐食環境の測定に必要な機能に着目して回路を最適設計。これにより測定データのメモリ機能、無線通信機能を有しながら小型(幅50x奥行き65x高さ14mm)、軽量化(22g)を実現した。また入出力のタイミングの最適化も実現し省電力化を図り、センサー・ユニットに内蔵した電池だけで、数か月間の連続モニタリング動作を可能にした。これらにより、従来は電源確保やケーブル敷設が問題で測定が困難であった屋外や狭い空間、自動車や乗り物の中などに、本装置のセンサー・ユニットは設置できる見込みだ。なお温度センサーと湿度センサーも内蔵する。

 今回開発された環境モニタリング装置を利用することにより、電子機器の筐体内や屋外の移動体といった、電源や通信ケーブルが確保できない場所でも、設置場所の大気環境を遠隔地で常時監視できるようになる。たとえば、化学物質の漏洩や焼却炉からのガスの発生、火山の噴火などにより、大気環境が変化すると、リアルタイムでその影響を発振周波数の変化として測定できる。富士通クオリティ・ラボでは、金属試験片を用いた腐食環境診断キット(商品名:エコチェッカXRF)を販売しているが、診断に1か月以上を要していた。今後は、今回開発されたモニタリング装置による迅速な診断サービスをラインナップに加え、環境診断サービスの充実を図るとしている。一方富士通研究所では、新しいサービスビジネスの創出に向けて、環境モニタリングサービスへの展開も検討中とのこと。
《冨岡晶》
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