【テクニカルレポート】ロボット技術を応用したオフィス用チェア「Leopard(レオパード)」(後編)……OKIテクニカルレビュー | RBB TODAY

【テクニカルレポート】ロボット技術を応用したオフィス用チェア「Leopard(レオパード)」(後編)……OKIテクニカルレビュー

エンタープライズ ハードウェア

写真3:コンセプトを具現化する構成
  • 写真3:コンセプトを具現化する構成
  • 図2:筋肉負担検証試験と体圧分布
●開発に当たっての課題

 開発に当たっては2つの大きな課題があった。第1の課題は、オフィス用チェア開発のノウハウが不足していたことである。

 そこで、オフィス機器大手メーカーとのアライアンスを行い、オープンイノベーションを進めることによって開発を加速した。最終的に、「抱きつつまれる座り心地」というコンセプトへの共感から、株式会社岡村製作所との共同開発がスタートした。

 第2の課題は、今までにない動きを開発する必要があったことである。

 従来の椅子を検討すると、人の身体が背もたれに作用したときのみ動作するものがほとんどであった。よって、「抱きつつまれる座り心地」というコンセプトを具現化するためには、新たな構成と、設計段階からダイナミックな動きを検討する必要性に迫られた。そこで、ロボット技術の開発で培ったシミュレーション技術を利用することとした。

 具体的には、写真3に示すように、腰部、大腿部、脛部の3つのリンクと、股関節部、膝関節部の2つの関節部により構成される脚型ロボットを設計し、そこに大腿から股関節周辺の筋肉の構造と運動特性を模倣したメカニズムを組み込んだ。さらに、この脚型ロボットの腰部には背もたれを配置し、大腿部には座面を配置した。これにより、オフィス用チェアの座面が人の膝の上、背もたれが人の上体となる構成にした。

 加えて、着座の瞬間から立ち上がりまでの一連の身体の動作を考察し、これに最適に座面と背もたれが追従するよう、シミュレーションモデルを構築しメカニズムの最適化を進めた。

 以上により、ロボットレッグの技術を応用し、人の持つしなやかでバランスの良い動きを取り入れ、着座の瞬間から立ち上がりまでの一連の身体の動作に合わせて、背もたれと座面がフィットするというオフィス用チェアを開発した。必然的に、座面が人の着座を待ち受けるように前傾した独特のスタイリングとなった。こうして「抱きつつまれる座り心地」というコンセプトを実現した。

●レオパード完成

 図2にレオパードの筋肉負担検証試験と体圧分布の結果を示す。図2aは着座時(直立姿勢)における筋肉への負担と体圧分布について、従来の製品と「Leopard」とを比較したものである。図2bはリクライニング時における筋肉への負担と体圧分布について、従来の製品と「Leopard」とを比較したものである。

 着座時、リクライニング時いずれの場合も、筋肉への負担が軽減していることがわかる。

 また、体圧分布図では、身体が座面と背もたれに接触するポイントが多いほど、体圧が均等に分散され、「Leopard」の場合、特に直立姿勢の時から背もたれと身体との密着度が高いことがわかり、コンセプトがデータにも現れているといえる。

 このようにして完成したオフィス用チェアは、「Leopard(レオパード)」という名称に決定された。そして、2008年11月にコンセプトモデルを発表、翌2009年6月には米国シカゴにて開催された世界最大級の家具総合見本市NeoCon World's Trade Fairに出展し、日本国内で発売を開始した。

 その後、2009年度グッドデザイン賞受賞、さらに、国際的に権威あるドイツの2010年度「iFデザイン賞(iFproduct design award 2010)」を受賞するなど、「Leopard」の新しい座り心地は、その斬新なデザインとともに高い評価を受けている。

●まとめ

 本稿では、OKIと株式会社岡村製作所が共同開発したオフィス用チェア「Leopard(レオパード)を紹介した。

 開発においては、OKIがロボットレッグの開発にて培った技術と、株式会社岡村製作所がオフィス用チェアの開発にて培った技術が融合した。このようなオープンイノベーションは、ロボット技術を他の分野に応用するひとつの手法として大いに期待できる。この取り組みをスタートとして、新たなメカトロニクス技術、およびロボット技術にチャレンジしたい。


※同記事はOKIの技術広報誌「OKIテクニカルレビュー」の転載記事である。

■執筆者紹介(敬称略)
・深井善朗:Zenroh Fukai. ヒューマンセンシング事業推進部アウンメカ事業推進チーム
《RBB TODAY》

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