【地震】夏の電力不足と中長期的対策……東洋大学シンポジウム | RBB TODAY

【地震】夏の電力不足と中長期的対策……東洋大学シンポジウム

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東洋大学で行われたシンポジウムのようす
  • 東洋大学で行われたシンポジウムのようす
  • 国際地域学部教授の荒巻俊也氏
  • 経済学部教授の山谷修作氏
  • 夏期最大電力の発生日
  • 場所を変えること
  • 2007年の最大電力
  • 2010年7月のデータ(時間別)
  • 2010年7月のデータ(時間別)
 今年の夏(7月末)の電力需要について、東京電力は5500万kWとの見通しを発表。経産省では、事業者や家庭に対して引き続き節電を呼びかけている。ちなみに、供給は4月15日の時点で、5,070万kW~5,200万kW程度へと上方修正(公式リリース)。その後、供給力の積み増しで5500万kW確保との報道もされている。

 企業でも引き続き様々な節電対策が発表されているが、果たしてどのような節電対策が効果的なのだろうか?4月下旬に東洋大学で開催されたシンポジウム「東日本大震災にみる諸問題を考える」で、国際地域学部教授の荒巻俊也氏は、電力使用のピーク値に着目しながら問題点を指摘している。

 氏はまず、2007年7月~8月の最大電力のデータを示した。当時は新潟県中越沖地震が発生し、柏崎刈羽原子力発電所が止まったため、節電が呼びかけられていた時期でもある。当時は夏の10日間ぐらいが5500万kWを超えている。また、東京電力が過去最大の電力量を記録した2001年7月24日の電力需要の日変動では、午前9時から夕方19時といった長い時間で5500万kWを超えていることがわかる。氏は「(2001年のデータは)過去最大であり、最近では電力量も減っており、これがそのまま当てはまるわけではないが、12~14時といった時間だけではなく、比較的広い範囲でピークがある」と説明する。これからわかることは、夜の時間に電力を削減しても電力不足対策という意味では効果がないということ。また、長いピークを考えた対策をしなければいけないということだ。

「ちょっと昼休みをずらすとか、そういうことだけでは不十分かもしれない。1日の中でのシフトだけではなく、平日と休日、夏期とそれ以外の時期へのシフトも有効」と荒巻氏は指摘する。

 とはいえ、ピークをずらすのもそんなに簡単な話ではない。氏が示した1955年から2010年までの夏期最大電力の発生日を見ると、1955~1960年には9月の終わりくらいにも最大電力のピークが発生している。最近では8月に集中しているが、7月からもピークは発生する。つまり、夏といってもいつピーク値が発生するかわからない。ピーク発生時期が明確ではない場合は、電力稼働期間をより大きくシフトさせることも考慮しなければいけない。1日のピーク電力を減らすのも無理、ピーク期間をずらすのも無理、ということになると、使用場所(地域)を関西にずらすなどの対策も考えられるが、これにはコストがかかるうえ、他の電力会社も夏のピークにそれほど余裕がないことも起こりうることも、あわせて考えていかなければいけないという。

 ちなみに、地震発生から約1週間後の3月17日には東京電力の供給能力が間に合わなくなりそうだとして、午後に海江田万里経済産業相が記者会見。夜にかけて予測不能な大停電が起こる恐れを指摘したいきさつがある。この時は、3350万kWの供給力に対して需要が3316万kWに達していた。つまりわずか34万kWのマージンしか残っていなかったということだ。当時、交通機関の本数が減るほか、首都圏では早く帰宅しようとする社員が続出するなど混乱した。この日1,816万件が計画停電にあっている。

 経済学部教授の山谷修作氏は、昨年の夏に比べて需要は20%ほど減っており、この数値が定着してきているとして、今年の夏は節電も含めなんとかやりすごせるのではなないかとの見通しを述べている。しかし中長期的対策が必要であると強調する。

 氏が需要対策として挙げたのは、家庭に対してはスマートメーター普及などによる季節別時間帯別の料金設定を行う一方で、産業界に対しては需給調整契約の拡大、また省エネ診断を導入すること。需給調整契約に関しては、昨年ベースで240万kW分存在するが、これを拡大しても良いのではないかと話す。また、家庭用の電気料金体系については、現在逓増型となっており、省エネ効果はあるが、ピークシフト効果はないとして、時間帯別の料金制の導入が必要としている。

 さらに今後の懸念事項として、(被災地外の)原発の定期検査のたびに再開困難となれば、この先数年にわたって供給力確保が困難となる点を挙げる。そのため、津波対策により安全性を高めることにより、原発の稼働について地元の理解を求めていくことが大切であると指摘。同時に、原発の新規増設は見直さざるをえなくなることから、中長期的には効率的な天然ガス複合発電、石炭ガス化複合発電など火力で、非効率電源に代わる供給力を確保するとともに、長期的には太陽光など再生可能エネルギーの開発・普及、省エネルギーを推進するなど、統合資源計画の必要性が高まるとしている。
《RBB TODAY》

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